夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

2012年『私的映画ベスト10』

2012年12月30日 10時55分19秒 | Weblog
ベテラン俳優たちが出演した映画が次々と公開された今年。ドラマ系映画を観るのか、映画らしい映画作品を観るのか…。興行収入と名作、良作は違うという視点で選びたい。アカデミー賞作品賞の『アーティスト』は、素晴らし過ぎて別格とする。

1. 『わが母の記』…この映画を観たとき、一位にしようと思っていた。俳優陣と物語の内容、キャスト、それらのバランスがいい。樹木希林、役所広司、宮崎あおいが共演。樹木希林は、『北のカナリアたち』の吉永小百合と出演女優賞を争うだろう。

2. 『夢売るふたり』…松たか子と阿部サダヲが夫婦役。夫婦で結婚詐欺。ラストが予想外。練りに練られていて、秀逸。大手資本ではないので、内容で勝負。

3. 『カラスの親指』…こちらも詐欺師の話で、ラストにひねり。阿部寛と村上ショージの共演。上映時間がすこし長く感じるのが難点。

4. 『臨場 劇場版』…ドラマ系映画。内野聖陽の演技が素晴らしく、引き込まれた。これで、ドラマから続いたシリーズが終了?してしまうのは惜しい気がする。

5. 『北のカナリアたち』…吉永小百合主演作。ある事件がきっかけで教師を辞めることになる女性を演じた。過去の教え子は、森山未來、宮崎あおい、満島ひかり、小池栄子、松田龍平が演じるという豪華キャスト。意外なラストだが、物足りなさもある。

6. 『あなたへ』…高倉健が主演。日常で何か特別なことが起こるわけではない。いままでの人生を新たな出会いとともに見つめた。邦画の良心のような作品。

7. 『黄金を抱いて翔べ』…井筒和幸監督の作品の中でも、芸術性が高いと感じた。出演者が男性ばかりで男くさいのだが、そこはかとなく、哀しい。

8. 『天地明察』…快作。日本独自の暦づくりに心血を注いだ安井算哲と妻の話。コツコツと真面目に仕事に向かう様に感動。日本人の真髄を見た。

9. 『鍵泥棒のメソッド』…ミニシアター系の真骨頂。ストーリー展開と内容の良さで魅せる。堺雅人と香川照之のコンビネーションの良さは言うまでもない。

10. 『シグナル』…ミニシアター系をもう一本あげておきたい。地方の古い映画館が舞台。フィルム映画が好きな人には、ハマるポイントがあるかも。三根梓、AAA西島のラブストーリーがメインになっていないところも良い。

番外

11. 『最強のふたり』…イギリス映画。お金もちの身体障害者と生活保護をもらうために面接に行く黒人が知り合い、交流が始まるというもの。お涙ちょうだいという作りになっていないので、楽しめる。

12. 『外事警察』…裏切り、裏切りのストーリー展開。渡部篤郎のハマり役。テレビドラマ系であるが、映画として楽しめた。

13. 『キツツキと雨』…ミニシアター系をもう一つ。役所広司と小栗旬の共演。悩み多き気の弱い若手映画監督を演じた小栗旬は外せない。KYな村人を演じた役所広司にも注目してほしい。



『LOOPER/ルーパー』(試写会)

2012年12月26日 11時05分25秒 | Weblog
30年後の自分と対峙。未来の自分が死ねば、自分の未来がなくなってしまうかもしれない。未来が変わってしまうかもしれない。どうすればいい?

未来では、タイムマシンの使用が禁じられていたが、犯罪組織が敵を消した証拠をなくすために利用し、抹殺するターゲットをルーパーと呼ばれる殺し屋に転送していた。殺さなければ、自分が殺されてしまう闇の世界。

ある日、ジョーのもとに一人のオトコが送られてきた。それは、30年後の自分だった。ジョーは、未来の自分を殺害することにためらい、逆に組織から狙われることに。しかし、未来の自分から、逃げる理由を聞かされる。

30年後の未来がこんなに荒んでいるなら、実際には見たくないなぁ、と感じる。希望がある未来がいい。未来には希望があると思いたい。

『インセプション』のジョセフ・ゴードン=レヴィットと『ダイ・ハード』『エクスペンダブルス』のブルース・ウィリスがそれぞれ現在と30年後を演じる。監督は『BRICK ブリック』のライアン・ジョンソン。結末は未来へ繋がっている。

ジョセフ・ゴードンとブルース・ウィリスが同一人物⁈⁈
30年の歳月は、悲しいのお(´・_・`)

『大奥~永遠~』(試写会)

2012年12月16日 21時06分32秒 | Weblog
男だけが患う疫病が席巻し、男女の役目が逆転した世が誕生して30年。
今は、五代将軍綱吉の時代。

徳川の治世は最盛期を迎えていたが、大奥では後継者を巡って争いが起こっていた。そんなとき、京から右衛門佐という一人の公家がやってくる。彼は、野心を持ち、類まれな才覚で綱吉に取り入り、大奥総取締につく。

