夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『モリのいる場所』

2018年05月28日 09時37分17秒 | Weblog

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30年もの間、ほとんど家の外の出ることなく、庭の観察し、そこに存在する生命を見守り続けてきたという伝説画家、熊谷守一=モリ。そのエピソードをベースに、晩年のある一日をフィクションとして描いた作品。

昭和49年の東京・池袋。守一の住む家の庭には草木が生い茂り、虫や猫が住みついている。そこで毎日、生命の見守りをするのが日課。ゆるやかに時間が進むが、そこに守一を撮るカメラマンや看板の文字を書いてほしい人など毎日、人がやってきて妻の秀子との二人暮らしもにぎやかだった。

山崎努が熊谷守一になりきって、そっくりの演技。飄々と、そしてすっくりと立つ。そこに、妻を演じる樹木希林の存在で和む。映画界を代表するベテラン二人が初共演で、熊谷夫婦を見事に表現する。

妻が庭散策に出かける夫に「行ってらっしゃい」と言い、夫は「行ってきます」と言う。その距離感が魅力的。文化勲章を辞退するエピソードに驚愕!

毎日暇を持て余して、スマホをサクサクさせていることばかりが幸せではない、そんなことがなくとも人は人とつながれる。今の時代だからこそ、このゆるやかな時間の過ごし方がうらやましくもある。

蟻を眺める姿勢が個性的。でも大人になると、気取ってしまってできなくなる。それがまた人を引き付ける。

監督は『モヒカン故郷に帰る』『横道世之介』の沖田修一。出演はほかに、加瀬亮、光石研、青木崇高など。

 


『妻よ薔薇のように  家族はつらいよⅢ』(試写会)

2018年05月23日 14時41分10秒 | Weblog

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三世代同居の長男の嫁。今は珍しくなったのかもしれないけれど、専業主婦という言葉はまさにこの立場の人にあるのかもしれない。家族の誰よりも早く起き、子どもたちの弁当と家族の朝食を作る。掃除、洗濯、昼食の用意、夕飯の買い物と夕食作り。これらを、家族の不満なく回す能力の凄さ。その長男の嫁が今回はメーンに物語が進む。

『東京家族』から続く出演者で『家族はつらいよ』としてはシリーズ三作目。

平田家の長男の嫁・史枝と夫の幸之助との間にあるトラブルが起こり、そこで幸之助に言われたひと言により、史枝は家を出る。

食事、洗濯、掃除など、今まで史枝が一手に引き受けていた家事を自分たちでやることに。しかし、そんなに簡単にできるはずもなく…。文枝の偉大さを知ることになる。

 

長男の嫁の経験はなくとも、家族としてのあるある、親としてのあるあるで共感できるところは多いはず。男性は改めて、女性の、母親の、妻の、大切さを見つめ直す機会になるであろう。

監督は山田洋次。フィルム撮影された映像が〝家族〟を映し出し、ノスタルジックな感じが伝わる。

出演は橋爪功、吉行和子、西村まさ彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優といういつものメンバー。仲の良さがうかがえる仕上がり。


『空飛ぶタイヤ』(試写会)

2018年05月17日 09時49分47秒 | Weblog

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走行中のトラックのタイヤがはずれ、歩道を歩いていた子どもを連れていた主婦に当たり、即死したという衝撃的なニュース。三菱自動車リコール隠し事件をモデルとした池井戸潤が小説が原作。池井戸作品はこれまで「半沢直樹」「陸王」がドラマ化され、人気を博してきたが、今回は初の映画化。

トラック事故により、ひとりの主婦が亡くなる。事故を起こした運送会社社長・赤松徳郎が警察から聞かされたのは、走行中のトラックのタイヤが外れたことが原因であるということ。整備不良を疑われ、世間からもバッシングを受けるも、トラックの構造自体に欠陥があることに赤松は気づく。そこで、赤松は製造元であるホープ自動車に再検査を要求するが、はねつけられ、自ら調査に乗り出す。

