中学生になる時、講談社の江戸川乱歩全集の配本が始まった。中学時代を通じ、夢中になり、授業中も読み続けたのは乱歩と谷崎潤一郎である。乱歩のいう〝現世は夢 夜の夢こそまこと”タイプであった私は受けるべき時期に影響を受けた。以前嵐山光三郎さんに「乱歩は谷崎になりたかった人」と伺ったが、乱歩が亡くなった2日後に谷崎は亡くなっている。その全集の挿絵を描かれていたのが横尾忠則さんで、初めて見た時は、切断された首は舌出してるし、何だか変わった絵だな、と思ったが、読み終わると、見事に乱歩世界を表現していることに驚き感銘を受けた。個展の際に、ボロボロになったその本のイラストにサインを頂いた。 昔は、スピリチュアルなことや禅についてついて発言をされていたが、9月に『寒山百得展』が開かれる。今もっとも話を伺いたい方だが、数十年ぶりに上野の美術館に行かねばならない。