明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



坂本龍馬そろそろ仕上げに入りたい。交通局発行の都営地下鉄駅に置かれたフリーペーパー『中央公論Adagio』用に制作した作品で、依頼がなければ作ることはなかった人物だろう。首だけ残しておいた。特集人物や特集場所は広告が取れるかどうかでおおよそ決まっていたようだが、背景は特集駅の周辺ということになっていた。いずれ来るだろう、と恐れていたのが昔の人。たとえば侍である。現代の風景の中、刀を差した人物をどう配せば良いのか。そして来たのが“坂本龍馬と大手町を歩く”であった。大手町周辺を歩き廻り、ようやく旧江戸城は大手門に決めた。おそらく龍馬の身分では近寄ることさえ出来なかった場所であろう。しかし昔の人物を昔の景色にただ配するのも癪である。敗北感が残る。そこで城内にはガイドに引率されたハトバスツアーや家族連れ、外人カップルを配し、龍馬は例の調子で腕組みして立っているが、“こんなはずじゃなかった”的な表情に見えるようにし、完敗は避けられたのではなかったか。隔月で4年続いたこのフリーペーパーにより、大分私も腕力がついた。と当時思ったものだが、鍛えられたのはむしろ頓知力だったのではないか?と今思った。

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深川の人形作家 石塚公昭の世界展

『タウン誌深川』“常連席にて日が暮れる”第4回 

 

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