ボーイ・ソプラノとは、少年が大人になるまでの、一期間しか出せない高い声のこと。限られた時間の中で、少年は夢を目指す。子どもたちが夢を追いかける姿に、大人は心を洗われる。
貧しい母子家庭で育った少年スティン。母は働きもせずその日を暮らしている。スティンは親孝行で母の面倒をよく見るが、学校ではやんちゃ。教師の手を煩わせる。しかし、スティンの歌声が素晴らしいことを教師は見抜いていた。
ある日、学校の帰りにスティンは交通事故に遭遇する。亡くなっていた女性は母親。葬式には、父が呼ばれて対応するが、母と付き合っていたとき、すでに自分には妻子がいてスティンは引き取れないという。そこで、スティンが歌の才能があると知った父親は、少年合唱団に無理矢理入学させる。
しかし、学もなく、音符も読めないうスティンは指揮者カーヴェルに厳しくあたられる。まともに授業が受けられず、イライラする日々が続いていた。だが、徐々に歌への情熱を持てるようになったスティンに、チャンスがやってくる。
スティンを演じるのはオーディションで選ばれた新人ギャレット・ウェアリング。劇中にたくさんの名曲が登場するが、NYの舞台では‘ハレルヤ’でお馴染みの「メサイア」。歌い終わったあと、拍手たしようとした人もいたほど、見事に歌い上げる。
指揮者としてダスティン・ホフマンが出演しているものの、物語の中心は少年合唱団の子どもたち。あくまで、指揮者であることをまっとうしているので、超有名俳優であるから素晴らしいというのではなく、ただそこにいて子どもたちに寄り添っている感じ。
監督は『レッド・バイオリン』のフランソワ・ジラール。
歌唱曲のひとつとして、日本の童謡「ほたるこい」も登場。この曲が世界を飛んで名曲になっているとは・・・。
(9月11日公開)