明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



紀田順一郎先生の記念講演『江戸川乱歩と少年探偵の夢』。スライドを使い、時に笑いを交えてのお話し。テーマのせいもあるが、雨に濡れた眼鏡レンズ越しに拝見していると、志村喬が紙芝居をやっているようである。そういえば、お会いするたび、幼い頃の少年探偵団や、二十面相体験を伺う。 昔図書館に講演に行ったおり、本を整理しているので聞いてみると、少年探偵団は科学的ではない、と子供からのクレームがあり、排除することにした、と。ついでにルパンまで。その日の紀田先生の講演は、その行為に対しての攻撃に終始したそうである。無粋な図書館があったものだが、クレームつける子供も判っていない。きっとプロレスなんて八百長だ、なんていって、学校の廊下で4の字固めを掛けられ泣かされるタイプであろう。大人になって、『俺だったらこうする』なんて勘違いして、乱歩映画作って失敗していないだろうな?  展示会場では『D坂の三人書房』は初日になかった、ショウウインドウの部分をアップにしてトリミングしたパネルが置かれていた。そこには、当然まだ出版されていない乱歩全集や『ドグラマグラ』『虚無への供物』が置かれているのが判るようになっていた。三大奇書のもう一つ『黒死館殺人事件』も置いたつもりだったが、当時の実物を見たことがないので、怪しいかもしれない。 会場で南陀楼綾繁さん内澤旬子さんご夫婦にお会いする。『D坂の三人書房』は初め、それらしい実際の古書店に、作った看板を合成するだけのつもりで、南陀楼さんを含め、『D坂の殺人事件の似合う古書店アンケート』をお願いしたのだったが、乱歩のスケッチを見ていて、正確に再現したくなり、結局アンケートは無駄になり、申し訳ないことをしてしまったのである。当時白梅軒から明智小五郎が古書店の店先を眺める『D坂の殺人事件』の1シーンを作りたい一心であった。  帰りに荒俣宏さんにご挨拶し、明日配布の『横溝正史と牛込神楽坂を歩く』を含め、何冊かアダージョを差上げる。

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