季節の中で 暮らしの中で -Through the seasons and daily life-

現代の都会でプチ昔&田舎暮らし
-old & country style in modern urban life

新しい畳

2008-09-06 22:19:20 | 暮らし Daily life
構想3年。
実際に動き始めて2週間。
部屋の配置換えのクライマックスが来た。

畳を換えた。
長年の夢。

越してきて始めに入っていたものは目も粗く、住み始めて数年で表面はささくれてきて
10年を過ぎたころ、縁も減り始めた。
うちがとにかく古いつくりで、4部屋が畳。換えると言ってもかなりの金額になる。
それでウッドカーペットやござを敷いてはごまかして来たのだけどもう限界、
子ども達の部屋作りついでに思い切って換える事にしたのだ。
こういうのを「清水の舞台から飛び降りる気持ち」って言うのだろう。

複数の業者さんを呼んで見積もりを立ててもらう。
そしたら会社によってずいぶん違う事が分かった。
畳そのものもサービスも値段も。
よくよく話を聞いて考えて、近くの親子でやっている畳屋に頼む事にした。

採寸にまず来る。
そしたら畳の一つ一つを丁寧に計っている。
何畳と簡単に言っても、部屋によって違うし畳も一つずつ違うらしい。
見取り図を描いて書き込んでいる。

それからそれに合わせて息子さんが畳を作る。
数日後に持って来て入れ換える。という寸法だ。

朝からトラックに畳を積んで現れた二人。
父と息子。父はこの仕事を60年やっているらしい。

作業は全部で2時間ほどだった。4部屋もあるのに。
どの畳をどけて、家具をどう動かして新しい畳をどう入れるか。
一つの無駄な動きもなく、みていて気持ちがいいほど。
畳も部屋にきっちりと寸分の狂いもなく収まるように丁寧に作られている。

       

家具を動かすのが上に見えるゴムのスキーのような物。これを家具の下にスッと入れたら家具がスーッと動く。ヒョイ、スーッ。すごいよ!
畳を入れるのには足を良く使っている。
端にあわせるようにトントンと蹴ったり、端から押さえたりして。
親方の足は背の割りに大きく分厚く力強い。
この仕事のために生まれてきたような足だ。

私には分からないほどの畳のずれも見逃さず、何回でも納得のいくまで合わせ直している。出来た床は一本の針も間に通らないほど。

研ぎ澄まされた職人の仕事を見るのは気持ちがいい。
出来た部屋はすばらしい作品だ。
それを持てたことを誇りに思う。

「畳と女房は新しい方がいい」と言う。
女房の方はこのままで我慢してもらう事にして
新しい畳はやっぱり気持ちがいい。
日本人である事の幸せを感じる。
国産の天然イグサの緑色が美しい。
染めていないので根本の方を使っている端のほうが色が薄く
グラデーションで濃くなっているのが分かる。
寝転ぶとサラサラと気持ちよく、なんともいい匂いがする。
イグサの香りってセラピーになるかもしれない。
心が落ち着き元気になる。

パプアニューギニアでは高いやぐらから飛び降りる「バンジージャンプ」は通過儀礼だそうだ。子どもが大人になるための儀式。

この「清水の舞台から飛び降りる」畳替えも
私たち親にとっても、子ども達にとっても
そういう意味があるかもしれない。
大きな成長と新しい世界に進むに当たっての飛躍。
そのためのまずの自分達の巣を固める行為。

一つの家庭の中で
子どもと大人が別れて、子どもが大人になっていく。
大人も自分達の世界を歩み出す。
卵細胞が受精後、一つから二つそして四つに分かれていくように。


これから私たちの第2ステージだ。


Comments (2)
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