夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『鳩の撃退法』

2021年08月30日 13時22分35秒 | Weblog

鳩の撃退法

直木賞作家・佐藤正午のベストセラー小説を映画化。『ホテルビーナス』のタカハタ秀太が監督を務めた。主演は藤原竜也。今回もアツく、

けれどもちょっとヘタレな役を演じている。今回は殴られるぐらいで…済んでいるけれども。クズを演じさせたら日本一??

 

直木賞作家受賞経験のある津田伸一(藤原竜也)は、ある失敗により書く仕事もなく、富山県のある町でデリヘルの送迎をしている。

あるとき、深夜のカフェで幸地秀吉(風間俊介)と出会い、話をするうちに想像が掻き立てられ、小説を書き始める。

現在、東京のバー「オリバー」では担当編集者の鳥飼なほみ(土屋太鳳)は、津田に執筆中の新作を読まされている。

津田の体験を踏まえたものというその小説におもしろさを感じつつも困惑する。

これは、本当に小説なのか? 以前、津田の小説で痛い目にあわされた鳥飼は慎重な態度を崩さない。

だが、大量の偽札、一家失踪事件、裏社会のドンの存在。そして、その新作がどこまでが現実でどこまでが空想か、

裏付けを進めることにする。

 

前半に散りばめられた伏線の回収が後半に一気にやってくる。なんとなく流し見していたら、どうつながっていたのか理解

できない場面もあるだろう。

そして、どこまでが現実かは自分で判断するしかなさそうだ。

よくできたミステリー作品ではあるが、ワクワクドキドキするものとは違う。

 

カフェの店員・沼本に西野七瀬、裏社会のドン・倉田健次郎を豊川悦司。秀吉の妻を佐津川愛美が演じている他に、リリー・

フランキー、若松了、ミッキー・カーチスなどが出演している。

 

 


『子供はわかってあげない』

2021年08月23日 10時24分26秒 | Weblog

子供はわかってあげない

冒頭がアニメから始まり、もしかして劇場を間違えた??と焦った。良かった、間違えたと思って座席を立たなくて(笑)

ここで見る劇中アニメを語る主人公が日常の楽しさを表現しているので、物語の最後までお忘れなきよう。

コロナ禍で公開が一年ほど延期となった。

田島列島のコミックを『南極料理人』『横道世之介』の沖田修一監督が映像化。

 

水泳部の朔田美波は練習中に偶然見かけたあるものがきっかけで、書道部のもじくんと意気投合する。

もじくんの実家は代々続く書道家で彼は跡継ぎだった。美波が彼の家を訪れると、そこであるものを発見する。それは、自分が幼いころに行方不明となった実の父・藁谷友充の手がかりだった。

父を探したい…そう話す美波にもじくんは、探偵をしていたことがあるという兄の明大に引き合わせる。女性のような見た目とふるまいをする明大に驚きつつも、受け入れ、美波は協力を仰ぐ。

そして、明大はあっさり藁谷を見つけだし、美波は家族に内緒で会いにいくことに…。

 

美波を演じるのは上白石萌歌。人気ドラマ「義母と娘のブルース」でも天真爛漫な役が合っていたし、今作もうまく演じていた。高校生の役に対して、変に肩に力が入っていない感じがいいと思う。水泳選手の役は大河ドラマ「いだてん」(平泳ぎ)、「3年A組ー今から皆さんは、人質ですー」(クロール)に続いて今作は背泳ぎとなっている。何気に役作りは大変だったと思うが・・縁ですな。

物語の途中から、順撮りになっているので、上白石が徐々に日焼けしていっているというのがリアル。ひと夏の思い出としてありそうだ。

もじくんを演じるのは、『町田くんの世界』で映画デビューし、今年はドラマ「ドラゴン桜」で注目を浴びた細田佳央太。この作品では誠実な雰囲気がハマっている。

もじくんの兄・明大を演じるのは千葉雄大。千葉の持つ柔らかと繊細なイメージがぴったりでおかしいくらいだった。

美波の母は上白石と同じ事務所の大先輩・斉藤由貴がつとめた。現在の父を古舘寛治。実の父を豊川悦司が演じている。

現家族の場面は幸せが溢れていて、本当の父娘がエピソードを積み重ねていくのがほほえましくて、同級生男子との高校生シーンはみずみずしくて。

どこを切り取っても楽しめる。もじくんが美波に会いに行こうと走り出す場面は、流れる曲があの月曜日にやっていた有名恋愛ドラマに似ていて、〝やりおった〟と心で突っ込み。

