季節の中で 暮らしの中で -Through the seasons and daily life-

現代の都会でプチ昔&田舎暮らし
-old & country style in modern urban life

初めての断酒会

2021-08-16 00:12:00 | 公認心理師
公認心理師には資質向上の責務と言うのがあって、常に勉強を続ける必要がある。
それで時間が許す範囲で興味のある講座に参加したり本を読んだりしています。
そのひとつがASKのアルコール通信講座。これは基礎編。
6冊のテキストを読んで、それぞれ確認テストがあるのでその用紙を送って添削してもらうと言うのを繰り返した。
全部終わって送られてきた回答にレポート課題が添付されていた。
そのレポートを書いて送ればその講座は修了したことになり、修了証が発行されます。

課題はいくつかあって、自分が是非やってみたいと思ったのは断酒会に出席してそこで感じたことを書くと言う課題だった。
20年以上アルコール依存症のクリニックに勤めていて、クリニックの合同例会には何回か出たことがあるけれど、
普通の断酒会と言うものには参加したことがなかった。
患者さんたちの話を聞いたり、あちこちの断酒会に行くのを観てきて、ずっと参加してみたいなあと思っていたのだった。
良い機会。
それで知り合いの患者さんにその人が所属する断酒会に参加させてもらえるかどうか聞いたら「良いよ!」と言う返事を貰ったので行くことにしました。
ドキドキ💕

断酒会にはお酒をやめようとしている人が参加しています。
輪になって順番に酒害体験やその日のテーマを話す。話は言いっぱなし聴きっぱなし。ここで聞いたことは外には持ち出さない決まりです。

私の受けた感想は「静か、温か、確か」そして無駄がなくシンプル。
このシンプルさは長年の活動の賜物だと思う。断酒会は自分が所属している支部だけではなくて他の支部の断酒会にも週に何回も参加する人が多い。人によっては1日に何箇所も行ったりする。
その時に、色々な無駄があればそれを続けることが難しくなるだろう。その上でのシンプルさ。
言いっぱなし聴きっぱなしなので誰も口を挟むこともない。終わってその話を蒸し返したり意見を言ったりもない。
だからと言ってそれがそっけないとか物足りないとか言うのとも違う。
いわば、職人の域にも達するほどの場の作り方なのだ。

話は自己紹介で終わる人も、昔の話や今の話など長めにする人もいる。
初めて聞いた体験談。
聴いて思ったのは、本当に力を貰えると言うことだった。

体験談を順に話すことでお酒がやめられる。
それはどんなに想像してみても考えてもわからないことだった。
そして患者さんたちがどうしてあんなにも足繁く断酒会に通うのかも。
でも聞いてみて少しわかったと思う。

もし私がお酒の問題がある人だったとすると
ここに来て話を聴いて思うことは
「自分は1人じゃないんだ。お酒をやめようとしている人たちややめている人たちがここにいる。自分もそうなれるかも、そうなりたい。」
って言うことじゃないかと。それがどれほどその人を温かくするだろう。勇気づけるだろう。
新しい人生を生きてみようと心から思えるだろう。

専門治療や断酒会などの自助グループにつながる前のアルコール依存症の人と言うのは
自分にとって確かなものはアルコールだけでその上に立っているつもりで実はアルコールに足元を掬われている。
暗い沼にほとんど沈んでる状態と言えるかも。
心許なく寂しく不安定で危険な状態だ。
それがここに来てアルコールがなくても乾いた地面の上に立ってる人がいることを知る。
それはまさに青天の霹靂なのではないかと、そう感じた。

皆さんの話を聴き終わった後は心が温かく元気になっていた。(私も少し話しました。話してみて聴いてくれることのありがたさも感じた。皆さん、話すのも聴くのも鍛錬されている。)
これは毎日のように、いろんな断酒会に行きたくなる、行かないとって思うよなあ。
私もまた行けたら良いな。

ASKのアルコール講座は支援者だけでなく、本人または家族も受けることができます。
テキストを読むだけでもすごく勉強になる。
やって良かった。レポートを頑張って書こうと思う。
そして次の応用篇も続けて受ける。

アルコール依存症者の推定人数は100万とも
500万人とも言われている。その中で回復につながっているのは5万人ほど。
断酒会も参加者が増えて欲しいと言うことだった。

暗闇の中でろうそくの火が灯っていたら見つける人がいると思う。
1日1日断酒して生きている人はその輝きになり得ると私は思います。
その輝きが必要な人に届きますように。
そしてその明るい温かい灯火が少しずつでも広がって行きますように。







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