茶道教室に通った約25年を綴った森下典子のエッセイを映画化。脚本・監督は『まほろ駅前狂騒曲』『ぼっちゃん』の大森立嗣。男臭い関係の物語を描いてきた大森監督が、女性目線の作品をどうとらえているのかに興味があった。
大学生の典子は、母親の勧めで従姉の美智子とともに茶道教室に通うこととなった。タダモノではないという噂の茶道教室の先生・武田のおばさんの指導を受け、茶道の奥深さを知っていく。
就職のことや結婚のことなどでうまくいかず、悩んだりしながらも茶道教室に通う。自分と向き合いながら、成長していく。
人は、どんな生き方も選択することができる。「いろんな人生があっていいじゃないか」そう思わせてくれる作品。
四季折々の日本の風景、感性とともに人の生活のありかたを描き、変わらない日常の有り難さを知る。
典子を演じるのは『小さいおうち』『リップヴァンウィンクルの花嫁』の黒木華。今年、映画にドラマに引っ張りだこだ。従姉の美智子には『ピースオブケイク』などの多部未華子。この同世代コンビの配役が乙。
そして何より、武田先生を演じている樹木希林の素晴らしさ。演じているはのに、演じているように見えないのは凄すぎる。ただ、公開前に亡くなられた。
作品は大ヒットしていますよ、とお伝えしたい。