夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『ヒアアフター』

2011年02月20日 18時54分01秒 | Weblog
 過去を見つめ直して、自分が歩くべき道を知ることがある。時には死んだ人の声を聞いて、前に進むことができる人もあるだろう。これは、そんな話。
 パリでキャスターのマリーは、恋人と休暇を過ごす東南アジアのリゾート地で巨大津波に遭遇。奇跡的に助かるが、仕事が手につかず、やがてマリーは自分が臨死体験をしたことに気づく。そして、ある企画を秘めて、調査を始める。
 ロンドンで母と双子の兄と暮らすマークス。薬物依存症の母を持つ二人は、いつ施設に送られても不思議がない状態。そんなある日、兄が交通事故で亡くなってしまう。マークスは、里親に引き取られるが、兄は死んでどうなっているのか、その死後の世界のことが気になって仕方がなかった。そして、大好きな兄に会いたい!
 サンフランシスコに住むジョージ。死者の声が聞ける彼は、自分の能力を忌々しく思い、かつて仕事としていた霊能力者をやめ、工場での仕事についていた。しかし、不況のあおりを受けて、リストラされてしまう。霊能力を仕事にしたくないジョージは、すべてを捨てて旅に出てる。
 生きる場所も年齢も立場も違う3人。しかし、何かに導かれるように、軸が動き始める。
 製作総指揮にスティーブン・スピルバーグ。監督にクリント・イーストウッド。ということで、まずハズレがないので安心して鑑賞できるのでは?“保険”みたいなもの。毛色が違う内容なので、比べるのはいけないかもしれないが、日本人としては『ソーシャル・ネットワーク』 より共感しやすいだろう。
 タイトルは“ヒアアフター(来世)”。それが持つ意味は…ラストシーンに。
 マリーには、セシル・ドゥ・フランス。ジョージは、マット・デイモンが扮する。監督らしからぬ、ほのぼののラストで余韻を楽しもう。

『毎日かあさん』

2011年02月14日 18時16分40秒 | Weblog
 何と言っても、小泉今日子と永瀬正敏が夫婦役を演じるということで制作段階から話題になっていた作品。ここ数年、西原理恵子絡みの原作が次々と映画化されているが、その“本丸”が映像化されたことになる。
 6歳の息子と4歳の娘をもつ漫画家・西原理恵子。締め切りに追われながら、わんぱくな子どもたちに振り回される日々だ。仕事を持つ女性であるという毎日と、子育ての毎日というのが現実である。元戦場カメラマンである夫・鴨志田はアルコール依存症と闘ってはいるが、うまくいかず失敗を繰り返している。そして、離婚の道をたどる。鴨志田は、アルコール依存症の治療のために専門病棟に入院。やがて、アルコール依存症の治療に終わりが見えたころ、ガンに侵されていることが判明する。
 紆余曲折がありながらも、強く明るく生きるサイバラ。元夫に残された命は少ないと知りながら、家族として子どもたちと暮らし、元夫を看取る。『酔いが醒めたら、うちに帰ろう』は、鴨志田穣目線。『毎日かあさん』は、西原理恵子目線と言ったところだろうか。
 この映画の最大の見所はエンドロール。木村充揮の歌とともに映し出される母と子どもたちのモノクロ写真は、永瀬正敏が撮ったもの。本物の家族かのようなその写真は、撮影中は本物の家族であったことをうかがわせる。心地よい母と子どもたちの距離。珠玉の写真を見ながら、物語を振り返ることができるので、途中で席を立たない方がいいだろう。
 また、距離感ということでは、ベタベタした感じがない夫婦を演じるだけに、小泉今日子と永瀬正敏の元夫婦の距離感がぴったり。実際に西原理恵子と鴨志田穣も“元夫婦”だったわけなので、適役だったとも言える。
 監督は『かぞくのひけつ』の小林聖太郎。

『洋菓子店コアンドル』

2011年02月13日 20時05分42秒 | Weblog
 この映画に登場する人物はみんなそれぞれに問題を抱え、心を閉ざしている部分がある。しかし、どれもが愛すべきキャラクターで、配役も納得できる俳優陣。登場人物をすべて描き切っているストーリーが、見事。鑑賞後は、背中を押されたように、ちょっと元気になっていることだろう。
 なつめは、彼氏を追って鹿児島から東京に出てきた。ところが、彼がいるはずの『洋菓子店コアンドル』にはすでに彼はおらず、“見つける”までを条件に、なつめは『洋菓子店コアンドル』で働くことになる。田舎では父のケーキ屋を手伝っていたなつめだが、コアンドルでは技術的には力不足。作ったケーキを店に出せるだけの実力はない。
 だが、周りの支えと本人のやる気で、なつめは徐々に力を発揮するようになり…。
 監督は、『半分の月がのぼる空』や『白夜行』などで大注目の深川栄洋。この作品は、オリジナル作品。脚本化には深川監督も関わっている。主人公の臼場なつめには、人気実力派女優・蒼井優。深川監督は、この映画で蒼井優に鹿児島弁をしゃべらせるという“課題”を与えている。なぜそうしているのかは、映画の中に答えがあると言える。主人公のなつめと女優・蒼井優の共演とも言うべき作品。“単館系出身”の女優の彼女が、どのようになつめを演じているか、注目。若い子向けの映画?と思うなかれ。秀作であり、感動作である。
 『洋菓子店コアンドル』のオーナーシェフ・依子には、戸田恵子。一線から退き今はスイーツの評論家、かつては“伝説のパティシエ”と言われた十村遼太郎に江口洋介。コアンドルの常連客に加賀まりこ。
 蛇足ながら、オートメーション化されたケーキも悪くない。だけど、手作りならもっといい、ということで。

