夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『奇跡のリンゴ』(試写会)

2013年05月22日 10時57分06秒 | Weblog
リンゴ農家、木村秋則さん夫妻の実話を映画化。大事件が起こるわけでもなく、物語の展開やラストがわかっている、ド直球な作品。しかし、これがストレートでじんわりきてしまうのである。人気とりのキャストではない俳優陣も、それぞれの役柄にぴったり納まっている。監督は、『ゴールデンスランバー』などの中村義洋。

青森のリンゴ農家に生まれ育った三上秋則は、農業にまったく関心がなく、高校卒業後は電気メーカーに勤務していた。そんなとき、親から見合いを勧められるが、相手もリンゴ農家のためイヤイヤ出席。だが、そこにいたのは、高校時代から秋則が思いを寄せる木村見栄子だった。結婚相手が見栄子なら、断る必要もない…ということで、秋則は木村家の養子として見栄子と結婚する。

リンゴ農家として、秋則はそれなりに充実した生活を送るが、リンゴ栽培に欠かせない作業である農薬散布が見栄子の身体を脅かしていることを知る。安全なリンゴを作ることと、安全にリンゴを作ることは違っていたのだ。そして、愛する妻のため、無農薬でリンゴを栽培することを秋則は誓う。

だがそれは、苦難の連続だった。

生活を切り詰め、妻子には苦労を背負わせ、借金は嵩んだ。そして、万策が尽き、追い詰められた秋則に光がさす出来事が起こる。

木村夫妻を演じるのは阿部サダヲと菅野美穂。無農薬リンゴ栽培のためにまっすぐ突き進む秋則役の阿部サダヲは、この人以外考えられないというぐらいのハマりぶり。その夫を支える妻を演じる菅野美穂も、安定感を見せている。脇に配されたのも山崎努や伊武雅刀、原田美枝子などのベテランで、映画全体がしまっている。子どもたちにも、泣かされる。11年も一つの思いに突き進み、諦めずに、やり遂げる。東北人の強さや日本人の強さを感じる

(6月8日、公開)

『図書館戦争』

2013年05月18日 10時13分43秒 | Weblog
岡田准一のための映画。鍛え上げられた身体と俊敏な動き。後半は岡田准一の独壇場である。本当にSPができるんじゃないか?そう思わせる。

監督は、アクションシーンに定評がある佐藤信介。
図書を守り、思想の自由のために戦う図書隊ではあるが、基本はラブストーリーである。

『県庁おもてなし課』

2013年05月14日 11時41分59秒 | Weblog
 最近、ご当地ものというか、観光PRのような映画作品を目にすることが多い。そんな中、この作品の注目点をあげるならば、今注目の作家・有川浩の原作であるということ。そして、原作者の出身が高知県である。だからこそ、高知県愛にあふれている…というのがこの『県庁おためし課』。その高知県愛、郷土愛を出演陣がどう演じるかが、見どころの一つでもある
 
 イマイチ、県としての存在が薄い、インパクトがない。ゆえに観光客も集まらない。しかし、それではいけないと県庁に“おためし課”が設置される。そこに配属された若手職員・掛水は、とりあえず浮かんだ案で、地元出身の作家・吉門喬介を特使に任命する。だが、その後何の連絡もせず、ひと月以上も吉門をほったらかし、掛水は吉門に役所批判と民間とのズレを指摘されてしまう。だが、吉門が言っていた“パンダ招致に関わった人物・清遠”について調べてみろ、という言葉を思い出し、アルバイトの多紀の力を借りて、本格的に観光振興策について動き出す。だが、そこはお役所…ひとくせある清遠の案にのらりくらり。諦めかけた掛水だが、本当のおもてなしを見出すべく奔走する。

 有川浩原作の『阪急電車 片道15分の奇跡』も手がけた三宅喜重監督と脚本家の岡田恵和が再タッグを組んだ話題作。主演の掛水には関ジャニ∞の錦戸亮を起用。ヒロインの多紀には「梅ちゃん先生」の堀北真希を配した。人気小説家の吉門には、若手実力派の高良健吾。カギを握る人物・清遠は船越英一郎があたっている。ジャーニーズでは演技派の錦戸亮だが、彼の持つ明るいキャラは生かせてるかもしれない。ただ、脇を固める人たちが、文句のつけようがないぐらい素晴らしいのである、ということを伝えておきたい。高良健吾の繊細な演技と船越英一郎の豪快な演じっぷりは鉄板ぐらいにイイ
 
 
主役二人の淡すぎる恋の描き方や海にむかって叫ぶシーンが、昭和テイスト。このあたりを受け入れられれば、かなり軽快に物語は観れる。ほのぼの系なので、リラックスできよう。そしてありきたりな言葉としては、高知県に行ってみたくなること間違いなし

『ハッシュパピー~バスタブ島の少女~』

2013年05月13日 11時12分47秒 | Weblog
 嵐が来れば埋もれてしまうと言われているバスタブ島。閉鎖的で不便な環境にありながらも、6歳の少女ハッシュパピーは父とふたり、島の住民と支えあいながら暮らしていた。しかし、父は病にかかり、島も嵐に見舞われる。すべてを失ってしまい、途方に暮れる住民たち。そして、島から強制退去させられるときがやってきて…。

 生きることはグロテスクなのだ。生きとし生けるもの…命を奪い合いながら生きる。文明の発達が、すべての人に幸福であるとも言えない。ただ大切なのは、ここで生きるということ。ラストのナビゲーションでハッシュパピーは語る「あたしは大きな世界の小さなカケラ」であると。そう、自分が生きる場所、生きるべき場所はそれぞれにある。

 貧困や人権問題などは現在の邦画では描けなくなってしまった。他国でこういったことを表現されると、気づかされることも多い。綺麗な映像など一切ない、魂の一作。

 ヒロインのクヮヴェンジャネ・ウォレスは、最年少でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。カンヌ映画祭でも話題になった物語。

『ペタルダンス』

2013年05月02日 09時09分40秒 | Weblog
心にちょっとした傷を抱えている女子4人のロードムービー。誰が、どんな問題を抱えているかには、言及していない。

セリフは、主要なもの一つ与えられて、あとは流れと出演者の感性で繋がれていく。ある意味、出演者の素の部分が垣間見えるとも言える。何かに答えを導いているというわけではない。
こういった作風が好きか嫌いかは、別れるところ。ただ、ドラマでは成り立たない作り方ではないだろうか。主役級のキャストの使い方がもったいない気もするが

監督はCMディレクターとして活躍中の石井寛。『好きだ、』以来の3作目の映画監督作となる。出演は、宮崎あおい、安藤サクラ、吹石一恵、忽那汐里、風間俊介、安藤政信。