夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『わたしの幸せな結婚』

2023年03月22日 23時37分12秒 | Weblog

わたしの幸せな結婚

人気の若手が出演するラブストーリー。本来、当方としては観にいく予定はなかったが、鑑賞

しようと思った最大の理由は監督が塚原あゆ子氏だから。塚原あゆ子監督は、人気ドラマにし

て名作ドラマ「最愛」「MIU404」「アンナチュラル」を演出してきた人。もう、それだけで

誰が出演しているかは実のところ関係なかった。原作は、顎木あくみのコミックで累計発行部

数500万部を突破している。

文明開化めざましい近代の日本。帝都に屋敷を構える名家の娘・斎森美世(今田美桜)は実母

を2歳のころに亡くし、継母(山口紗弥加)と義妹に虐げられて使用人のように扱われて生き

てきた。自分ががまんすれば生きてはいける、そう思っていたところに、さらに追い打ちをか

けられる。それは、冷酷無慈悲と噂の軍人・久堂清霞(目黒蓮)との政略結婚だった。

「ここでは私の言うことに絶対に従え。私が出て行けと言ったら出て行け。死ねと言ったら

死ねー」

 

と清霞に言い放たれる美世だが、戸惑いながらも従う。しかし、久堂家で過ごすうちに、清

霞は冷酷な人物などではないことを知っていく。そして、清霞もまた、美世がこれまで自分

に近寄ってきた女性とは違うものを感じ、心を開いていく。

だが、そんなころ周囲では謎の襲撃事件が発生しており、徐々に帝都を脅かす事態となって

いく。それは、また清霞と美世にも過酷な運命が待ち受けていることを意味していた。

鶴木新を渡邊圭祐、帝は石橋蓮司、尭人は大西流星(なにわ男子)が演じているほか、前田

旺志郎、高橋務、津田健次郎、尾上右近、火野正平、山本未來、などが出演している。美世

の実母を演じる女優にも注目を。カギを握る人物となっている。

物語は奇天烈で共感できるものはないが、恋愛までに行く様子の描き方が丁寧でこのあたり

は塚原あゆ子監督の真骨頂と思う。そして映像の美しさ。これは、スクリーンだからこそ感

じることができるところで端から端まで目を配りたい。

また、この時代の食材や着物にも興味は湧く。

さらに、ラストに意味深長なシーンが。気になるところだ。


『ケイコ目を澄ませて』

2023年03月13日 19時39分00秒 | Weblog

ケイコ 目を澄ませて

『きみの鳥はうたえる』の三宅 唱監督と『愛がなんだ』の岸井ゆきののタッグ。

これらの映画作品を上げるだけで、この作品が大手に迎合したものでないのがわかる。

今年度の映画賞を総なめにしていた。それだけに、日本アカデミー賞で最優秀主演女

優賞を岸井ゆきのが取る前に鑑賞しておきたかったが、今になってしまった。

耳が聴こえないボクサーの実話を基に描いた人間ドラマ。元ボクサー・小笠原恵子の

自伝「負けないで」が原案。

 

生まれつき聴覚障害で両耳とも聴こえないケイコ(岸井ゆきの)は、ホテルのベッド

メイクで生計を立てながら開発が進む下町のボクシングジムで厳しい練習に励み、プ

ロボクサーとしてリングに立ち続けていた。嘘がつけず、自分の思いをうまく言葉に

できないことでストレスも溜まっていく。

そんなある日、ケイコは間もなくジムが閉鎖されることを知る。次の試合はどうして

も勝ちたい、そう強く思うケイコだが…。

 

ボクサーの役ということもあり、岸井ゆきのはほぼノーメイク。ただ、そんなものは

必要のないウソのない演技。その力、一挙手一投足が見事だった。決して、美しさを

ウリにする女優ではないが、その普通さが生きる女優である。

日本アカデミー賞では、“コンビネーション”打ちが自分に向いていると語っていたが

本当にすごいミット打ちをしていて、しかもそれが楽しそうなのが伝わってきた。

この作品はフィルムで撮影されている。そのため、その風合いが独特だ。そのざらつ

き感の中で、朝日や夕日が差し込む。ノスタルジックな雰囲気も。

人生は山あり谷あり、勝ったり負けたり。それでも人は前に進んでいく。

エンドロールは曲がなく、ケイコが見るいつもの風景に、ヘリコプターや人の

声、鳥のさえずりが聞こえる。そこに、キャストやスタッフの名前が静かに入り込む。

ジムの会長には三浦友和、その妻を仙道敦子、ジムのコーチには三浦誠己。ケイコの

母は中島ひろ子が演じている。

 

耳に障害があるので、耳を澄ますことができない。だから目を澄ます…そういうことか

らのタイトルとなっているのであろうと、スクリーンを観ながら感じていた。

 


『仕掛人・藤枝梅安』

2023年03月02日 21時06分10秒 | Weblog

仕掛人・藤枝梅安

池波正太郎生誕100周年記念作品。ベストセラー時代小説「仕掛人・藤枝梅安」シリーズを豊川悦

司主演で映画化した2部作の第1部。

 

江戸の郊外である品川台町に住む鍼医者の藤枝梅安(豊川悦司)には、腕の良い医者としての顔と、

生かしてはおけない者を冷酷に葬るという裏の顔があった。

羽沢の嘉兵衛(柳葉敏郎)からの依頼で、ある日、人気の料理屋を訪れる。だが、そこの女将・お

みの(天海祐希)の顔を見た梅安は思わず息をのむ。その顔は、梅安の子どものころを思い出させ

るものだった。

 

梅安の盟友である彦次郎(片岡愛之助)との導入部分のシーンが後半になると見事に回収されてい

く。飽きさせない展開ですすめられる。時代劇はテレビでもとんと見れなくなったが、やっぱりお

もしろい。そして、池波正太郎の世界は日本人に深くじっくり入りこむと改めて思った。

また、天海祐希はテレビサイズだと大柄で大きな芝居に見えることがあるが、この作品では演じる

相手役のほとんどは豊川悦司。背丈に違和感がなく、しかもスクリーンであるため、この作品は久

しぶりにハマる作品となっている。そして、トヨエツの色っぽさは絶品。言葉は発さなくても、怪

しさも不思議さも秀逸なのである。

 

おみのの料理屋の中居・おもんは菅野美穂。この菅野美穂もいい役どころでピッタリ。

当初、梅安の敵か?と思う男・石川友五郎は早乙女太一。その上司である嶋田大学を板尾創路。お

みのの亭主・善四郎は田山涼成が、梅安の家事を手伝う女・おせきを高畑淳子が演じている。ほか

に六角精児、中村ゆりなど。

監督は、フジテレビで数々の名作ドラマをプロデュースしてきた河毛俊作。脚本は「精霊の守り人」

「なつぞら」の大森寿美男がつとめた。

 

エンドロールに工夫がされている。座席を途中で離れないこと。

出演者の名前を見て、???出てたっけ???と思った名前を見つけたら、必ず劇場の電気がつく

まで要注意。ステイしておきたい。