初めてこのときのニュースを聞いたときの衝撃を覚えている人は多いと思う。タイヤが飛んで、人が死ぬ…。

そのとんでもないニュースの顛末がこうなっていたとは!!と事実を知る。大きくなってしまった企業には、独自の理論が働き、自浄能力がなく…。むしろ滑稽だ。

だが、会社を変えたい!という思いの社員も必ずいる。そこが救い。

長瀬智也が、真相を知ろうと頑張る社長を演じ、アツい。内情の功である妻を演じるのは深田恭子で相変わらずの癒しを届ける。ホープ自動車の課長・沢田悠太をディーン・フジオカ、ホープ銀行の行員を高橋一生が演じる。人気者が集まった布陣。

監督は『超高速!参勤交代』の本広克英。

最後が、そうか、良かったーの安堵が。


『となりの怪物くん』

2018年05月07日 10時32分48秒 | Weblog

若手人気俳優・菅田将暉と土屋太鳳のW主演。日本アカデミー賞最優秀主演男優賞と優秀主演女優賞受賞のふたりが原作ありのラブコメ学園ものを演じるているということが目玉。

勉強第一、ガリベン冷徹少女の水谷雫は、となりの席で登校して来ない吉田春にプリントを家に届けるよう担任に言われる。いやいやながらも自宅に出向いた雫を、春はいきなり、一方的に〝友だち〟の認定をする。

次の日から、登校してくる春に雫は勉強を邪魔され始め、そして周りの生徒も影響され、楽しい学園生活を送ることが増えて…。

 

映画館で予告編を見たときから、画面から漂ってくる大物感というか、重量感。画面が重い感じ。よく言えば安定感があった作品。物語は雫のモノローグから始まる。20歳を超えているふたりが主演をするには、理由があるわけだが…。

しかしこれが、さすがの演技力。つかみどころがない怪物を菅田将暉は軽やかに演じていたし、土屋太鳳もハツラツさをおさえた演技を確実にこなしていた。その分?、周りのキャストはほぼ空気。存在感は薄いような…。

前半は軽快なテンポでウキウキしていくのが伝わる。後半は一気に話が進んでしまうのが残念な感じもあるが、映画は約2時間の物語に集約されるので、ポイントを絞られるのは仕方がないところ。続いていた日常が急になくなったり、できなくなったり。些細なことでも大事件になる高校時代は誰にでも懐かしいところである。

主演のふたりが高校生の学園恋愛もので共演するのはこれが最後だと思われる。今後は、立ち位置の違う作品で共演することになっていくのであろう。その過程の作品としてチェックしておくのもいいだろう。

監督は『君の膵臓をたべたい』の月川翔がつとめた。その〝キミスイ〟でヒロインだった浜辺美波が同級生役で出演。菅田が演じる吉田春に好意を寄せる役柄。出演はほかに、佐野岳、池田エライザ、山田裕貴、速水もこみちなど。

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『ホース・ソルジャー』(試写会)

2018年05月02日 15時32分42秒 | Weblog

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2001年9月11日、アメリカ同時多発テロの翌日、最初に敵地へ向かい、わずか12人で5万人の敵勢との戦いに挑んだ米軍騎馬隊の知られざる実話をもとに描く。これまで、最高機密として明かされなかった戦いの全容を映画化。

ネルソン大尉は、家族のために内勤を希望し、異動がかなったものの、テロによる被害をテレビでみて、現場に戻ることを志願。アフガニスタンに乗り込んだ特殊部隊の任務は、ドリタム将軍率いる反タリバンの地元勢力と手を結び、わずか3週間で敵の拠点マザーリシャリーを制圧すること。山岳地帯での有効手段は馬。

最新鋭の兵器を駆使するタリバンを相手に、過酷な戦いの幕が上がる。

 

いくら最新鋭の機械や戦闘機を使ったところで、戦うのは生身の人間。鮮やかて綺麗な勝ちかたなんてない。古典的で、結果はグロテスクだ。

ネタバレになるが、空爆後、大量に降伏してくると見せかけて自爆するのが凄すぎ!!!宗教は自由だが、到底、日本人には理解できない事柄が連続する。

本編のほとんどが戦闘シーン。辛い場面しかない。しかし、これは現代でのことで、実話ベースだ。それにしても、9.11の衝撃は、もう17年も前のことになるのか…。

知らない世代にどう伝えていくかということになる。いまは、グランド・ゼロには特殊部隊の偉業を讃える像が立てられている。

監督は報道写真家でもあるニコライ・フルシー。主演は『アベンチャーズ』シリーズのソーでおなじみのクリス・ヘムズワーズがつとめている。