季節の中で 暮らしの中で -Through the seasons and daily life-

現代の都会でプチ昔&田舎暮らし
-old & country style in modern urban life

普通の人

2013-02-18 21:01:50 | ハンドワーククラブ HandworkClub
ハンドワーククラブにて。

今日は一日雨。少しずつ人が集まってそれぞれの手仕事に取り掛かる。

かぎ針編みに生まれて初めて挑戦している彼、鎖編みから始めて細編みをやって行く。
それが苦しそう。いっぱい力を入れて頑張って編んでいる。
それでもわからなくて何回も丁寧に教える。それを繰り返す。しんどくなったら休憩。

こうやって教えると編み物をする時ってどんなにそれぞれの指が有機的に連動して複雑に動いているのかわかる。自分でやると簡単なのに見てるとすごく難しそう。

「これは初めて自転車乗るときと同じやから、しんどくて難しくて当たり前やねん。」と言う。
「それで、これも自転車とおんなじで一回出来るようになったらずっと当たり前に出来るようになるよ。」って。
「そっかー、そしたら今俺は後ろ掴んで貰って自転車ヨロヨロ漕いでる所やねんな。」って。

一日チャレンジしたけど青息吐息。かなり疲れた模様。
先輩の編み物男子に「おまえがどんだけ偉大か、今わかったわー。恐れ入りました!」って言ってる。
持って帰って練習したいと言うので「一回5時間するより、毎日15分くらいした方がきっとうまくなるよ」と言っておく。
「飲酒欲求が出て来たら困るから適当にしといたほうがいいんちゃう?」って半分冗談で言う。
「先生もそんな事知ってるん?勉強とかするん?」って言われる。
私はあくまで「普通の人」のスタンスなので。まあでも15年とかここに居たらちょっとはわかる。
それでもずっと普通の人のまま居続けます。

彼女が言う。「私は先生の話聞くの好きやねん。なんでって普通の人ってどんなふうにしてるかってわかるから。」そうかー。そんなにかー。そこは私にはあんまりわからない。

彼女は「周りにヘビーな人がいても、私がヘビーな所にいたからあんまりなんも思わへんねん。」と言ってた。
「自分が回復して変わって行ったら、きっと周りの人も変わって行くと思うよ」って言っとく。



今日、遅れたバレンタインデーでチョコレートケーキを焼いて行った。丸ごとホールで持って行ってみんなで食べた。お茶は一人が持って来てくれたサクランボ茶。

我ながら美味しく出来た。今度はヘーゼルナッツのパウダーも入れたのでコクが違う。
みんな美味しいと言う。ここでカフェしようか!って話にもなったりする。それくらい楽しく美味しいひと時。
そして何人かが「手作りのケーキとか食べるの初めてや。」と言う。

そうなのか?とびっくりする。
お店で売ってるのはお金を出したら買えるけど、こういうお母さんのケーキは売ってないよねと言う話になる。
お母さんのケーキ、みんなまた食べたいらしい。また焼いて持って行こうと思う。
彼らはお酒の入ってるケーキが食べられない。ケーキって普通の人が思ってる以上にお酒を使っているものが多い。今日のケーキはお酒がなくても美味しく焼けるものなので良いと思う。アルコール依存症の人でも大丈夫!いいもの覚えた。



ハンドワーク参加が長い彼。もう7~8年になる。
長い間、調子が悪かった。なかなか断酒できなくて上がり下がりが激しかった。
それがこの頃は見違えるよう。
スタイルも良くなった。毎日たくさん歩いているからだって。それもケースワーカーの人の助けと励ましで長年かかって身に付けた習慣。
肌の色つやも良い。機嫌もあまり上下してないみたい。
この前のバレンタインデーにお孫さんが手作りのハート形のチョコレートを持って来てくれたって言う話をした。
それって彼にとっては、この人たちにとってはとっても特別で幸せな事だと思う。
それまで飲んでさんざん家族に迷惑をかけてまったくの疎遠になる人もたくさんいる。それでもクリニックや断酒会に通い続けて断酒を続けて自分を回復に導くうちに、子どもたちとの関係も何年もかかって少しずつ修復されてくる、そしてかわいい孫から愛の贈り物が届くとは奇跡のようだ。聴いてて私もうれしくなった。
娘さんもお父さんの回復を喜んで嬉しく思い、それを認めてくれている証拠だ。
「だってもし突然行って、お父さんがお酒飲んでるって思ったら来ないもんね。すごいね、安心してるんだね。」と言う。
それでもいつも「これで良い」と言う事はない。いつでもまた修羅場の暮らしに戻る可能性がある。
良い状態の時ほど後の下がり方が大変な時もある。
それでも今までさんざん辛酸を舐めて来た彼なので、このままゆるやかな波に乗って少しずつこのまま回復を続けてくれたらと祈る想いだ。

もう半年以上も姿を見ていなかった彼が訪れた。「いろいろあって」と言ってる。私は「生きてまた会えて良かった。」と言う(本気)。彼も「ほんとに生きてて良かった。今日も美味しいケーキ食べれたし。(本気)」
ほんとに、こうやって長い間見ない人が現れると本当に良かったと思う。生きてるって普通に思う以上に素敵な事だ。
そう、私はここで「普通」として生きてるけど、それが普通じゃない事を良く知っている。

明日も雨、寒くなるらしい。みんなが元気で無事に一日過ごせますように。毎日そう思っています。




Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 菊菜バンザイ! | TOP | 菊菜のテルダーラ »

post a comment

Recent Entries | ハンドワーククラブ HandworkClub