夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(試写会)

2007年03月30日 00時42分40秒 | Weblog
 従来、日本の母はやさしくて温かい、そして何よりたくましい。『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』は゛ボク゛の目線で描かれたストーリー。だが、本当の主人公は別にいる…゛ボク゛の゛オカン゛である。オカンは゛ボク゛の成長を見守りながら、゛ボク゛を育てるために、ただひたすら働く。この物語は、そんな゛昭和の母゛が主役となっている。
 ゛ボク゛が3歳の時、父(オトン)と母(オカン)は別居し、゛ボク゛はオカンとオカンの実家で暮らし始める。田舎暮らしに自分の未来を見いだせない゛ボク゛は、高校からオカンの下を離れ県外の学校へ。高校卒業後は、東京の美術大学へ進学する。東京へ来たにも関わらず、゛ボク゛は友だちと自堕落な生活をし、借金が膨らむばかり。オカンからもこづかいをせびっている。
 そんな時、オカンがガンで入院したことを知る゛ボク゛。そして゛ボク゛の生活が変わり始める。イラストレーター、コラムニストなどとにかく働くと借金はなくなっていった。そして田舎で一人暮らす母を東京へ呼び出し、゛ボク゛はオカンと一緒に暮らすことに。しかし、幸せな生活はそれほど長くはなく、とうとうオカンはガンを再発することになってしまう。゛ボク゛がオカンにしてあげられることとは…。
 才人リリー・フランキー原作でロングセラーとなっている『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の待ちに待った映画化。一所懸命に生きた人が、亡くなっていく。どこにでもある話だが、時代が変わっても変わらないのは親子の愛。それがこの物語のポイントではないだろうか。
 ゛ボク゛を演じるのは、どんな役も器用に演じ切るオダギリジョー。オカンには、樹木希林。今回のやさしくたくましいオカンはこの人しかいない!感じざるを得ないほどの演技を見せる。また、若かりしころのオカンには内田也哉子が扮し、話題となっている。この映画ではあまり出てこないが、実力派の小林薫がオトンとなり、個性を発揮している。また、゛ボク゛の彼女役には松たか子と、映画ならではのキャストとなっている。
 樹木希林と内田也哉子は、まさに本当のDNA。立ち姿、後ろ姿がそっくりである。内田也哉子の演技はお世辞にもうまいとは言えないが、存在感、空気感という面では生きたキャスティングと言える。もちろん、樹木希林の芝居は確かでゆるぎないものである。まずは観るしかないだろう。
 普通に生きていくとの大切さを知るといった、普遍的なことがこの映画のテーマと言えよう。
 脚本は松尾スズキ、主題歌は福山雅治の『東京にもあったんだ』。監督は『バタアシ金魚』『さよなら、クロ』の松岡錠司。
 

奇想天外!有り得ないが、笑える「大帝の剣」(試写会)

2007年03月27日 21時13分32秒 | Weblog
 あの『トリック』シリーズの堤幸彦監督が贈る、奇想天外な時代劇、それが「大帝の剣」である。 江戸に徳川幕府が生まれて数十年くらいの話。【オリハルコン】という謎の金属でできた大きな剣を背負い、旅をする大男・万源九郎。実は、この大剣は【オリハルコン】が3つに分かれたうちの一つ。3つのオリハルコンは゛三種の神器゛とされ、手にしたものが絶対の力を持つと言われている。旅の途中で、妖怪や宇宙人と死闘を繰り広げる源九郎。゛三種の神器゛を手にできる選ばれしものとは誰なのか…。
 江戸時代に宇宙船が舞い落ちてくるなど有り得ないことが起こるが、ここは一つ何も考えず、ただストーリーが進むとおり楽しむということでいいのではないだろうか。ストーリーだけでなく、誰が妖怪をやっているのか確認を。
 原作は『陰陽師』シリーズの夢枕獏。

「華麗なる恋の舞台で」

2007年03月26日 17時38分10秒 | Weblog
 女性は年を重ねると美が衰えていくことに気づく。肌がツルツルだったのに、違ってきた。化粧のノリが悪くなった。それは、ある程度受け入れていかなければならない事実として、どのように精神と身体のバランスをとっていくのか…は女性の永遠のテーマなのかもしれない。ただ、一つの解決としては、女性はいくつになっても、恋によって輝くものということなのでる。  人気舞台女優ジュリアは、毎日が舞台の仕事で充実はしていたが、一方で刺激がなく、かわり映えがしない毎日に飽き飽きしてもいた。そんな時ジュリアは、息子のように年が離れた青年・トムと恋に落ちる。しかし、そんな恋が長続きするはずもなく…。すぐに年下の彼に新しい彼女ができてしまう。
 クライマックスでジュリアは胸のすくような芝居を見せるが、それはそれは爽快な場面となっている。
 原作は、イギリスの文豪サマセット・モームの『劇場』。1930年代が舞台になっているため、衣装や部屋の飾り付けが綺麗。ジュリアに扮するアネット・ベニングが、舞台女優の悲哀や中年女性としての葛藤を見事に演じている。
  

「ディパーテッド」

2007年03月21日 20時16分44秒 | Weblog
 ご存知のとおり、今年度のアカデミー賞作品賞を受賞した作品。
 物語が始まってすぐからアップテンポで進む。誰が正義で誰が悪なのか?最後まで見逃せない展開となっている。最大の見所は、レオナルド・ディカプリオやマット・デイモンのほかにも大物をキャスティングし、物語に厚みが出ていることか…。
 ただ、アカデミー賞作品賞と言っても香港映画の『インファナル・アフェア』の焼き直し。迫力ある面白い映画ではあるが、作品賞はオリジナルの方がいいのでは?と思ってしまう。マーティン・スコセッシ監督に賞をとらせるための、アカデミー賞だったのかも?