一人娘の松姫を亡くした綱吉は、政から遠ざけられ、世継ぎ作りに専念させられることになる。才色兼備である綱吉。夜ごと男と閨をともにするが、綱吉が懐妊する気配は一向になかった。そんな中、綱吉は孤独と不安に苛まれていく。

父である桂昌院に従い、生類憐みの令を出すが、民は掌握できず、懐妊することもなく、綱吉は気力を失うばかりであった

そこに手を差し伸べたのは、右衛門佐だった。果たして、右衛門佐の真実の心とは…。


テレビドラマ『大奥~誕生~』で慈愛あふれる有功を演じた堺雅人。今回は、野心みなぎる右衛門佐を演じる。時代に翻弄される将軍、徳川綱吉を演じるのは菅野美穂。綱吉の側用人・柳沢吉保は朝ドラで名演を見せた尾野真千子、右衛門佐の部屋子・秋本を柄本佑がつとめる。綱吉の父・桂昌院は西田敏行。

実力者揃いのキャスト。誰がいいというより、それぞれが実力を発揮している。ただ、桂昌院を演じる西田敏行は、さすがの怪演ぶりで、存在感もピカイチ。連続ドラマを見ていた人は、逆転の状態には既に抵抗感はないはずで、これが男性である綱吉に置きかえると、その人物の評価も変わるかも

原作は、よしながふみのコミック。脚本は神山由美子、監督は金子文紀がつとめている。

『綱引いちゃった!』

2012年12月08日 19時22分35秒 | Weblog
今作は、『舞妓Haaaan!!!』と『なくもんか』で、笑いをエンタテイントメント映画にした水田伸生監督の最新作。脚本は『パッチギ!』の羽原大介のオリジナルという痛快コメディである

大分市役所広報課に勤務する、真面目な公務員・西川千晶は、ある日、市長から大分をPRするため、女子綱引きチームを結成するように命令される。過去に、大分コスモレディースが日本一になったことはあるが、今は、8人のメンバーさえ集まらない。そこで、千晶は母が勤める市の給食センターが廃止される方向にあることに気づき、給食センターの職員をメンバーにする。目的は、全国大会出場まで勝ち抜いたら廃止を取り消すこと。

しかし、集まったメンバーは、一筋縄ではいかない個性的な女性たちだった。千晶は、チームをまとめ、全国大会へ向かうことはできるのか?


チーム綱娘を引っ張るヒロイン千晶には、『八日目の蝉』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した井上真央。綱娘のメンバーで千晶の母を演じるのは、松坂慶子。熱血コーチ・公雄は玉山鉄二が演じている。ほかの綱娘のメンバーとして、浅茅陽子、西田尚美、ソニン、渡辺直美、犬山イヌコ、中鉢明子

玉山鉄二が演じる公雄が、井上真央が演じる千晶に、一方通行な恋心を抱き、妄想しながらも、熱血漢としてチームを指導する。その一方通行ぶりが、むしろ微笑ましい。映画初出演の渡辺直美には、あえて注目しなくとも目がいくはずの、大物ぶり?
さっくり、さくさく、スタスタと鑑賞できる。邦画だからこそ成り立つ、ストーリー展開。複雑な伏線やオチはなし。チーム綱娘の活躍だけに集中して…。

主題歌は、DREAMS COME TRUEの「愛して笑ってうれしくて涙して」。

『東京家族』(試写会)

2012年12月06日 08時59分28秒 | Weblog
『男はつらいよ』シリーズなどで、監督として金字塔を打ち立ててきた山田洋次監督。その山田監督の監督50周年作品が『東京家族』である。小津安二郎監督へのオマージュ。山田監督なりの小津監督への愛が溢れた作品となっている。

瀬戸内に住む親と、東京で暮らす子どもたちの普通に起こりうる日常を描き出す。

瀬戸内海のある島で暮らす老夫婦・周吉ととみこは、子どもたちに会うためと、亡くなった友人の弔いのために東京にやってきた
長男は医師、長女は美容師、次男はフリーター。子どもたちは、両親の訪問を喜ぶが、それも最初だけ。そのうち、周吉ととみこの居場所がなくなっていく。子どもたちは、その日その日の生活に忙しいのだ

そろそろ、夫婦が島に帰ろうと考え始めたとき、妻のとみこが急死する。


老夫婦の間に流れるゆったりとした時間。お互いを思う気持ちが、じわじわと伝わる。成人した子どもたちとは、距離ができてしまうが、親の立場、子どもの立場からその心境がわかるに違いない。
特に仲がいいわけではなくても、親子だから、わかりあえる親子の距離感。

父・周吉に橋爪功、母・とみこに吉行和子。長男・幸一には西村雅彦、長男の嫁・文子は夏川結衣。長女・滋子には中嶋朋子、長女の婿・庫造に林家正藏。次男の昌次は妻夫木聡、その恋人には蒼井優という豪華なキャスト。

家族を見直す、いい機会かも。ゆったりとした時間軸で、物語は進行する

(2013年1月19日公開)