明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



独学我流者は、むしろだからこそ、自分でやってみて学んだこと以外知る必要はないと考えて来た。教わったことというと、入学試験もないに等しい工芸学校のリンゴを作る授業で、いきなり粘土をリンゴ大に丸めるな、芯をイメージして作れ。あれが最大にして唯一のことだったかもしれない。当時若くて、私のようなド素人の劣等生とは目も合わせてくれなかった先生は、後に女子美の学長になった。もっともリンゴを前に、いきなり粘土を丸めている若者がいれば、その先生でなくても注意ぐらいするだろう。 その後、人間も草木同様自然物、肝心なことはあらかじめ備わっている。目を瞑って見える物を対象にすべきだ、とそこまで自分を信じたのは、オメデタイかオッチョコチョイが過ぎたか、そのどちらかであろう。40年の挙句に禅的なモチーフに至ったのは、話としては実に良く出来ている。



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