夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『世界にひとつのプレイブック』(試写会)

2013年02月21日 09時06分12秒 | Weblog
トロント国際映画祭観客賞受賞作品。

精神科病院から退院し、自宅に戻ったパット。彼は妻が浮気をしているという妄想で妻を殴り、妻からは接近禁止命令が出されていた。
夜中でも躁状態で家族を巻き込むパット。自分自身にもどかしさを感じる中、ある女性と知り合う。彼女の名はティファニー。そんな彼女にも心の傷があった

妻に未練がある男と夫に死なれた女。人生をやり直したい、ティファニーはダンス大会に出ることを決意。パットを強引にダンスに引き込む。

気分が上がったり下がったり…。視点が変わってるよね、と思いつつ、いつか、イカれたやつが、かわいく、いとしくなっていく。人と人のつながりは力になるんだな、と思わせてくれる。頑張れば、報われるということも改めて感じる。

で、この映画、ロバート・デニーロが闇ギャンブルで生活しているのだけれど、丹精な顔立ちなのに、セコいことするねで、これまでの彼の役とはギャップあり。しかし、絶対あかんことをしているのに正当化され、家族が一丸となる様がおもしろい。日本との文化の違いや家族との距離感の違いもわかる。

だいたい、普通とは何か。イカれてるとはどういうことか、その物差しは自分がどうとらえるか、ということに帰結するのではないだろうか。主演に、これと知れる有名俳優をもってきていないところがミソ。プレイブックとは、アメリカンフットボールでチームが持つ作戦ノートのこと。野球同様、アメリカンフットボールはアメリカ人には生活に密着したものであることがわかる。

監督は『ザ・ファイター』のデヴィット・O・ラッセル。パットを演じるのはブラッド・クーパー、ティファニーにはジェニファー・ローレンス。ジェニファー・ローレンスはゴールデン・グローブ賞主演女優賞を受賞した。出演はほかに、ロバート・デニーロ、ジャッキー・ヴィーヴァー、クリス・タッカー。ダンス大会での、ちょっとエロい振り付けにも注目を。

(2月22日公開)

『ボクたちの交換日記』(試写会)

2013年02月20日 09時07分31秒 | Weblog
若いころに描いていた、あのころの未来。あのころの夢。諦めなければならなかった、夢や目標。今、振り返って、後悔はない?成功して、憧れの存在になっているけど、やり残していることはない?
そんな世代に送るメッセージ。

お笑いコンビ・ウッチャンナンチャンの内村光良の脚本・監督作品。内村監督は、映画監督になるのが夢で学校に通っていたが、当時の講師の勧めもあり、お笑い芸人でデビューした。そんなエピソードが、この映画の内容とだぶる。

結成12年。30歳を間近に控えた、売れないお笑いコンビ「房総スイマーズ」。お笑いだけでは食べていけず、アルバイトの日々を過ごしている。離れつつあるお互いの気持ち。そして、甲本は田中に交換日記の提案を持ち掛ける。一方通行で始まった交換日記。そんなとき、あるお笑いコンテストが行われることになり、房総スイマーズは優勝を目指して練習に励むことになる。相方と一緒に成功したい、と願いつつ…。

交換日記は、いまでいうとメールの送受信ということになるが、ポイントは日記だからという点。ただ、単純に言えば、回顧主義的な映画に感じるのが残念なところ。お笑いブームを知る世代には、想像の範囲内の話と思える。

房総スイマーズの甲本孝志を演じるのは、小出恵介。相方の田中洋平を演じるのは伊藤淳史。この作品が成立しているのは、主演二人の演技力によるところが大きい。お笑いイベントのシーンは必見。絵に書いたような、理想の芸人の妻を演じるのは長澤まさみ。ほかに、木村文乃、川口春奈、佐々木蔵之介など。人気放送作家・鈴木おさむのベストセラー小説「芸人交換日記~イエローハーツの物語」が原作である。ファンキーモンキーベイビーズの「サヨナラじゃない」が主題歌になっている。

