夢と希望をあきらめない。家や仲間や財産が一瞬にしてなくなったとき、助けてくれたのは、やっぱり家族や仲間だった。
1995年1月17日未明、震度6の地震が神戸市一帯を襲う。商店街でカメラ店を営んでいた古市忠夫の家もすべてが消失したが、忠夫は街の復興に取り組む。そんなとき、忠夫の車が震災の中で無事だったことがわかり、トランクを開けるとゴルフバッグが無傷のまま見つかる。「奇跡や!」と思う忠夫。忠夫は、これまで月3回のゴルフに行くのが楽しみで、趣味だった。
街が復興に向かう中、忠夫はプロゴルファーになるという夢に突き動かされる。あの震災の中で、焼け残ったゴルフバッグ…それは、何かを意味しているに違いない、忠夫はそう思うのだった。
本作は、シニアツアーで活躍中の古市忠夫氏を主人公にしたノンフィクション作品。阪神・淡路大震災の被害を受けながら、「わしら、生かしてもろてん。生かしてくれた人に感謝せな」と、「ありがとう」何度も感謝の言葉を口にする主人公である。プロテストを受ける古市氏を演じる赤井英和が、ゴルフ場に向かって深々とお礼をするシーンが印象的。
主人公古市忠夫の妻役には田中好子。ゴルフ場のキャリーに薬師丸ひろ子が演じている。賛同出演として、永瀬正敏や豊川悦司など、たくさんのキャストがワンシーンだが出演している。