夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『蜩の記』(試写会)

2014年09月25日 10時53分51秒 | Weblog
 
原作は直木賞を受賞した葉室麟の同名小説。演出・脚本は巨匠黒澤明監督の愛弟子である小泉堯史がつとめる
映画であることをこだわりぬいて作られた作品である
主人公の戸田秋谷を演じるのは、名優・役所広司。秋谷を監視するためにやってくる檀野庄三郎を演じるのは、時代劇の出演も多い岡田准一。

ある罪を起こしたことで、10年後の夏に切腹することと、それまでに藩の歴史である「家譜」の作成を命じられた戸田秋谷。すでに、7年が過ぎ、切腹の日は3年後に迫っていた
 
檀野庄三郎は、秋谷が逃亡せぬように監視せよ、との命を受け見張り役として、秋谷の妻・織江、娘の薫、息子の郁太郎とともに生活をはじめる。

家譜の編纂という重要な任務をこなしながらも、淡々と大切に一日一日を過ごしていく秋谷の姿に、庄三郎は感銘を受ける。

やがて庄三郎は、事件の証拠となる重大な文書を手に入れるが…、待ち受ける運命は?

粛々と迎える“その日”。主君に命を預けた、武士の生き様。現代のように、生きるための選択肢は少ない時代だが、これもまた自らの受け入れざるを得ないさだめ。どう生き、どう死んでいくのか。悔いなきように。

 今作は、デジタルではなくフィルム撮影。フィルム独特のざらつき感に手作り感があり、日本の景色を引き立たせる。スクリーンの端から端まで目を配って鑑賞されたい。
出演は、薫には堀北真希、秋谷の妻・織江を演じる原田美枝子ほか。キャストや背景など、全体的なバランスがいいので余韻を楽しみたい。

(10月4日公開)

『舞妓はレディ』(試写会)

2014年09月09日 12時39分04秒 | Weblog
1996年『Shall we ダンス?』が大ヒットとなりハリウッドでもリメイクされたが、前作『終の信託』では、これまでの軽妙なタッチとは違う手法で作品を描いた周防正行監督。
今作は、20年前『しこふんじゃった』の次回作として考えられていた。そんな‘幻の作品’が満を持して製作された。ヒロインは、800名のオーディションから選ばれた上白石萌音。このヒロインのあどけなさがややぼったさが新鮮である。今時こんな純粋そうな子もいるのね

京都にある「下八軒(しもはちけん)」は、小さいけれど歴史がある花街。だが、舞妓は百春ただ一人という問題を抱えていた。しかも、その百春も舞妓になって10年がたち、30歳を迎えようとしていた。
そんなある日、八軒小路の老舗お茶屋・万寿楽に「舞妓になりたい」という少女・春子がやってくる。

しかし、この春子…コテコテの鹿児島弁と津軽弁を話し、どこの馬の骨ともわからず、女将の千春は彼女を追い返そうとする

だが、たまたまその場に居合わせた言語学者の京野は、絶対に春子の訛りを直してみせると宣言する。

こうして春子は、万寿楽の仕込みとなるが、すぐにお座敷に上がれるわけもなく…唄や舞踏の稽古の日々が待ち受けていた。
さらに、最大の難関である訛りの矯正は無事に成功し、一人前の舞妓になることはできるのか?

そして、春子が舞妓になりたい本当の理由とは?

作品の魅力となるのはヒロインのひたむきさ。ミュージカル仕立てになっていて、芝居だけでなく歌えることも春子役には求められた。上白石はそれに見事にこたえているし、役にはまっている。

ところで、今作はキャラ設定を含めて、往年の名作映画“マイ・フェア・レディ”を彷彿させる。
きっと意識しているタイトル『舞妓はレディ』。
主題歌は、鑑賞後しばらく頭の中を回る。これも狙いに違いない。
出演はほかに、万寿楽の女将に富司純子、言語学者の京野には長谷川博己。また先輩の舞妓には京都出身の田畑智子、芸妓・里春に草刈民代など。
また、妻夫木聡や津川雅彦などの主役級がワンポイントで多数出演している。エンドロールで確認すると、見逃している出演者がいるかも



ただ、全体的に冗漫?中だるみ?に感じるところも。本来、物語の内容そのものはシンプルなので、歌う部分により上映時間が長くなる。台詞だけでそのシーンを終わってもよかったのか、いろいろなスターを出しすぎたのか…というのも感じられた。

とはいえ、現代劇なのに、時代劇ぽさもあり、老若男女が楽しめるのは確か。

(9月13日公開)