明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



拡大する作品を一つ思いついた。永井荷風が浅草のストリップ劇場通いしたのは有名である。人嫌いの荷風が踊り子に囲まれ笑顔を見せている。踊り子は荷風を知らず、たんに写真好きの老人だと思って接していたようだが、文化勲章受賞後は、扱いも違ってしまったのだろう、次第に脚が遠のいた。 そこで舞台の袖で踊り子を眺める荷風先生の図である。当時はパソコンなど蛇蝎の如き扱いであり、もちろん合成などしていない。私の撮影は、ファインダーの中さえイメージ通りであれば良い、というわけで、端から見ると奇妙な撮影風景であることが多かったが、この作品など最たるものであろう。HPには書いてあるのでいってしまうが、ストリップ嬢の足下30センチに荷風をただ置いているだけである。そこで脚上げをくり返してもらった。画面からすると荷風は小さいので拡大するのも良いだろう、ということもあるが、なんといっても踊り子の太ももが人の胴体くらいになるのが愉快である。 ところで、中学のときに観た『卒業』のこのカットの影響があるような気がするのだが。

深川の人形作家 石塚公昭の世界展

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