モーツァルト/2台のピアノのための協奏曲*
<ソリスト・アンコール曲>
モーツァルト/4手のためのピアノソナタ・二長調K.381より第2楽章
マーラー/交響曲第1番『巨人』
日韓国交正常化60周年記念の特別演奏会。
前半は日韓それぞれのピアニストが共に演奏するという、公演の趣旨にマッチした選曲。
他方、後半の「巨人」の趣旨は一見した限りではちょっと分かりにくい。
だが、演奏前に大勢のオケ団員さんが舞台上を埋め尽くしたのでようやく合点がゆく。
明らかにベルリンフィルの来日公演などよりも人数が多く、これほどたくさんの団員さんを見るのは、さすがに初めてである。
東フィルとKBSのたくさんの団員さんで演奏するのにふさわしい曲ということのようだ。
指揮者がこれを暗譜で振るというのも凄いが、4楽章に現れたむき出しの生命力の凄まじいこと!
マーラーの内面に滾るマグマが噴出した場面を見るようで、これに近いのは辻井伸行さんが弾く「ラ・カンパネラ」くらいだろう。
・・・ところで、マーラ―を聴く際に注意すべきことが一つある。
「聴き手にも注意が必要なことがある。著名ピアニストがハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトの最後のソナタとか最後から2番目のソナタからなるリサイタルを開いた。休憩なしで弾き続けて、アンコールもたっぷり30分以上弾いた。誰もが感激したとは思うけれど、終わってみればお手洗いに長蛇の列。さては皆さん、マーラ―の交響曲やフィリップ・グラスのオペラの演奏会に行ったことがないでしょう。事前の備えが大切です・・・・・・」(p15)
そう、「事前の備え」が必要なのである。