浮世絵的遠近感は、建造物、建具その他、直線的なものが効果的なのは当然である。だがしかし、私のようなぶきっちょが、逆遠近的に歪んだ建具など作れるわけがない。しかも例によって、たった一カットの為だけに。腹の中では冗談じやない、といつものように思っているのだが、この私がやってみないで諦めるとは思えない。水槽の水替えをしながら方法を一つ思い付いた。これならば作れるかもしれない。名案だと思うが、書かないでおく。作例を見せられるのならまだしも、聞かされた所で感心するわけにも行かないような話であろう。今の所イメージは、私の中にしかなく、説明もし難い。結局私の頭の中のイメージは、取り出して可視化しない限り、そんな事ばかりである。無い物は撮影も出来ない。これも芭蕉あんの構造について考えなければ思い付かなかっただろう。今までもこうやって枝葉を伸ばすように、チビチビと変化を続けてきた。山々など不定形なものはともかく、建造物である、家や寺院などは、すべて歪ませてみたい。というより人家が歪んでいたなら、寺院も歪んでいなくてはならない。果たして逆遠近法を試して失敗した『ゲンセンカン主人』のリベンジなるか。しかし私ほどの面倒くさがりはそうはいないと思うが、こうやって益々面倒な方向に向いて行ってしまう。皮肉なものである。
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