映画好きを公言し、批評もするどい俳優・斎藤工が監督した作品。
13年間会っていない父親が余命いくばくもないという連絡が息子たちに入る。
父親がろくに働かず、ギャンブル三昧。借金とりがやってくる家。家族は借金とりに怯えながら生活している。
だがある日、父親はたばこを買うと言ったまま家に戻ることはなく…。
最悪と最高の父親の記憶。普通の父親の記憶などない。
しかし、葬式という場所で、個性豊かな参列者によって父親のことが語られ、息子たちは自分たちの知らない父親の姿を知る。
高橋一生とリリー・フランキーが出演をOKしている時点で、作品は成功していると言える。間合いと感覚がおもしろい。ガツガツせず、淡々とした間合いで展開する。
人の価値は、目に見えることだけが真実ではないということか。
二組の告別式が描かれる。人間の価値の対比。比べてはいけないものを比べてしまう、その心理を。
長男は斎藤工、次男を高橋一生、父親をリリー・フランキー、母親を神野三鈴、次男の恋人を松岡茉優が演じている。ほかにも個性派俳優が出演しているので、あれは誰か?探してみては。
俳優が片手間につくった作品ではなく、軸があるので、ちゃんと観ることができる作品。映画として、ぶれていない。