今年は久しぶりに全生庵の『圓朝忌』に出かけ、圓朝が集めた幽霊画のコレクションを観てこようと思っている。一度観たことはあるが、ただ観るのと圓朝を作りながら観るのとでは当然違ってくる。眼鏡をかけてから眼鏡をかけた人物を作るようになったし、谷崎だか鏡花を作る前には、浅草まで行って着物を買ってきてしばらく家の中で着ていた。“その気”になるためには、できることはやっておきたい。 鏡花にしても圓朝にしても、夜の雰囲気での撮影が主となろう。よって必要となる照明器具は完全ではないがおおよそ揃った。『貝の穴に河童の居る事』では夜の室内シーンではそこまでできなかったが、今回背景として選んだ場所は、照明を落として暗くできる。さすがに蝋燭を使ったり、菜種油で行燈というわけにはいかないので、手持ちの、電球用に改造された行燈を持ち込むつもりである。当時のリアルな明るさにするかどうかは、撮影後に決めよう。 “人間は頭に思いついた物を作るようにできている”というようなことを某脳科学者がいっていたが、その厄介な仕組みのおかげで、日々ああだこうだ、とジタバタさせられている訳である。
HP