夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『ちひろさん』

2023年02月26日 19時48分37秒 | Weblog

ちひろさん

海辺の小さな町にある、弁当屋「のこのこ弁当」。そこで働くちひろ(有村架純)は、元風俗嬢

であることを隠さず、楽し気に生きていた。ちひろは、自分を色目で見てくる男性を軽くかわ

し、ホームレスのおじさんにも、子どもにも、動物にも同じように分け隔てなく、接する。

ちひろ自身も、小さいころから家族の中で孤独を感じながら生きてきた。

そんな彼女が、様々な出会いをして自分を見つめていく。

 

ちひろに惹かれ、写真を撮りためる行動をする女子高生・瀬戸久仁子を豊嶋花が演じる。お腹

を空かせた男の子・佐竹マコトを演じるのは嶋田鉄太、その母・ヒトミを佐久間由衣が演じて

いる。友人のバジルはvan。そして、もう一人のちひろを市川美和子、ラーメン屋で知り合

う谷口は若葉竜也、元風俗店店長・内海をリリー・フランキーが演じた。

また、弁当屋の店主・尾藤を平田満、その妻・多恵は風吹ジュン、店員を根岸季衣がつとめて

いる

 

ちひろの周りで同時に描かれる二つの家族の形にも注目を。必ず、思うところがあるはず。

監督は『愛がなんだ』の今泉力哉が、安田弘之の同名コミックを実写化した。主題歌はくるり。

Netflixで2月23日から配信されているが、一部劇場では公開されている。

エンドロールが終わっても席は立たないように、“あのシーン”につながる場面が流される。劇場

を出るともったいない。

ちなみに、男性一人客が多い感じがした。

 

有村架純はインタビュー(舞台挨拶だったと思う)で「今まで一番近くに寄っていくことが難

しかった役」と語っていたが、むしろ、一番本人に近い雰囲気を持つ役柄ではないかと思った。

一人でいなくてもみんなでいても“孤独”を感じることができるのに、あえて一人のまま孤独を生

きる…そんな雰囲気のある女優だと捉えていたので、興味深い本人のコメントだった。笑ってい

ても、何となく淋し気で儚い佇まい。

そう記述したのは、風吹ジュンが演じるところのセリフから思ったから。

その優しい言葉に対して、ちひろのとる行動とは???

 


『シャイロックの子供たち』

2023年02月20日 20時23分25秒 | Weblog

シャイロックの子供たち

 

原作は人気作家の池井戸潤。池井戸潤が「僕の小説の書き方を決定づけた記念碑的な一冊」

と評している作品。その原作に沿いながらも、オリジナルストーリーでも肉づけされてラス

トに向かう。WOWOWでドラマ化もされているが、原作ともドラマとも異なる独自のキャ

ラクターが登場する。

東京第一銀行の小さな支店で10億円という巨額の現金が紛失する。お客様係の西木(阿部

サダヲ)は、同じ支店の北川(上戸彩)と田畑(玉森裕太)とともに、事件の真相を探る。

小さな支店で平和に見えるが、ひと癖ある銀行員が揃う。支店長の九条(柳葉敏郎)は、出世

コースから外れていてやる気があるのかないのかわからず、副支店長の古川(杉本哲太)は

パワハラ上司。エースと言われるが過去に何かありそうな滝野(佐藤隆太)。

調査に訪れる本部検査部の黒田(佐々木蔵之介)は手がかりを見つけるが、九条に丸め込まれ

うやむやに。だがやがて、西木たちは滝野が提出した書類の不備を見つけ出す。

 

メガバンクにはびこるとてつもない不祥事。

救いがなさそうで、ありそうなラスト。あなたは、どう観る?

取引先の社長を橋爪功、西木の相談客である柄本明、北川の同僚を木南晴夏が演じる。ここにも

また、ひと癖あるキャストが配置された。監督は『空飛ぶタイヤ』の本広克行が担う。

 

本当の銀行の姿って何?どんなところ?との疑問が湧く。そして、ノルマのしんどさ。きれいな

だけではやっていけない場所なのか…。裏と表の存在。どの仕事もつらいことだらけか…。

 

