ペットにたいして飼い主は、何でも可愛らしく見えるらしい。そういわれても私には大体、普通の犬や猫にしか見えない。しかしウチの金魚に限れば、わざわさ不細工だから、という理由で選んでしまった寒山こと桜東錦を別にすれば、間違いなく可愛い。暗い部屋でライトを点けて眺めていると唖然とするくらいである。生き物が発する色彩は格別である。 女子中高生などは寄ると触るとカワイイを連発しているが、以前、泉鏡花原作”貝の穴に河童の居る事“をビジュアル化して出版した際、間違ってもカワイイとは言わせないよう、心がけた。女性がカワイイと発音するとき、副音声でオイシソウと聞こえてしまうのは、高校を卒業し、入学した工芸学校で、すぐに親睦を兼ねた合宿があり、キャンプファイアーを囲んで酔っぱらつて皆で寝てしまった。夜中に目が覚めると満点の星空、3人の可愛らしい先輩が肩を寄せ合い語らっている。この前までいた男子校とは雲泥の世界である、うっとりしていると、3人の彼女らの、誰君は柔らかそう、誰君は筋ばってるから煮込んだ方が良い、と男子を喰う話が聞こえて来た。 可愛いいから、と新入りのオランダ獅子頭を拾得に昇格させ、拾得を寒山に、不細工で選んだ寒山をベランダに、と考えてしまったが、水替えして眺めていて、やはり同じ桜東錦同士、寒山と拾得とすることにした。新入りのことはまた後日。最終的に、この六十センチ水槽には、寒山と拾得、豊干と豊干の乗る虎、くらいにしたいところである。 絵巻調に描く予定だが、せっかく時間経過を表すには絶好のフォーマットである。頭痛に苛ま苛まれる閭丘胤のところに旅の僧、豊干が訪ねて来て、最後、寒山と拾得が笑いながら何処かへ行ってしまうところまで、寒山詩集の序に描かれたストーリーをそのまま描いてみるのも面白いかもしれない。
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