夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『ラーゲリより愛を込めて』

2022年12月29日 21時18分02秒 | Weblog

ラーゲリより愛を込めて

日本は昭和20年8月に終戦している。今は令和4年の年末。この期間を長いとみるか、短いとみる

か。若い人の中には、日本が戦争をしていたことを知らない人も、もう多くいるだろう。

だが、シベリアから最後の捕虜が帰国したのは戦後11年が経ってから。実はそれほど昔の話では

ない。人気者の二宮和也が主演しているので、戦争を知らない世代…当方を含めてだが…には、

これを機に戦争とは何ぞやを考えてほしい。そして何より、戦争はまた近くで始まっていること

が恐ろしい。

 

ハルビン。

結婚式に出席したあと、山本幡男(二宮和也)は日本に逃げるように妻のモジミ(北川景子)に

言う。日本では広島に新型爆弾が落とされという。いよいよ日本は本当に??

だがそこに、警報もなく空襲がやってくる。それは、ソ連からの攻撃だった。

第二次大戦後の1945年・シベリア。そこは零下40度の厳冬の世界。わずかな食糧で過酷な労働が

強制的に行われていた。死ぬものが続出する強制収容所(ラーゲリ)に、山本幡男は居た。「生

きる希望を捨ててはいけません。帰国(ダモイ)の日は必ずやってきます」絶望する仲間たちに

山本は訴え続け、励まし続けた。絶対に、日本にいる妻や4人の子どもの所へ帰れる。そう信じ

ていた。

終戦から8年が経ち、山本に妻から葉書が届く。検問をくぐり抜けたその葉書には「あなたの帰

りを待っています」とあった。

 

過酷。改めてこの言葉をつきつけられる。そして、言葉は使いたくないが、琴線に触れ、涙が

知らぬ間に流れてしまう。泣かせてやるぞ…という作りにはなっていない。だが、泣く。そし

て、無性に腹が立つ。戦争の時代だから仕方ないでは済まされない何か。

核が落とされてから、勝ち馬に乗ろうとやってきた巨大な国。戦勝国として、国連の常任理事国

となっているあの巨大な国。そして、もちろん日本という国にも腹が立つ。

この映画のナビゲーションをしようとすると、映画の内容からどんどんずれてしまう。日本の戦

争映画は“負ける“という結果がわかっているだけに、つらいという気持ちが前提になり鑑賞を敬

遠してしまうこともあるだろう。

だが、これは真実に基づいた物語。この人たちが日本を守るために戦ってくれたからこそ、命は

つながってきている、つなげてくることができたと言える。

当方の父の長兄は、戦争で南方へ出向いていた。何がしかの上官の立場にあったと思う。帰郷す

ると、子どもだった当方に赴任していた場所で撮った写真を見せられた。晴れ渡る空の下で、み

んなが笑っている戦場の写真を不思議そうに眺めていた自分を思い出す。戦争の話を楽しくする

伯父さん。父は「あの人の青春時代は戦争の時で、その時で時間が止まっている。今はもう死ん

でる第二の人生やねん」そう言っていた。そんなことを考えながら、エンドロールを見つめてい

た。

 

ところで、中居正広が二宮和也にテレビ番組で伝えていたが、中島健人はこの時期に二宮和也と

共演ができたことは大きいと思うという言葉はそのとおり。いい機会を得たと思う。北川景子は、

ちょっと綺麗すぎて、昭和の母という感じでもなさそうだが、どっしりとした母を頑張って演じ

ていたと思う。そら、こんなに綺麗な奥さん(妻)なら、絶対もう一度会いたいと思うでしょう

ね。

 

出演は他に、松坂桃李、桐谷健太、安田顕、山中崇、三浦誠巳、市毛良枝、朝加真由美など。

監督は『64ーロクヨンー』『8年越しの花嫁』の瀬々敬久。原作は辺見じゅんの「収容所(ラーゲ

リ)から来た遺書」。主題歌はMrs.GREEN APPLEの「Soranji」。

 

 

 