*シャイロックとは、シェイクスピアの戯曲「ヴェニスの商人」に登場するユダヤ人のこと。

強欲な金貸しとして知られ、金を返せなくなった相手を訴える。金の代わりに「身体の肉1

ポンド」を要求する。しかし、裁判官は「身体の1ポンド」は認めたものの1滴たりとも血を

流さないようにということを条件にしたため、シャイロックは何もすることができないまま法

廷を去ることとなった。

今作の冒頭とラストは劇場の場面。どの人たちがどう出入りするか、チェックのこと。

原作は既読だが、読み直してみようと思う。


『THE LEGEND&BUTTERFLY レジェンド&バタフライ』

2023年02月13日 19時55分39秒 | Weblog

「レジェンド&バタフライ」V2、新作「鬼滅の刃」「BTS」「仕掛人・藤枝梅安」がアップ【映画.comアクセスランキング】

東映創立70周年記念作品。

これまで幾度となく描かれ、たくさんの俳優に演じられてきた戦国武将・織田信長とその妻・濃

姫(帰蝶)との物語。戦いの場面はない。

本能寺の変にまつわる“謎”の部分を入れて、強烈なラブストーリーとなっている。

“もしかして、人間50年なし?”と突っ込んではみたが、そんなことはなく、本能寺の変はきちん

と起こった

 

「尾張に“うつけ者がいる”という。そのうわさが本当かどうか、お前が確かめてほしい」と父の

斎藤道三に言われ、いわば政略結婚で織田信長(木村拓哉)に嫁いできた濃姫(綾瀬はるか)。

格好づけてばかりの信長とは全くウマが合わず、“夫婦”とは程遠い関係にある。

だがある日、濃姫の祖国で内乱が起こり、父の道三が命を落とす。実家が嫁ぎ先の敵となってしま

った濃姫は自害しようとするが、それを止め、再び生きる意味と居場所を与えたのは信長だった。

大軍に攻められて窮地に立たされ弱音を吐く信長を鼓舞するのは濃姫。

桶狭間の戦いを境に、絆も強くなり、天下統一が二人の夢となっていく。そして、濃姫の夢は海を

渡って外の国に行くこと。だが、戦いが続く中で、信長は人間であることを捨て“魔王”となる。

そして、運命は“本能寺”へと時代は動いていく。

 

今年の大河ドラマ「どうする家康」や「コンフィデンスマンJP」シリーズの古沢良太が脚本

監督は『るろうに剣心』シリーズの大友啓史が務めているので、映像は美しい。もの悲しい恋愛

の背景を描くのは得意とするところか?

綾瀬はるかは大河ドラマの主演を務めていただけに、時代劇も似合う。アクションもキレる。そ

れにスクリーンでも、肌の綺麗さは際立っている。

 

中学生のころの授業だったか、織田信長と濃姫はいわゆる夫婦の関係ではなく“同志”としての関

係だったと思うと教わった気がする。

昔の女性の人生は歴史上、記録がない。歴史のその時代の勝者に都合のいいように記載されてい

るであろうことを踏まえる、ということも含めて鑑賞したい。

個人的には、本能寺で変が起こることを豊臣秀吉が知っていたのかどうか、が気になる

 

斎藤道三には北大路欣也、明智光秀を宮沢氷魚、福富平太郎貞家を伊藤英明、各務野を中谷美紀、

木下藤吉郎を音尾琢真、森蘭丸は市川染五郎が演じている。そして、徳川家康は斎藤工が演じて

いるのだが、見かけがいつもの斎藤工ではないので不思議な感覚で観てしまった。木村拓哉も、

インタビューで斎藤工の声はするけど姿が見えないと言っていたので、そこは注意を。

 


『映画 イチケイのカラス』

2023年02月06日 20時54分19秒 | Weblog

映画 イチケイのカラス

人気ドラマからの映画化。竹野内豊と黒木華を初めとするキャスト陣はそのままで、新たな

メンバーやゲストが加わっている。

 

入間みちおが(竹野内豊)東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称イチケイ)を去って2年。

岡山の秋名市に異動したみちおが担当することになったのは、主婦が史上最年少と話題の防

衛大臣・鵜城英二(向井理)に包丁を突き付けた障害事件だった。一見、主婦の逆恨みによ

る暴走が引き起こしたものと考えられたが、みちおが気になったのは主婦の夫・島谷秀彬

(津田健次郎)が運転していた貨物船とイージス艦の追突事故の関連。だが、イージス艦の

航海内容はすべてが国家機密。みちおは、伝家の宝刀である「職権発動」をしたが、その捜

査は国家相手に通用せず。

 

一方、坂間千鶴(黒木華)は裁判官の「他職経験制度」で弁護士に。その配属先は、みちおの隣

町の日尾美町だった。そこで、“人権派弁護士”の月本信吾(斎藤工)と出会いバディを組む。人

々の悩みに寄り添い、熱血捜査もする月本に坂間は徐々に惹かれていくが…。

そんなとき、町を支える大手企業のある疑惑が浮かび上がる。入間と坂間の担当する二つの

別々の事件。全く関係がないものと思われたが実は…。

本当に裁かれなければならないのは誰なのか。重い扉を開くことはできるのか?