『ジーン・ワルツ』

2011年02月12日 10時13分12秒 | Weblog
 内容にいろいろなことが組み込まれていて、いろいろな角度から見たり、考えながら見てしまう。医療体制がどうとか道徳とか、簡単にはいえないことがあり、重い内容だ。出産は、生と死がとなり合わせで、命について考えるきっかけになるだろう。そして、婦人科医療が抱える問題に改めて気づく。
 帝華大学の医師・曾根崎理恵は、マリアクリニックでも治療にあたっていた。院長が重い病気で、廃院寸前にあるマリアクリニックの患者は4人。患者それぞれが事情を抱えていたが、ある“禁断の医療”が行われているということを曾根崎理恵と同じ帝華大学のエリート医師・清川がつきとめる。
 現役医師である海堂尊の原作を、『NANA』の大谷健太郎監督が、登場人物を丁寧に描き上げた。主演の二人が菅野美穂と田辺誠一。ほかに大森南朋、浅丘ルリ子、南果歩など実力派が脇を固めている。
 女性には心情的に辛い場面もある。ぜひ男性にも観てほしい。


『私の愛、私のそばに』

2011年02月07日 23時24分14秒 | Weblog
 「ベートーベン・ウィルス~愛と情熱のシンフォニー~」「(韓国版)白い巨塔」のキム・ミョンミンと「ファン・ジニ」『TSUNAMI~ツナミ~』のハ・ジウォンの共演。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の夫と闘病を支える妻のラブ・ストーリー。この王道とも言える物語を、人気と実力を兼ね備えている主演二人がどう演じているか、どこまで引き込まれて観るかが、ポイントになるだろう。
 葬儀ディレクターのジスは、担当した葬儀で幼なじみのジョンウに出会う。ジョンウは唯一の肉親である母を亡くしたのだった。車いすに座るジョンウは、筋萎性側索硬化縮症であることをジスに告げる。そして、二人は恋に落ち、ジスはジョンウの病気を知りながらも、結婚する。お互い、ただそばにいたいという思いのジスとジョンウだったのだ。しかし、ジョンウの状態は悪化の一途をたどり、その姿が変貌していく。ジスへのジョンウの態度も冷たくなっていき…。
 最初から“泣く”と思うタイトルに内容。“難病もの”だけに、泣くのがわかっているのに、“泣く演出”の連続。それが気になる人もいるかもしれない。しかし、そこは韓国映画なので、ジワジワくる邦画との違いがあるということだろう。これでもか!と押し寄せる、くどさを楽しんで見るのも手だ。ハ・ジウォンは、『TSUMAMI~ツナミ~』より、この役の方がぴったりで、魅力的だ。キム・ミョンミンも物語の後半になるほど痩せていき、役者魂の一端を見せている。
 ほんの一瞬だけ、あの大物俳優も出ていたりする。
 監督は『ユア・マイ・サンシャイン』のパク・チンピョ。この作品で、ハ・ジウォンとキム・ミョンミンは、第30回青龍映画賞主演女優賞と主演男優賞を受賞している。
(2009年、韓国)
 

『ソーシャル・ネットワーク』

2011年02月02日 00時34分44秒 | Weblog
 「世界で最も若い億万長者」となった“フェイスブック”の創始者、マーク・ザッカーバーグ。彼がどのようにして“フェイスブック”を立ち上げ、そののち二つの裁判を抱えるのか、そして、問題解決に向けて自分自身とどう向き合うのかを描く。
 2003年。ハーバード大学に通うマーク・ザッカーバーグは、親友のエドゥアルド・サリベンと学内の出来事を自由に話せるサイトを作ることを思いつく。きっかけは、マークが女子学生に振られてしまったから、振り向かせたいということ。その“フェイスブック”は瞬く間に大学生たちに広まり、他の地域の大学へと広がっていく。
 
 だが、サイトの登録者が増え、大きくなるに連れて、エドゥアルドとの間には溝が出来ていく。また、自分たちのアイデアをマークに盗まれた、というウィンクルボス兄弟にも訴えられる。裏切りと成功。若くして億万長者となってしまうマークが手に入れたものと失ったものとは?
 “フェイスブック”を理解しようというよりは、人間ドラマやサクセスストーリーとして捉えた方がわかりやすい。セリフのスピードも早くて、内容も難しい。特に最初の部分は、賢い人たちの会話が続くという感じで、当方のような凡人には頭が痛い。サイトがどう運営されているのかも、実のところわかっていないのが当方の現状だ。ただ、億万長者になると人間関係に変化が出てくるであろうことは理解できる。
 監督は鬼才と言われるデヴィット・フィンチャー。マークを演じるのは『ゾンビランド』のジェシー・アイゼンバーグ。親友のエドゥアルドは『新スパイダーマン』に抜擢されたアンドリュー・ガーフィールド。“フェイスブック”を投資家たちに紹介したナップスターの創始者ショーン・パーカーには、ジャスティン・ティンバーレイクが扮している。