海辺の小さな町にある、弁当屋「のこのこ弁当」。そこで働くちひろ(有村架純)は、元風俗嬢
であることを隠さず、楽し気に生きていた。ちひろは、自分を色目で見てくる男性を軽くかわ
し、ホームレスのおじさんにも、子どもにも、動物にも同じように分け隔てなく、接する。
ちひろ自身も、小さいころから家族の中で孤独を感じながら生きてきた。
そんな彼女が、様々な出会いをして自分を見つめていく。
ちひろに惹かれ、写真を撮りためる行動をする女子高生・瀬戸久仁子を豊嶋花が演じる。お腹
を空かせた男の子・佐竹マコトを演じるのは嶋田鉄太、その母・ヒトミを佐久間由衣が演じて
いる。友人のバジルはvan。そして、もう一人のちひろを市川美和子、ラーメン屋で知り合
う谷口は若葉竜也、元風俗店店長・内海をリリー・フランキーが演じた。
また、弁当屋の店主・尾藤を平田満、その妻・多恵は風吹ジュン、店員を根岸季衣がつとめて
いる。
ちひろの周りで同時に描かれる二つの家族の形にも注目を。必ず、思うところがあるはず。
監督は『愛がなんだ』の今泉力哉が、安田弘之の同名コミックを実写化した。主題歌はくるり。
Netflixで2月23日から配信されているが、一部劇場では公開されている。
エンドロールが終わっても席は立たないように、“あのシーン”につながる場面が流される。劇場
を出るともったいない。
ちなみに、男性一人客が多い感じがした。
有村架純はインタビュー(舞台挨拶だったと思う)で「今まで一番近くに寄っていくことが難
しかった役」と語っていたが、むしろ、一番本人に近い雰囲気を持つ役柄ではないかと思った。
一人でいなくてもみんなでいても“孤独”を感じることができるのに、あえて一人のまま孤独を生
きる…そんな雰囲気のある女優だと捉えていたので、興味深い本人のコメントだった。笑ってい
ても、何となく淋し気で儚い佇まい。
そう記述したのは、風吹ジュンが演じるところのセリフから思ったから。
その優しい言葉に対して、ちひろのとる行動とは???