映画でミュージカルの迫力!堪能するしかない!「ドリームガールズ」

2007年03月07日 17時07分56秒 | Weblog
 この舞台が終わってほしくない…最後はそう思いながら心の中で拍手している(実際は映画なのでブラボー!というのは気がひけるので)。それが、映画「ドリームガールズ」ではないだろうか。
 1980年代の伝説のミュージカルの映画化である。60年代から70年代のモータウン・サウンド最盛期に仲良し3人で結成した女性ボーカル・グループのサクセスストーリーをショービジネスの裏側や人種差別撤廃運動など、アメリカの歴史の背景を交えて描く。
 第79回アカデミー賞では、6部門8ノミネートされた。また、最優秀助演女優賞にジェニファー・ハドソン、最優秀助演男優賞はエディ・マーフィが選ばれ、話題をさらったことはご承知のとおり。評判どおり、ジェニファー・ハドソンは圧倒的歌唱力で観客を魅了する。その歌声は、スクリーンの枠の中にはおさまりきれない。ジェニファーが助演女優賞ではなく、主演なのでは?と感じるのは私だけではないだろう。しかし、この映画では出演者みんなが゛確かな芸゛を見せてくれる。歌、踊り、音楽のすべてで最高レベルなものを感じられるエンターテインメント作品なのである。
 ジェニファーの迫力ある歌が注目されているが、主演のビヨンセがクライマックスで『Listen』を歌い上げるシーンは圧巻である。この映画にビヨンセが必要である理由はここにあると言っても過言ではないだろう。エディ・マーフィやジェイミー・フォックスのパフォーマンスももちろん本物である。 
 話題作が好きでない人もぜひ観ておくことを勧める。


兄弟愛・家族愛、そして友情の物語「バッテリー」(試写会)

2007年03月05日 22時41分55秒 | Weblog
 自己主義、利己主義が罷り通る時代となった昨今、゛自分だけが良ければいい゛という心が貧しい人が多いように感じられるようになってはいないだろうか。1996年に刊行された、あさのあつこ原作の「バッテリー」は、児童文学でありながら大人の心をも掴んで、大ベストセラーとなっている。
 原田巧は、中学入学を控えた春休み、祖父が住む岡山県に引っ越してくる。巧は、野球のピッチャーとしての才能に自信をもっており、誰も寄せ付けない一面があった。巧の弟、青波(せいは)は病弱で、母にはスポーツをやらせてもらえず、兄の巧をいつも応援している。巧は地元で同い年で野球をしている豪と知り合い、バッテリーを組むことになる。
 順調に行くと思われていた巧と豪だが、徐々に実力と技術の差が出始める。バッテリー解消を告げる豪だが、巧の球を受けられる者はやはり豪しかいない。二人の気持ちが再び通じたころ、青波が急に体調を崩し入院する。巧は強豪中学との試合を控えていた。青波は、うなされながらも、兄に伝える「勝ってな…お兄ちゃん」と。巧はそのとき、青波が野球ができる自分に夢を託していたことを知る。野球は、一人でしているのではなかった…巧は青波の言葉を胸に試合に向かう。
 子どもたちのすがすがしい演技に、気がついたら心をうたれてることだろう。人は自分一人の力で生きているのではない。気づかないうちに、誰かに支えられ、誰かを支えているものだということに気づかされる。
 主人公・原田巧役は3000人の中からオーディションで選ばれた林遣都(はやしけんと)。バッテリーを組む永倉豪に山田健太、巧の弟・青波に鑓田あき裕。また、巧と青波の母に天海祐希、父親に岸谷五朗が扮している。祖父役には大御所の菅原文太。中学の野球部監督は萩原聖人。脇にこれだけのメンバーを揃えながらも、あくまでも主役は子どもたちで、大人たちは子どもを応援するという役回りであるところが素晴らしい。監督は、「陰陽師」シリーズや「阿修羅城の瞳」の滝田洋二郎。 
(大阪厚生年金会館芸術ホールにて試写会)

「ステップ・アップ」(試写会)

2007年03月04日 23時16分59秒 | Weblog
 かつて、「サタデー・ナイト・フィーバー」や「フラッシュダンス」といったダンス映画が一世を風靡した。ディスコからクラブへと時は変遷し、今、ヒップホップがダンス映画を席巻する?
 夢も持てないくらい貧しい家庭で育ち、落ちこぼれていく高校生のタイラー(チャニング・テイタム)。ある事件をきっかけに、地元で有名な芸術学校で200日間の奉仕活動を命じられたタイラーは、そこでバレエを学ぶノーラ(ジェナ・ディーワン)と親しくなり、卒業製作でノーラのダンスパートナーとなる。ストリート・ダンスに自信のあったタイラーは、これまで見たこともなかったバレエダンスの難しさに驚く。プロのバレエダンサーになりたいノーラと夢さえ何かがわからなかったタイラー。しかし、芸術学校の生徒たちとの触れあいで、これまで自分のやりたかったことに気づいていく。バレエとストリート・ダンスの融合で作り出すエネルギッシュなダンスは、新しい未来への「ステップ・アップ」とつながるか!?
 ダンスを中心に音楽、恋愛、友情を織り交ぜたストーリーは、ごくごくストレート。それだけに単純に楽しめるが、「サタデー・ナイト・フィーバー」や「フラッシュダンス」のような力強さはない。あのころのように゛ブーム゛になるのは難しいかもしれない。
 (Zepp Osakaにて試写会)