『夢の三競演 三枚看板 大看板 金看板』

2022年12月27日 19時55分04秒 | Weblog

久しぶりに取れたチケット。そして久しぶりの落語。

プラチナチケットとなっている中、前から4列目に座ることができた。落語

は聴くものではあるが、表情を見るものでもあるので、言うことなしの座席と

なった。今年で18回目の開催となる。

 

桂 文珍、桂 南光、笑福亭 鶴瓶というまさに夢のような競演である

まずは、三人の口上から。一年に一度三人が会う機会ということで、わいわい

とした楽屋になるということ。それぞれが、風邪を引くことなく健康で来れた

ということ。誰とは言わないけど、銀座の飲み屋でひどいことをしているのに

問題にならないのは、その人の人徳??などが語られた。

順番は毎年の持ち回り。今年は、桂 文珍が大トリをつとめた。

 

ー演目ー

<開口一番>桂 文五郎

 

〇桂 南光…  「ちりとてちん」

 朝ドラでご存じの人もいるだろう。安定感がある南光さんです。また独演会に

 行きたいです。

〇笑福亭 鶴瓶…「死神」

 古典そのままのものではなく、鶴瓶氏が独自に改正したもの。過去に聴いたこ

 とがあり、もう一度ご縁があれば聴きたいと思っていたので、枕部分でこのエ

 ピソードが始まったときから楽しみだった。文珍さんは「鶴瓶さんしかできな

 い。ロマンティックな“死神”」とのこと。

           

           ~中入り~

〇桂 文珍…創作落語「携帯供養」

 永代供養ならぬ“携帯供養“。今日的な問題を持つ家族の話。途中で先走って笑っ

 てしまい、観客を置いてけぼりにするのも、文珍さんらしい。

 

吉本興業、米朝事務所、松竹芸能の三人。貴重な時間だった。

 

26日、シアタードラマシティにて。来年は東京でも開催される。

 


『月の満ち欠け』

2022年12月22日 19時34分13秒 | Weblog

月の満ち欠け

“瑠璃もハリも照らせば光る”妻は、妊娠中に夢の中で子どもがこう言って“瑠璃”という名前を

選んだという。

2017年に直木賞を受賞した佐藤正午の同名小説を『余命1ヶ月の花嫁』『ストロボ・エッジ』

の廣木隆一監督が映像化。

 

 八戸で暮らし、母の介護をしている小山内堅(つよし・大泉洋)は、数年前まで東京にいた。

仕事も家庭も順調だった堅は、愛する妻・梢(柴咲コウ)と娘の瑠璃を交通事故で突然亡くし

てしまったことから、生活は一変する。言葉にできない深い悲しみから抜け出せない堅の元に、

三角哲彦(目黒蓮)と名乗る見知らぬ男性が訪ねてくる。事故のあった日、小山内の娘が面識

のない自分に会いに来ようとしていたこと。そして、もしかしたら、かつて自分が心から愛し

た女性・瑠璃(有村架純)の生まれ変わりではないか、と告げる。

 自分の娘が誰かの生まれ変わりであると、とうてい信じることはできない堅は、三角に冷た

い言葉を投げかけて、帰す。「愛し合っていた一組の夫婦」と「禁じられた恋に落ちていた」

者たちの共通点とは? 全く関係がないと思われた二組のカップルの物語が数十年の時を経て

動き出す。

 

「もう一度あなたに会いたい」という強い思いが、時空を超えて一つになる。

 

主演の大泉洋。この人は本当に演劇の人だ。気がつくと、その世界に巻き込まれてしまう

そして、もう一つの世界を生きる有村架純と目黒蓮パートは、かなり多い。ここがしっかりし

ていないと、現在にはつながりにくいイメージができてしまう。ただ、有村架純は恋愛物の強

者。どんどん大人の女性を演じられるようになっている。また、「ストロボ・エッジ」でも廣

木隆一監督とタッグを組んでいたこともあり、気心は知れているので思い切り演じられたはず。

有村架純が演じる瑠璃が身に付けているアクセサリーにも注目してほしい。

さらに、すべてを理解していそうな妻役の柴咲コウと、そのすべてを知る瑠璃の親友・緑坂ゆ

いを演じる伊藤沙莉。この二人の包容力ある演技が重要ポイントとなった。

高校生役と母親役を演じる伊藤沙莉。息が長い女優になりそうだ。

出演は他に、田中圭、寛一郎、安藤玉恵など。

 

