夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『母と暮せば』(試写会)

2015年11月27日 08時19分20秒 | Weblog

原作が井上ひさしということもあってか、映画なのに戯曲作品を観ている感覚があった。舞台役者が脇を固めていることやシチュエーションがいったり来たりしない演出になっていることもある。とくに、ラストシーンはこれで舞台の幕が降ります…という憎い演出になっていると思う。山田監督初のファンタジー作品。声高にではないが、山田監督は戦争否定を作品で描いている。

吉永小百合と二宮和也の共演に監督が山田洋次ということで話題。若い世代に戦争のことを知ってもらおうと、キャストに工夫がされたと思われる。期待を裏切らず、二宮和也は軽妙で変幻自在な演技を見せている。

原爆が投下されてから3年後の長崎。福原家では夫が結核で亡くなり、長男はフィリピンで戦死。医大生だった次男・浩二は原爆で亡くなった。ある日、助産婦として働く伸子のところに、亡くなったはずの浩二が現われる。浩二は、「母さんはあきらめが悪いから、なかなか出てこれんかった」という。

その日以来、伸子と浩二の不思議な交流が続いていく。そして、浩二がやってきた理由とは。。

 

浩二の恋人・町子には、昭和の時代がピタリとはまる黒木華。この作品でも名演。すごく渋めの着物が似合う。他の出演者も浅野忠信、加藤健一、辻萬長、橋爪功と芸達者なキャストが揃っている。

町子のところにも、浩二が現れてほしかったなぁ。それに、やっぱり小劇場系の舞台な作品ぽいですな。

松竹映画120周年記念作品。

 (アポロシネマにて試写会、12月12日公開)

 


『図書館戦争 THE LAST MISSION』

2015年11月03日 08時50分01秒 | Weblog

前作の鑑賞終了後、なんのために誰と誰が戦っているのかよくわからない--という声が聞かれた。大前提として、そこが理解できないと、この作品に共感はできないだろう。前作映画、スペシャルドラマときて、今作につながる。

原作は有川浩の人気シリーズ「図書館戦争」で、榮倉奈々が演じる笠原郁という図書隊特殊戦闘員(ライブラリータスクフォース)からの目線で描いた、大人向けライトノベル。恋愛、群像劇、アクションとどこからでも気になるところから物語に入ることができるが、揺るぎない一本の軸がドンとあることを忘れてはいけない。国家機関である良化隊と行政機関である図書隊が戦う。図書隊員が守るのは一冊の本。本を自由に読む権利。本を守ること=表現の自由、言論の自由を守る、ということ。そのために戦う・・・重ねて言う、その点に共感できないと、この世界観は伝わらない。

国家による思想検閲が行われる社会になっている日本で、1冊しか現存しない本の展示会の警備という指令が図書隊に下る。しかし、それは図書隊壊滅をもくろむ組織の罠だった。急襲を受け、次々と倒されていく図書隊員たち。彼らは、無事に展示会に本を届けることができるのか。命運をかけた史上最大の戦いが始まる。

タスクフォース堂上班の班長・堂上篤には岡田准一。タスクフォース唯一の女性隊員・笠原郁を演じる榮倉奈々のほか、同僚隊員の小牧幹久には田中圭、手塚光を福士蒼汰が演じている。笠原の同期で親友の図書隊・柴崎麻子は栗山千明と、主要キャストに変更はない。そして、今回より手塚の兄として松坂桃李が登場している。

言うまでもないが、岡田准一はもはや”ジャニーズ”を飛び出し俳優としての職務を全う。また、榮倉奈々は前作よりアクションシーンが増加し、めちゃめちゃ走って、がんばった。走り切ったたときの榮倉奈々の表情がとても良い。走り切った!    戦闘シーンが長めに感じるが、命にかえても”自由が大事”を伝えたいところからだろう。

続編の期待も高まるが、原作ではこの先、堂上と笠原のラブな場面が多めとなる。甘いシーンの数々。となると、映画でこれまで力を入れてきた戦闘シーンが激少する。岡田准一は”ラブが苦手”を公言しており、続編をつくるとして、原作ファンをどこまで納得させるかは悩むところとなるはず。

岡田准一と榮倉奈々のやりとりは、もはや夫婦漫才の域堂上と笠原の役にぴたりである。わかる人にはわかる、クセになるキュンキュンさせるポイントがあるので、ふたりのシーンになると劇場内が浮き立つ。作品のファンにしか分かりづらい場所…あの本屋?とというワンカットなど 、それもそそる点だ。守ったのは一冊の本だけではなかった、ということにはなるのだが。

監督も前作同様、『GANTZ』などアクション作品に定評がある佐藤信介。