夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『1秒先の彼』(DVD)

2024年01月30日 20時04分57秒 | Weblog

2020年の台湾映画『1秒先の彼女』をリメイクし、舞台を京都に移して男女のキャラクター

設定を逆転させたラブストーリー。周囲よりワンテンポ早い男性とワンテンポ遅い女性の“消

えた1日”を描く。監督は山下敦弘、脚本は宮藤官九郎。岡田将生、清原果耶のダブル主演と

いう豪華さ。

 

郵便局で働くハジメ(岡田将生)は、何をするにも人よりワンテンポ早い。そのハジメがあ

る日、路上ミュージシャンの桜子に出会い一目惚れ。勇気を出して花火大会に行く約束を取

りつけたものの、当日、目覚めると“翌日”になっていた。

一方、ハジメのいる郵便局で毎日84円切手を買うレイカはいつもワンテンポ遅い。だが、“消

えた1日”のカギをレイカが握っていることを知ったハジメは、ある過去について調べようと動

く。

果たして、1秒先を行く彼と、1秒遅れる彼女が、ピタリのタイミングで出会うことができる

のか?

 

岡田将生以外は関西方面のキャストで揃えている。岡田将生は勢いよく話す関西ことばに頑張

っているので、そこは許してあげて

彼と彼女の視点を変えて描かれる物語は、テンポ良く進む。さすがはクドカン。飽きさせない

展開だ。京都の有名観光地が出てくるのもホッとするところ。そして、山下敦弘監督お得意の

青春賛歌でもある。オチとなる名前の“仕掛け”が日本らしい。

ハジメの両親を加藤雅也と羽野晶紀が演じている。ハジメの妹を松本妃代、その彼氏を朝井大

智。“消えた1日“に巻き込まれるバスの運転手を荒川良々が演じる。そして、ラジオDJと写真屋

の店主を担当しているのは笑福亭笑瓶。この役がハジメに寄り添い、ポイントとなる。

 


『海をゆく者』

2024年01月28日 21時29分16秒 | Weblog

    

小日向文世、高橋克実、浅野和之、大谷亮介、平田満という演技巧者の舞台人が

集結した。ローレンス・オリヴィエ賞やトニー賞を受賞し、「21世紀のクリスマ

ス・キャロル」と評されたコナー・マクファーソンの名作。それを栗山民也が演

出しているという興味満載の作品。9年ぶりの再演となる。

台詞量の多さと丁々発止のやり取り、絶妙な間で繰り広げられる秀逸な舞台劇。

 

アイルランドのダブリン北部。海沿いの古い家に、もう若いとは言えない兄妹が

住んでいる。兄のリチャード(高橋克実)は大酒飲みで、最近は目が不自由にな

っている。その世話のために戻ってきたという弟のシャーキー(平田満)は、本

来酒癖が悪く多くもの物を失ってきたため、今は禁酒中だ。リチャードは陽気で

開放的なため、クリスマス・イヴから友人のアイヴァン(浅野和之)を家に招き、

飲んだくれている。そこに、シャーキーが顔を合わせたくない男であるニッキー

(大谷亮介)がやってきて「クリスマスだから」とカードゲームに誘い、シャー

キーを怒らせる。さらにニッキーはロック・ハート(小日向文世)という男を連

れていた。そのロック・ハートこそが、ニッキーの最も会いたくない男だった。

 

高橋克実、平田満、浅野和之の三人の酔った演技から舞台は始まる。このキャス

トでの一番年下は高橋克実だが、年長の役だ。もうその入口からおもしろい。台

詞の量も冒頭から膨大である。前半の後半でロック・ハートの小日向文世が登場

し、カードゲームを始めよう…というところで後半に入る。その時の小日向文世

の歩き方と振り向き方に怪しさを感じ、ゾクッとした。

物語は家の地下室のみで、舞台変換はなし。ワンシチュエーションのように進ん

でいく。百戦錬磨のベテランたちの競演を観られることの幸せ。だが、観念的な

表現もあり、重層的。捉え方がいろいろできそう。とりわけ、小日向文世演じる

ロック・ハートの存在。フライヤーの文言に、愛すべきダメおやじたちの“クリス

マス・ファンタジー”とあるので、シャーキーが生み出した存在なのかもしれない。

過去に引き込む人物でありながら、未来へも導いていく存在でもある。

 

カーテンコールの際、キャスト5人が並んだ姿が圧巻であり、圧倒的な人たち!

平均で70歳になるキャストたち。また、違う舞台でもお元気で!!

