明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



石塚式は日本画の模倣が目的ではない。浮世絵、かつての日本画全て受け入れられる訳でもない。肖像画といえば、ほとんど正面でなければ斜め45 度を向いて前方を見ている。蛇足の一休和尚のように、横目でこちらを見ているなどは珍しい。風景となると絵巻に良くある、空中45 度から見下ろしている。浮世絵の時代になると、ヨーロッパ絵画に影響を与えたダイナミックな広角的構図も現れるが、写真発明以降の目から見ると、独特の逆遠近法など、どちらかといえば長焦点レンズ的である。余談だが、64年の東京オリンピック時、陸上競技の直線コースで前後が圧縮され、後ろの選手が大きく見えるのが不思議でならなかった。 『虎渓三笑図』の構図を考える。すでに山々は自分で作る気満々である。どうも楽しそうなので、本物の風景など使う訳にはいかない、とすっかり気が変わっている。あくまで写真である。いくらか広角じみた構図を考える。 山を下りないと決めていたのに話に夢中になり、境界を超えてしまったことに気が付いて笑う3人。境界を越えた、ということで石橋を中景に渡り切った構図を考えているが、多くが橋の真ん中で3人が笑っている作品が多い。石橋をまず撮ってみてだろう。 写らない所は作っていないとはいえ、一カットのために3人も作った。私の予感だと、もう一カットくらい増えるかもしれない。3人も作ったからではなく、山並みを作るのが面白くなって別カットを、となる可能性がある。自分のことは嫌になるほど良く知っている。



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