「検察庁はかつて、官僚組織としては珍しく人事が東京一極集中ではなかった。大阪を中心とした人事異動で検察人生をまっとうする人たちがたくさんいた。濃密な人間関係のなかで現役とヤメ検が強力なネットワークを築き、総体として「関西検察」と呼ばれた。」
「関西では、検察の大物OBと、経済界の関係が深いと言われている。その中心に位置するのが、「関西検察のドン」と称される元検事総長土肥孝治氏だ。土肥氏は、長年にわたって関西電力の社外監査役を務め、今年6月の株主総会で退任した、その土肥氏の後任として新たに社外監査役に就任したのが、元大阪高検検事長の佐々木茂夫弁護士。今年で75歳、後期高齢者が新任社外監査役というのは、極めて異例である。」
修習生時代、検察教官から、「検察庁は、関東と北海道・九州を行き来する『東廻りコース』と、関西と四国を行き来する『西廻りコース』があって、私は『西回りコース』でした」という話が出たことがある(しかも、両者では起訴状の書きぶりも若干違うそうである。)。
どうやら、検察官は、人事において大きく2つにグループ分けがなされているようだ。
その理由や実態はよく分からないが、これは、一般企業にもよくある「営業畑」と「管理畑」のような、セクショナリズムの一種ではないだろうか?
さらに言えば、エリート・コースである特捜検事の内部においても、かつて田中森一氏が指摘したように、
1 東大法学部卒を中心とする「赤レンガ組」の法務官僚
2 先輩検事の娘と結婚している「閨閥組」
3 現場の捜査で実績を上げた「現場叩き上げ組」
2 先輩検事の娘と結婚している「閨閥組」
3 現場の捜査で実績を上げた「現場叩き上げ組」
の3つのグループが存在するらしい(閨閥組)。
そうすると、おおざっぱに言うと、エリート検察官には、「関東検察」/「関西検察」という2区分と、田中氏が指摘した3区分を掛け合わせて2×3=6つのグループが存在することになる。
そして、各グループが、庁内のポストや退官後の天下り先を巡って、角逐(ないしエシャンジュ)を繰り広げているのではないかと思われる。
村木事件が起きた背景には、こうしたセクショナリズムがあったと思う。
つまり、「関西検察」の上層部は、「関西政界の大物を検挙すれば、庁内で優位に立ち、重要ポストを手に入れることが出来る」と考えて、事件を捏造したわけである。
警視庁公安部もそうだったが(犠牲と功績)、村木さんの冤罪事件は、ポストや利益を巡る集団間のエシャンジュの中で生み出されたのである。
・・・とはいえ、弁護士も例外ではないのかもしれない。
というのも、近年、某単位弁護士会が最高裁判事のポストを独占しており(新最高裁判事(弁護士出身)は、また一弁 これで6人連続)、この背景には、政権とのエシャンジュがあるのではないかと疑われるからである