出掛けにガスがどうした鍵がどうした、忘れ物がどうした、と出発が遅れるのは母方の家系だと思っていたが、奥さんが玄関から外へ出てくるのを待つという経験を何度もして、女性には良くあることだと知ったのは大分経ってからである。結局、入場したのは、一曲目の最中であった。 生で聴く岩崎宏美さん。想像以上であった。御本人は年々音程が低くなり、といっていたが、私が聞く限り高音部は少女時代のまま。それにコントロールされた大人の声。聴いたことのない曲では、なんという曲だったか、手話をしながらの曲が感動的であった。途中、地震が起きて中断というハプニング。 終演後の握手会の後ロビーにいると、すべて終わって、宏美さんがわざわざ母の元に来てくれた。いきなり宏美さんとハグする母。幸せな老人である。宏美さんファンだった亡き伯母に一度聴かせたかった、よくいっている。母はすでに一緒に写真を撮ったりサインをしていただいている。三人で写真を撮ったあと、せっかくなので、スタッフにお願いして携帯で宏美さんと私二人でお願いした。私は集合写真以外、二人で撮ることはない。特にミュージシャンとは、スティービー・ワンダー、BBキング、シュガー・ブルーについで岩崎宏美だ。ということになるはずであった。携帯のモニターには確かに二人が。ところが母が宏美さんと新小岩の豆腐屋の話をしている。(いつかその店に宏美さんが来たらしい)ステージを終えたばかりの宏美さんに、なにつまらない話しているんだ、早く帰ろう!おかげでうっかりして、画像を保存しそこなってしまった。帰りのタクシーで「何か宏美さんの歌、カラオケで歌えるようになりたい」という母。あくまでお調子者である。 お腹も空いたということで母とT千穂へ。こういう場合、普通相手が誰とだろうと、先ほどのステージについて語り合うものである。しかしそこへ現役、元を含めた某運送会社の大分できあがり“完成”の域に達した不良三人組が私と母のところへ乱入。母は賑やかなのが好きなので喜んでいたが。80過ぎて足がパンタグラフのように曲がって杖をついているが、どこでも出かけてくる老婆が珍しいのか、老人を相手にしてくれる人ばかりで有り難いという一日であった。
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