(3月23日公開)



『アルゴ』

2013年02月04日 11時36分11秒 | Weblog
  1979年、テヘランで起きたアメリカ大使館襲撃事件の真相を映画化。『ザ・タウン』などのベン・アフレックが監督、製作、主演を努めた。

1979年11月4日、テヘラン。イランで革命が激しさを増し、アメリカ大使館を過激派グループが占拠。52人もの人質をとる、という事件が起こる。彼らの要求は、前国王のパーレビの引渡し。パニックの中、アメリカ人6名が大使館から抜け出し、カナダ大使の私邸に潜伏する。
 
救出作戦に駆り出されたのは、CIAのトニー・メンデス。トニーの作戦は、うその映画を企画し、6人をロケハンの撮影スタッフに仕立て、出国させる作戦だった。特殊メイクの第一人者ジャン・チェンバースが協力し、SFファンタジー『アルゴ』の記者会見が盛大に行われる。ところが、6人の脱出者がいるということにイラン側が気づいてしまう。発見されると殺害されることは明白。無数の危険が伴うこの作戦は、無事に成功するのか…。

事件当時の大統領カーターはこの救出作戦を機密事項に指定。事件から18年後、当時のクリントン大統領が機密扱いを解除し、人質救出作戦が明るみになった。ハラハラドキドキ。生のとなりに死。映画として凄い上に、実話。あのニュースがこんなことだったとは。

  今だからこそ見るべき作品。世界から紛争がなくなればいいけれど、いつもどこかで…

『レ・ミゼラブル』

2013年02月02日 19時40分00秒 | Weblog
小学生のころに読んだ本「ああ、無情」。恥ずかしながら、肝心な内容は忘れていた。映画を観ながら、ああそうだ、そうだ、と話が降ってきた。

この作品は、人気ミュージカルを映像化したもの。映画らしいキャストで、映画らしくなっている。キャストは、すべて自分で歌っているのが興味深い。セットも大掛かりで、目が離せない。フランスは、革命の歴史。民衆の生きようとする力が、伝わってくる。

ジャン・バルジャンは、パンを一つ盗み、19年投獄されていた。看守を担当しているジャベールから、仮釈放の許可を申し伝えられる。しかし、仮釈放とは言っても、まったくの自由の身というわけではなかった。生活苦のため、また盗みをしてしまったバルジャンだが、司教により許される。それを機に仮釈放許可証を捨て、自由に生きることを決意した。

その後、バルジャンは成功し、市長となっていた。そこに、ジャベールが赴任する。

バルジャンの工場で働いていた女性・ファンテーヌが、工場長とトラブルになりクビに。しかし、彼女には小さな娘がおり、仕送りしなければならず、生活のために身を落とす。しかし、やがて病に。それを聞いたバルジャンは、彼女を助け出す。そして、彼女にコゼットという娘がいることを知った彼は、必ず見つけ出して、自分が育てることを約束する。

やがて、美しい娘に育ったコゼット。ひそかに暮らす二人を、ジャベールは見つけ出し、執拗にジャン・バルジャンを追う

また、青年マリウスは仲間と革命を興そうとしていた。

映画とは思えない、大画面のミュージカル。ただ、舞台作品を見慣れている人には、かえって迫力が伝わってこない面があるかもしれない。映画は映画、舞台は舞台なのだけれど、過度な期待をすると拍子抜けすることもあるかもしれない。映画としては、とても見応えあり、映像化したのがすごい。ジャン・バルジャンを演じるのはヒュー・ジャックマン、冷酷な警部にはラッセル・クロウ。ファンテーヌは『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイ、コゼットには『マンマ・ミーア』のアマンダ・セイフライド。監督は『英国王のスピーチ』のトム・フーバーがつとめている。


原作は1862年に発表されたヴィクトル・ユーゴーの大河小説。19世紀のフランスが舞台となっている。