何より豊川悦司が実に楽しそうだったのが印象的だ。

さらに違う視点では、水泳部の親友との別れの挨拶が独特。わかる人には〝おー、なるほど〟となるであろう。上白石萌歌は、歌手としても活動中である。その時の名前は?


『太陽の子』

2021年08月16日 10時24分59秒 | Weblog

映画 太陽の子

日米合作。2020年8月にNHKで放送された「太陽の子」をドラマとは違う視点で描いた劇場版。監督・脚本は「ひよっこ」「晴天を衝け」の黒崎博。

太平洋戦争中に日本に存在した〝原爆研究〟を背景に、時代に翻弄された若者たちを描く。

 

京都帝国大学の科学者・石村修(柳楽優弥)と研究者たちは教授の指導の下、原子核爆弾の研究を進めていた。

建物疎開で家を失くした朝倉世津(有村架純)は、幼馴染の修の家に祖父とともに居候することになる。間もなく、戦地から弟の裕之(三浦春馬)が一時帰国し、3人は久しぶりに再会する。戦争で深い傷を負った裕之と、物理学研究の闇をしりながらも、これがあれば戦争が終わると信じて研究に没頭する修。

やがて、戦況はさらに悪化する中、裕之は再び戦地に向かう。

そして、8月6日。その時がやってきてしまう。

映画になって映像が追加になっていたり、ラストで修と世津の間に一歩踏み込んでいたような気がする。

ドラマでは曖昧だったものが整理されたかもしれない。

自分たちが住む京都市内に爆弾が落とされるという噂を聞きつけ、研究者として「比叡山に登って、その瞬間を見たい」と教授に話すシーンからの先に、これまでの修を演じてきた柳楽優弥のおさえてきた感情があふれ出す。

また、縁側で世津が修と裕之に「勝っても負けても戦争は無意味や」と語る場面。世津を演じる有村架純はここでアドリブで二人の手を取ったと、テレビの番宣で話していた。そのため、手を取られた柳楽優弥と三浦春馬が素で驚いた表情を見せたとのこと。この、未来を語りながらも切ないシーンに注目である。

修と裕之の母役に田中裕子、研究室の教授に國村隼、ほかにイッセー尾形、三浦誠己、尾上寛之、葉山将之など。

日本は、原爆の開発にアメリカより早く成功していたら、どうしていたであろうか…。


『キネマの神様』

2021年08月09日 12時48分34秒 | Weblog

キネマの神様

松竹100周年記念作品。

原田マハの同名小説の映画化。原作は既読しており、映像化されるだろうと思って読んでいた

志村けんさんが主演されるはずだったが、撮影前に亡くなってしまい、沢田研二にキャストが変更された。

とても楽しみにしていた映画なのであるということを踏まえて、これは、山田洋次監督が思うところの古き良き時代の映画への思いが集結されたものなのであろうと考える。コロナ禍での映画や映画館の位置づけについても問いかけている。

小津安二郎監督や往年の女優へのオマージュもあり、昭和の時代の映画熱が溢れたもの。たくさんのものを詰め込んだ。

ただ、本当に原作とは違うのでがっかりすることも否めない。読んでいなければ、あの原作のラストはどこに行った??と思うことなく楽しめるかも。

 

ゴウ(沢田研二)はギャンブル好きで飲んだくれ。年金さえも手に入ればギャンブルで消えてしまい、借金は減っていかない。それを妻の淑子(宮本信子)や娘・歩(寺島しのぶ)が肩代わりしてきた。

二人と言い争ったゴウは行く当てがなく、「テアトル銀幕」に足を運ぶ。「テアトル銀幕」の支配人・テラシンは、ゴウが映画撮影スタッフだったころからの親友だ。

 

