夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『ディア・ファミリー』

2024年07月07日 19時53分20秒 | Weblog

この映画の予告編を観たとき、あるTBSドラマでの工場が浮かんでいたのだ

が。当たり前だが、別物だった。

世界で17万人の命を救ったIABPバルーンカテーテルの誕生にまつわる実話を

もとに描いたヒューマンドラマ。脚本は『糸』の林民夫、監督は『君の膵臓を

食べたい』の月川翔が務めている。

1970年代。小さな町工場を経営する坪井宣政(大泉洋)と妻・陽子(菅野美

穂)の娘である佳美(福本莉子)は生まれつきの心臓疾患を抱えており、幼い

ころに余命10年を宣告されてしまう。どこの医療機関でも治すことはできない

現実を突きつけられた宣政は、娘のために自ら人工心臓を作ることを決める。

知識も経験もない医療器具の開発。それは限りなく不可能に近かったが、宣政

と陽子は勉強に励む。有識者には頭を下げ、資金繰りにも奔走しなければなら

なかったが、佳美の命のリミットが迫っていた。

佳美の姉・奈美は川栄李奈、妹の寿美は新井美羽が演じる。病院関係者には、

光石研、徳永えり、松村北斗、満島真之介。他には戸田菜穂、上杉柊平など。

なお、物語の始まりは夫婦が黄綬褒章の授賞式インタビューから。インタビュ

アーは記者役の有村架純。ラストに、そのシーンに戻るのだが、これには理由

がある。

モデルとなった人たちのものすごいエネルギー。娘のために、妹のために、姉

のために。今は、医療ドラマの中の台詞でもカテーテル手術という言葉が出て

くる。この手術ができるのは、開発する人たちの情熱があったから。そして、

病院内部が縦社会だからこそ、その力関係に押しつぶされていくことがあるこ

とも、理不尽だ。腹立つ~と思う場面があるのは、悔しいが現実なのだろう。

つくづく、自分の立場より目の前の命を優先してくれることを願う。

大泉洋を中心に家族役のキャストは熱演。大泉洋と菅野美穂は幅広い年代を演

じているのはお見事。また、大泉洋の大ファンであることを公言している松村

北斗もナイスアシストしているのでチェック。松村北斗はアクがない演技がで

きるので、この映画でも力みなく感じる。

当方は鑑賞中、ある記憶が蘇っていた。うちの家の斜め向かいに昔、「心臓が

悪くてもう何度も手術してるみたいやねん」と母が話していたまだ小学生だっ

た女の子。明日は入院だという日、おかあさんが銭湯に連れていけないので

(まだみんなに家風呂がなかったそういう時代)、うちでその子がお風呂に入

ることになった。「手術のあとがあるで、びっくりせんといてな」と言われた

と思うが、子どもの入浴の仕方もわからず…長屋の狭い風呂場だし…傷に触れ

ないようにこわごわで、頭にお湯をかけて頭を洗ったり、背中をこすったりし

たと思う。とても本人に気をつかわせてしまったはずだ。そしてその後、当方

はその子の姿を見ることはなかった、と思う。しばらくしてお葬式があったか

ら。普段からほとんど会うことはなかったけれど、とてもしっかりしたいい子

の印象のままという記憶で。  

たぶん、この映画と変わらない時代なはずだと、そのことで頭の中が目まぐる

しかった。おそらく、まだ心臓が悪いと助からない、そういう認識があった時

代だと思う。カテーテルが外国製で日本人の体に合うはずがなかった。人口心

臓が必要だったのかもしれないけれども。そしてまだ、完全な人工心臓は完成

していないという。




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1 コメント

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Unknown (kunchan)
2024-07-11 04:42:25
考えさせられるいい作品ですね。
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