 

 

みちおの部下、右陪席・土井潤に柄本時生、左陪席・赤城公子に西野七瀬は新たなキャスト。

検事・井出伊織の山崎育三郎、東京イチケイ部長裁判官・駒沢義男の小日向文世、書記官・浜

谷澪の桜井ユキはドラマからの引き続き

また、日尾美町の登場人物は産業医の吉田羊、その夫で町役場職員の宮藤官九郎、大手企業顧

問弁護士は尾上菊之助、工場長の平島祐介など。

キーポイントとなるのは吉田羊の存在。途中から、坂間の敵なのか味方なのかが気になり始め

る。地方の小さい町と、地元に根ずく大手企業グループ。地域の人のほとんどはその企業から

何らかの恩恵を受けている。そんな光景は今もよく見る。地域の発展についてどう考えるか、

コミカルにそして厳しく描かれている。

映画の主役は黒木華と言っていい。その演技力はさすが。強弱のある、ふり幅のある演技に目

を向けたい。

 

 


舞台「宝飾時計」

2023年02月05日 18時47分09秒 | Weblog

これはまたごっつい舞台をみてしまった。

子役出身で10 年も同じ役をして身長が伸びず、その役をやめたら背が伸びだした女優・

松谷ゆりか(高畑充希)。30歳となった今も女優を続けているが、彼女がその役柄を演じ続

けたのにはわけがあった。

子役は3人の主演がいた。彼女たちの相手役である勇大は姿を消していて、この世を去っ

ものと周りは見ていたが、ゆりかだけはどこかで生きているはずと、信じていた。

 

今はマネジャーでもある大小路が恋人となっていて、ゆりかはそろそろ結婚したいと思っ

ている。一方、大小路というと…というところから物語は始まる。

 

前半70分、20分の休憩のあと、後半は前半の回収。後半開始の約30分は過去と現在をい

ったりきたりする、高畑充希の独壇場。出ずっぱりである。

バイオリンが台詞とともに伴奏されていて、観客は時代が変わったことに気づく。が、

音楽劇ではない。いわゆる小劇団のそれのように、後半は出演者が舞台上にいて、小物

を渡したり、舞台道具を動かしながらも、舞台を鑑賞している状態に。その後、前半の

物語の回収のために演者となっていく。

 

ラストに椎名林檎作詞作曲の小難しい歌詞、転調するオリジナル楽曲を度肝を抜く歌唱

力で独唱したあとは芝居として老婆の声色に。結果、高畑充希は10代から老年期と思わ

せる人生を演じている。鑑賞後にふり返ると、子どもから壮年期と移行しながら歌っ

ていたのではないかと思う。

新進気鋭の根本宗子作品。根本氏は、「ボクらの時代」やワイドショー的なものにたま

に出演したりしているので、ご存じの方もいるだろう。2009年に月間「根本宗子」を旗

揚げ。以降、すべての作品の作・演出を手掛ける傍ら、女優としても活躍してきた。21

年からは劇作・演出に専念している。5年ほど前に高畑充希から直接「私に芝居を書い

てほしい」とオファーがあり、今回に至っている。

彼女の脚本は当て書き。このあたりは、長年ピーターパンをつとめてきた主演の高畑充

希本人とかぶる。

内容を詳しく書けないことにもどかしさはあるが過去と現在、幻想と現実を行ったり来

たり。その展開の早さと、演技の区別。グイグイと畳みかける物語と演技技術が見事で

ある。

ものすごい文字数を客席で受け取った

 

大小路祐太郎を演じるのは舞台劇が2度目の成田凌。子役時代にゆりかと同じ役でトリ

プル主演だった女優で板橋真理恵を小池栄子、田口杏香を伊藤万理華が演じる。また、

子役時代の彼女たちの相手役・勇大を小日向星一、杏香の母を池津祥子、真理恵のマネ

ジャーは関 一、プロデューサーの滝本を八十田勇一がつとめている。出演者は以上の

8名のみ。



この舞台、作及び演出か女優賞で何かとるかも。

とはいえ、今年は始まったばかりだが。

今作のチケットは何か月も前に手にしていた。その時から思っていたのは“宝飾ってどう

いうこと?”ということ。自分の人生を宝飾したい、または自分の思いとは違う宝飾の

世界になってしまったと思うこと。そういう気持ちということかと理解した。

 

1月に東京公演を終えたあと、2月2日から6日まで大阪公演(森ノ宮ピロティホールに

て)。

その後、鳥栖公演、愛知公演、長野(上田)公演と続く←日程は省くがラストは2月26日

の長野となっている。

 

ところで、舞台上にベッド(布はまかれていないもの、金具むき出し)を見て、㈱高畑のバ

ネを使ってる?の突っ込みをひそかに入れていたのは私だけ?