人は生まれ変わりを重ねている。生まれ変わったら“その人”に会いたい…会える…と、信じたい。

 

 あっ、今思い出した。朝ドラ「ひよっこ」で有村架純と伊藤沙莉は共演していた!が、この

作品での絡みはないけれど。


『Dr.コトー診療所』

2022年12月20日 21時30分55秒 | Weblog

Dr.コトー診療所の画像 

 フジテレビの連続ドラマとして、2003年と2006年に放送された「Dr.コトー診療所」が16年

ぶりに映画として戻ってきた。Dr.コトーを演じるを演じるのは吉岡秀隆、診療所を支える看

護師であり、コトーの妻となった彩佳を柴咲コウが演じる。さらに、子役で大事なところで出

演していた富岡涼は役者を引退していたが、本作のためだけに復帰している。

 

 東京から離島の診療所に赴任してきた医師・五島建助(吉岡秀隆)は“Dr.コトー”として島に

は欠かせない存在となっていた。数年前に看護師の星野彩佳(柴咲コウ)と結婚し彩佳は妊娠7ヶ

月となっている。そこに、新米医師の織田判斗(高橋海人)と島出身の看護師・西野那美(生田絵

梨花)がやってくる。しかし、志木那島でも過疎高齢化が進み、本土と近隣諸島との医療統合の話

が出ていた。

 そんなとき、島に台風が近づいていた。そして、コトー自身に降りかかる問題。

だが、とうとう台風がやってきて、被害が広がる。診療所に次々と運びこまれる患者。コト

は、すでに“家族”となっている島民をすべて助けるために、諦めずに奮闘。織田もコトーのそ

姿をみて、人の命と向き合うこととなる。

 

 と、細かい描写は省かざるを得ない。この物語には、剛利(時任三郎)、剛洋(富岡涼)親子や

漁港の人たち、役所の和田さん(筧利夫)、彩佳の両親(小林薫、朝加真由美)の存在は欠かせな

い。その人たちの変化と変化のなさにも注目を。また、蒼井優や神木隆之介、堺雅人というドラマ

シリーズに出演していたメンバーもいるので、どこで登場するかお楽しみに

見方によってはラストシーンが気になるが、ドラマシリーズからの集大成となっているので、ドラマ

ファンとしては観ておきたい1本。

剛洋のセリフの間合いが懐かしい。この人がいなければ“Dr.コトー”はあり得ないとも言える。

 

 


『ある男』

2022年12月06日 09時38分27秒 | Weblog

特集  

 作家・平野啓一郎の原作を石川慶が監督・脚本し、映像化。

当方、原作を既読。内容を知っているだけに、鑑賞を躊躇していたが、キャストの配置

と原作の良さがわかっていて、気になっていただけに鑑賞することにした。

 

 里枝(安藤サクラ)は離婚を経て、子どもを連れて故郷の宮崎に戻っていた。実家の小さ

な文具店を手伝って過ごす日々。そこにある日、スケッチブックと筆を買っていく男性(窪

田正孝)が現れる。

その男は、最近この町にやってきて林業に就いているという。 

やがて、その「谷口大祐」と再婚。女児も誕生し、親子4人で幸せに暮らしていた。しか

し、「大祐」は仕事中の不慮の事故で亡くなってしまう。

1年後、長年疎遠になっている「大祐」の兄・恭一に(眞島秀和)に連絡すると、遺影の

「大祐」は自分の弟ではないという。里枝にとっては、衝撃の事実。愛したはずの“夫”は

誰だったのか、本当の名前も知らない人だった。

 そこで、里枝はかつて依頼したことがある弁護士・城戸(妻夫木聡)に、“夫”の身元調査を

頼む。「谷口大祐」として生きていた人物は誰なのか、なぜ別人として生きてきたのか、

城戸は真実を追っていく。

 

