明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



60Wのアンプとギター二本を持ってくるというSさん。来る前にごついキャリアーを買いに行ったが、アンプが重過ぎて小さな10Wを持ってきた。待ち合わせ場所にある電柱の脇に、私はギター二本入りのバッグに30Wの真空管アンプを置いて待ったが、遠くから見ると粗大ゴミに見える。丁度3時に古石場文化センターに到着。予約は4時間。スタジオは二人には広すぎる。それなら広く使って、と思うがアンプとギターをつなぐシールドがお互い短くて、結局半分も使わず。 私は65年製のグヤトーン。中学生の時に、父方の親戚の納屋に打ち捨てられていた物を修理して使った、それと同じ機種である。今見ると玩具のようだが音は大変良い。もう一本はカワイ製の4ピックアップ。ピックアップ4つも無駄だが、ノブやスイッチが無駄に沢山付いている。Sさんは希少材が使われている100万円のサンタナモデルと、60万円のストラトキャスター。 本日の目的の一つは、自分のアンプやギターを大きな音で鳴らすことである。しかし育ちというのは恐ろしいもので、窓から手を伸ばすと隣りの家に届いてしまうような所で育つと、リミッターがかかってあまり大きな音が出せないのがなんとも情けない。それでも普段では考えられない音量で満足。 私はスライド用の金属パイプやハーモニカに小型マイクも持っていった。なにしろ一人で遊んできたのはブルース進行の音楽だけである。アメリカ唯一の発明といわれるブルースは、ロックンロールなどの多くのポピュラー音楽の下地になっているので退屈しない。しかし驚いたのは、8歳年下のSさんがブルースどころかブルースのコード進行自体を知らないことであった。ひみつのアッコちゃんは知っているらしいが。 下手糞にも色々ある。一人の独身者は、飽きもせず、わずかに憶えたコードだけで、ブルースを長年いたずらしただけ。もう一人の独身者は、仕事の憂さを高額なローンに苦しみながらギターを入手することで晴らし、長年やってきたのは、好きなメタリカやキッスのイントロをちょっと真似てみたところで満足感に満たされ、ギターを磨いてケースにしまうことであろう。 その後、仕事で来られなかったYさんがたまたま誕生日ということで、T千穂で鍋を囲む。現実を知らないYさんは今後の活動に関してやる気満々である。Sさんが「曲を決めて練習した方がいいですよ」。先日そいういった私に、「真面目ですね。そんなの耳で聴いて感覚で合わせればいいじゃないですか」。とぬかしただろう。そういえば君は本日、途中大の字に床に寝ころがり、コードをかき鳴らしながらアンプの調整に長時間費やして終わったな。

去の雑記
HOME



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )