明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



門前仲町近辺に、私の高校時代の友人に後姿がそっくりな男がいる。仕事がら、私が人の容姿についてそっくり、といったならば、それは一般人がいうレベルでなく、とんでもなく似ていることを意味する。(筈である) その男を5年程の間に3回目撃している。2回は門前仲町の交差点で見かけた。交差点を渡った後、どの道に入っていくかも知っている。友人は、現在精神科の医師をやっているが、男は彼の高校時代の姿で現れるのである。実に不思議な光景で、振り向いて、本当に当時の友人だったら、と不安になるくらいなのである。この交差点では、土砂降りなのに、雨に濡れない女も目撃している。(某日2雨に濡れない女)もう一回は永代通り沿いにある古書店の店先であった。その時は真後ろでなく、斜め後ろをこちらに向けていた。私は3メートルまで迫り、頬も見えているのに、依然として彼にしか見ない。くどい様だが、私がそう思ったなら、全くそうなのである。これで鼻さえ見えれば間違うことはない、友人はかなり特徴的な鉤鼻だからである。ところがもう少しというところでに店に入られてしまった。私はそのままスピードを緩めることなく通り過ぎた。そんなことは有得ないし、ドキドキしている自分もどうかしている、という思いが店内まで追いかけることを躊躇させた。  午後2時過ぎ、Tやんラーメンに寄る。ここでは元力士の御主人と、相撲の話や観賞魚談義をするのを楽しみにしている。拙著『乱歩 夜の夢こそまこと』を出版社から始めて受け取った日、帰りに寄って初めて購入してくれた人でもある。アダージョが出るたび届けている。 自転車を止め店内に入ろうとすると、こちらに背を向けラーメンを食べていたのが件の男であった。今日こそは躊躇するまでもなく、椅子に座れば自動的に男の顔を見ることになる。結果はというと、5年間のオチがこれか?ここのラーメン代は貴様が払うのが筋というものだろ!といっても許される程の結末であった。それはそうである。私もこんなことを、なに長々と書いているのだ。“たいしたことが一つも起こらない日常など読まされても迷惑だろうから”と書いたのは昨日のことだったではないか。

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