 原作とは違う描き方はあるが、よくまとまった作品。キャストの使い方も贅沢だ。

名前を変えてでも生きなおしたい、というのはあるのだと思う。実際、そうしている人は自分

の周りにはいないだけで、“普通に”いるのだろう。

“大祐”がもっと早くに里枝に出会えていたら、名前を変える必要もなかったのかもしれない。

そして城戸もまた、名前に縛られて生きてきた人物であるということも、この物語の柱である。

妻夫木聡も、安藤サクラも、窪田正孝も感情を控える演技が要求されるが、このメンツなので

難しそうな描写部分も楽しみでしかなかった。

ミステリーなので、どこがどうなるかは書きづらいので、ダラダラ書くのはやめたい。

 出演は他に、清野菜名、仲野太賀、真木よう子、でんでん、小藪千豊など。

事件のカギを握る男には柄本明。当方が原作を読んでいるとき、映像化されれば、この役は

おそらく柄本明になる、この人しかないと思っていた。ゆえに、納得の奇妙さで冴えた演技

は見ごたえがある。

が、この男は関西ことばを話す役。そして当方は関西人。関西人の悪いクセと言っていいの

かもしれないが、柄本明の関西ことばが気になってしまうアクセント

あー-、違うのよと思ってしまう性が悲しい。

が、気にならない人は気にせず、さすがの凄みを感じてもらえるはず(上げたり、下げたりし

ているが褒めてる)。柄本明しかいない。

 

 

 


『土を喰らう12ヵ月』

2022年12月01日 23時16分19秒 | Weblog

土を喰らう十二ヵ月の画像

長野の山荘で暮らす作家のツトム(沢田研二)。彼は子どものころにお寺で小僧をしていたが、

13歳のときに修行から抜け出した経験がある。

今は、山の実やきのこを採り、畑で野菜も育て、自ら料理をしている。

季節の移ろいを感じながら、原稿に向き合う生活。そこに、食いしん坊の恋人で編集者の真

知子(松たか子)が東京から時折訪ねてくる。真知子と旬のものを食べる時間はツトムの特別

に楽しい時間だ。

そんな、悠々自適に暮らすツトムだが、13年前に亡くした妻の遺骨を墓に収められずにいた。

1978年に水上勉が記した料理エッセイを、中江裕司監督が映像化した。

出演は、ツトムの亡き妻の母に奈良岡朋子、義兄弟夫婦に尾美としのりと西田尚美。他に、

火野正平、檀ふみなど。

 

土の中にある野菜ばかりの料理が出てくるのに、ものすごいごちそう。

季節にできる野菜をそのときに、“旬”を食べる。これほどの贅沢はない!

野菜の種類も知ることができるし、できている場所も興味深い。年を重ねてきたのに、知

らないといけないことを知らずにきてしまったという思いが沸いてくる。

丁寧に洗い、心をこめて料理する。その料理たちに見入る。作りたい、でも苦手。

そんな思いで反省しつつ、せめて大切に端から端まで大事に食したい。

 

劇中の料理の多くは土井善晴が料理監修し、沢田研二が自ら作っている。

松たか子の豪快な食べっぷりもいい。真知子のお皿に料理を取り分けるツトムの沢田研二

が素敵だ。

また、二人が主に団らんする居間の窓。これが額縁のようで、その額縁の写真にはめられ

たような景色が、四季の変化とともに圧巻の美しさである

ぜひ、旬の料理と旬の景色を堪能してほしい。

本当は不便できついのだろうけれど、都会に住むと、この生活に憧れてしまう。

 

※全くの余談だが、最近まで若いころの沢田研二主演ドラマ「悪魔のようなあいつ」

のDVDを見ていた。眉目秀麗な沢田研二がそこにはいたのだが、食事を節制するだけして

徹底してその役を演じていったと思う。そのころを知っていると、昔のジュリーはどこに

いった?

と思うかもしれないが、年相応の体型になってはいてもそれはそれでいいのでは?