明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



HPのデザインからすべて換えることなど、とても無理だが、乱歩のページなど散らかっているので多少整理をしている。『乱歩 夜の夢こそまこと』の中から代表的なシーンを載せたり、以前作った、制作当時の雑記を作品ごとにまとめたページなどを並べている。そうしていると、つい読んでしまって、馬鹿々しいことを楽しそうにやっていて、自分ながら羨ましくなる。 当初たんに作品集ということだったのを、私が乱歩だけで、と編集者に進言したのだと記憶している。私は最近はほとんどやらなくなってしまったが、当時まだカメラを右手に人形を左手に撮影しており、単に手前にあるものが大きく写ることを利用しているにすぎず、本となれば、毎ページ人形が手前にあるようではもたないと、フォトショップによる画像合成を始めたのであった。 合成用の画像を切り抜くため、ベジェ曲線というものを使うが、私はこれが理解できずに、画像を拡大して、プチプチプチプチと一つずつマウスをクリックして切り抜くという、恐ろしく手間と時間のかかることをしていた。モニターを長時間見ていても疲れないからいいようなものの、気がついたら歯を食いしばってプチプチとやっていた。ついこの間の話である。しかし、この泥臭いやりかたこそが、乱歩の作り物めいた世界にマッチしていた。  私も乱歩も(といってしまっては乱歩先生に申し訳ないが)自分のイメージしたリアリズムさえクリアすれば、あとはどうでもよく、ホントウのことなんてどうだってよい、というタイプである。ほとんど浮かれているような制作当時の雑記を読んでいると、私は江戸川乱歩専門で一生終えてもいいのではないか、と、つい思ってしまうくらいなのである。

過去の雑記
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