明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



明日7日からの『人・形展』の準備に追われているが、何処の誰が作ったか知らない、私の画像を使ったYouTube映像のおかげでニジンスキーの牧神を思い出し、急に出品する気になった。なったはいいが、展示することを考えずに作っているので、手を加えなければならない部分がある。  『牧神の午後はニジンスキーが初めて振付けた作品で、得意の跳躍が一度も出てこない。牧神が岩の上で笛を吹いていると、沐浴に来たニンフが通りかかり心魅かれる。しかし牧神を見たニンフは驚いて逃げてしまう。1人のニンフは残るが、近づくと怯えて逃げていく。ニンフが落としたベールを牧神が拾い、かき抱き頬ずりをする。ニジンスキーはベールの上に横たわった牧神に、自慰行為を思わせる演出をしたらしく、当時大騒ぎだったらしい。私の作った牧神はニジンスキーの下半身を獣に変えているが、ペニスは屹立していなければならないであろう。しかしベールを手にしていない“安静時”は、それではおかしいので、撮影の際は葡萄の葉で隠したりしたが、結局は着脱式にしたのである。ところが外した物が見つからないので、急遽新たに作った。 この『人・形展』は丸善の催事であり、来場者は様々である。つまり子供も観に来るわけである。帰宅後「パパのと違う」ということで、団欒に不穏な空気が漂ってもいけない。そこで身体の線が隠れてしまうのが残念だが、ベールで隠すことにした。ベールの素材は、かつて何か適当な布はないかと探す私に、母がこれはどうかと見つけてくれた物だったが、ニジンスキーの名誉のために、何かはいえない。

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