(11月30日公開)
2010年島根県の一畑電車を取り上げた『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』、そして2011年富山県の富山地方鉄道が登場した『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』が製作され、今作はその第三弾となる。鹿児島県から熊本県を結ぶ<肥薩おれんじ鉄道>が舞台となる。鉄道が好きな人は必見。鉄道ファンはここの鉄道が”電車でない”ことは知っているのでしょうね。そして、昭和時代の鉄道を体験している人は懐かしさが襲ってくるはずだ。おそらく、想像どおりに予定調和では?というストーリー展開と思うだろうが、そのとおり。大きく波のある物語ではない。だが、むしろそれが安心して観れる要素でもある。
副題は”わたしたちの出発”となっているので、自分と向き合い、再生していこうとする過程、経緯を見守りたい。現在の中に入り込む過去エピソードが少し辛いが、それが後半の物語回収ポイント。
奥薗晶(有村架純)は急死した夫(青木崇高)の連れ子を伴って、夫の故郷である鹿児島へ向かう。そこで鉄道の運転士をしている義父・節夫(國村隼)を訪ねる。
息子の死、顔を合わせた嫁、そして孫の存在に困惑するも、行く当てがない二人を住まわせる。生活のために仕事を探す晶は、亡き夫の夢でもあった鉄道運転士の試験を受ける。
主演の有村架純は、このところひたむき系・健気系な役柄が多い気もするが、この作品でもひたむきに頑張る。頑張るぞ!という頑張りではないので平穏だ。
誰のために運転士になりたいのか、誰を乗せたいのかも職業選択の材料となっている。
出演はほかに、桜庭みなみ、筒井真理子、木下ほうかなど。監督は『バースデーカード』の吉田康弘が務めた。主題歌は「カラー」で斉藤和義が担当している。