 

(1月28日、サンケイブリーゼにて鑑賞)


『ゴジラ ー1.0』

2024年01月25日 19時56分51秒 | Weblog

 戦後の焼け野原になった日本。特攻隊員だった敷島浩一(神木隆之介)は戦争か

戻ると両親が亡くなっていた。生きて帰った敷島を息子が戦死した隣家の澄子

(安藤サクラ)がなじる。

 ある日、闇市を訪れた敷島は、子どもを連れて逃げる典子(浜辺美波)と出会う。

敷島の家に居ついてしまう典子。そして、生活を落ち着かせるために戦後の特殊任

務についた敷島の前に、ゴジラが現れる。

 

 日本製作実写版ゴジラ映画通算30作目。ゴジラ生誕70年の記念映画である。

正直、前作がおもしろくなく、あまり期待していなかったのだが、楽しめた。ゴジ

ラ作品として考えなくていいぐらいに。この映画は当方にとっては、終始“戦争映

画”だった。なぜか、泣く。

 ダーダダッダダーダとゴジラ登場の勇ましい曲は流れるのだが、それぞれの人物

の戦争の終わり方。終わりと向き合うということのように捉えて、その思いから出

ることはなかった。だが、この映画は“ゴジラ”。今後、まだまだ登場し日本を脅か

すに違いない。

 神木隆之介と浜辺美波は朝ドラ「らんまん」よりこの映画撮影が先。しかし、す

でにものすごい“夫婦感”あり。浜辺美波は力強い、どっしりとした演技ができるよ

うになっていて、戦後の強い女性を演じていてもしっくりくる。そこはかと流れる

“姉さん女房感”はいったいどういうことだろう。

ワイヤーアクションも頑張りました

 

 敷島とともに特殊任務を行うメンバーには、吉岡秀隆、佐々木蔵之介、山田裕貴。

海軍航空隊整備士を青木崇高が演じる。それぞれの戦争への思いを胸に、ゴジラと

戦う。

 

 監督、脚本、VFXを担当したのは『ALWAYS三丁目の夕日』『永遠の0』の山崎貴。

カラー版とモノクロ版があるが、当方が鑑賞したのはカラー版。カラー版はゴジラ

の背中にできる“棘”の出方は色が変わるのでよくわかるが、戦後設定であるという

ことを考えればモノクロの方もいいのかもしれないと感じた。


『ゴールデンカムイ』

2024年01月24日 09時03分59秒 | Weblog

ポスター画像

野田サトルの同名大人気コミックが原作。明治末期の北海道を舞台に繰り広げられる

サバイバルとバトルアクショを映像化。個性が強いキャラクターを華があるキャスト

は名演している。

 

203高地で壮絶な戦いに向かってきたその男は「不死身の杉元」と異名を名付けら

れた。

日露戦争の英雄・杉元佐一(山崎賢人)は、ある目的のために北海道での砂金取りに

明け暮れていた。そこで杉元は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。

金塊を奪った“のっぺら坊”は逮捕前に金塊をある場所に隠し、網走監獄に収監された。

そして、その在処を記した刺青を同房になった者たち24人に彫り、脱獄させる。刺青

は24人全員で一つの暗号になるという。そんな時、ヒグマの襲撃を受けた杉元を、ア

イヌの少女アシリパ(山田杏奈)が救う。アシリパは金塊を奪った男に父親を殺され

ていた。そして、父の仇を討つために杉元と行動をともにすることに。杉元にもまた、

大金がすぐに必要な理由があった。

だが、日露戦争で命を懸けて戦いながらも報われなかった部下たちのために、北海道

征服を目論む大日本帝国陸軍第7師団の鶴見中尉(玉木宏)たちやもう一人、戊辰戦

争で戦死したはずの新選組・鬼の副長こと土方歳三(舘ひろし)も野望実現のために

金塊を追い求めていた。

 

山崎賢人は『キングダム』を経て、立派な力強さを感じる俳優となっている。もはや

デビューころのイケメンだけの俳優だけではなくなった。周りの俳優陣たちのキャラ

も立っていて素晴らしい。当方は原作を知らないが、十分楽しめた。

杉元の幼馴染の寅次を泉澤祐希、梅子を高畑充希が演じる。他に、脱獄王の異名を持

つ白石由竹は矢本悠馬、第7師団の尾形百之助は眞栄田郷敦、月島基は工藤阿須加、

谷垣源次郎を大谷亮平が演じている。

この映画はアクションだけではなく、人間が生きとし生けるものを食んできた歴史で

もあり、グルメ映画でもあると思う。食べることとはどういうことかが描かれている

といえよう。

 


『カラオケ行こ!』

2024年01月16日 20時01分55秒 | Weblog

優しいヤクザにある事情があり、合唱部に所属する中学生にカラオケがうまくなる方法

を教えてもらう。それだけの物語と言えばそれまでなのだが、めっちゃおもしろい。テ

ンポも良い。社会的なことは何も考えず鑑賞したい。物語の舞台は“ミナミ銀座”と呼ば

れる辺り(架空)。全キャストが大阪ことばである。

 

組長主催のカラオケ大会でどうしても最下位になりたくない成田狂児(綾野剛)は、合

唱部のキャプテン岡聡実(齊藤潤)に声をかけ、カラオケボックスに連れていく。

狂児の勝負曲は X JAPANの「紅」。それは狂児の見かけとは違って…。

最初はどう接してしていいかわからない聡実だったが、徐々に交流を深めていく。

 

そして、これは中学生の合唱部の青春群像劇でもある。その部員たちの成長物語であり、

繋がりの話でもある。また、合唱部の指導を担当している森本ももを演じているのは、

「表参道高校合唱部!」で合唱部員だった芳根京子。時代が回っていると感じる配役で

もある。

原作は和山やまの人気コミック。『スイングガールズ』で音楽と青春群像劇を描いた山

下敦弘監督。ドラマ「MIU404」、「アンナチュラル」などで魅了する野木亜希子の脚

本ということで注目していた作品だった。