映画監督を夢見て助監督として忙しく働く円山郷直(通称ゴウ)。撮影所の近くには食堂があり、そこはスタッフのたまり場となっていた

若き日のゴウは、食堂の娘・淑子や仲間の映像技師テラシン(小林稔侍)と青春の日々を生きていた。

やっと監督としての仕事が回ってきたゴウ。作品はゴウが大事に書いてきた「キネマの神様」である。しかし、緊張でお腹を壊した上に、こだわりの強いカメラワークなどでもめてしまい撮影ははかどらず。

そして、セットから転落し、怪我をおう。撮影は延期に。

しかし、ゴウは撮影所を辞め、「キネマの神様」は幻の作品となってしまう。

田舎に帰ることにしたゴウは、テラシンに淑子と付き合うことを勧めるが、淑子はゴウに付いていくことを決めていた。

 

孫・勇太(前田旺志郎)は引きこもり気味、自室でネットを活用して過ごす。だが、ゴウの若いころ監督するはずだった脚本を目にし、あることをゴウに話す。密かに、徒党を組みある計画を練る。

 

映画は、昭和の時代のゴウ、淑子、テラシンがいた時代と交互に進む。

その若いころを菅田将暉、永野芽郁、野田洋次郎が演じている。往年の大監督をリリー・フランキー、スター女優を北川景子が演じる。

沢田研二の若い時代を菅田将暉?とか、永野芽郁に昭和の雰囲気がないとは思うなかれ。そこを突っ込むと映画は成立しない。実際、ジュリーの頃の沢田研二はスタイル抜群で格好良かったということで。

 

ところで、『今夜、ロマンス劇場で』という映画をご存知だろうか。綾瀬はるかが銀幕の中の往年のスター、坂口健太郎がその映画に出ているスターが好きで、ある日、スクリーンからそのスターが飛び出してきて実際に恋をする話。

この『キネマの神様』では、それが、浮かんできて仕方がなかった。・・・しかし、鑑賞途中でたぶんこうなると気づいていた。

映画のラストは、そんなファンタジーである。

ご機嫌な現在のゴウがカラオケであの歌を歌う!それは、志村けんさんへ向けてのものであるのが見どころ、聴きどころである。さすがにここは、ジュリーなのである。歌がうまい!

そしてそしてだが、「テアトル銀幕」の常連客として片桐はいりが出演している。

彼女はとあるミニシアターで働いていた経験があり、有名になった現在もミニシアターに顔を出し、手伝う。

原作では、解説をつとめているほどだ。やっぱり、この映画でも常連客として一役買ったのだと思った。

デジタル化が進み、閉館を余儀なくされていく名画座。フィルム映画と映写機が回る音が醍醐味、と思うのはある一定の世代となったからだろうか。

原作はこの〝名画座〟という言葉がキーでもある。

 


『イン・ザ・ハイツ』

2021年08月02日 14時37分52秒 | Weblog

イン・ザ・ハイツ

ブロードウェイミュージカルで、トニー賞4冠とグラミー賞最優秀ミュージカルアルバム賞を受賞した「イン・ザ・ハイツ」を映画化。

 

日々変化していくニューヨーク。その片隅に取り残されたワシントン・ハイツ。祖国を離れてきた人々が暮らすこの街は、貧しいながらもいつも歌とダンスであふれている。そこで育ったウスナビ、ヴァネッサ、ニーナ、ベニーの4人の若者たちは厳しい現実に直面し、苦悩しながらもそれぞれに夢を追っていた。

そして、真夏に起きた大停電の夜、運命は大きく動き出す。

「クレイジー・リッチ」のジョン・M・チュウが監督を務め、「アリー スター誕生」のアンソニー・ラモス、「ストレイト・アウタ・コンプトン」のコーキー・ホーキンズ、シンガーソングライターのレスリーグレイスが出演している。

たくさんの国々からやってくる移民と言葉や仕事、教育問題など立ちはだかる高い壁。それでも彼らは希望を見つけて生きていく。

冒頭のシーンが、ラストへつながっていてすべての物語を回収する。エンドロールの途中で席を立つと〝オチ〟を見逃す。