夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『変な家』

2024年03月30日 21時27分48秒 | Weblog

「変な家」動員1位発進、ほか初登場が3本 オスカー獲得の2本は再ランクイン 

 動画制作者・雨穴がYouTubeに投稿した「変な家」を、石川淳一監督が映画化したミステリー。

間宮祥太朗と佐藤二朗がW主演を務める。

 

 オカルトを専門とする動画制作者の雨宮(間宮祥太朗)は、ある日マネジャーから引っ越し予

定の間取りについて相談される。マネージャーは引っ越したいが、妻は反対だという。そこで、

雨宮はミステリー好きの建築士・栗原(佐藤二朗)に間取り図のおかしな点について尋ねに行く。

栗原はその間取りから浮かび上がる違和感からある仮説を立てる。そんな時、ニュースでその家

の近くの裏山で男性の遺体が見つかり、その男性の妻と名乗る女性(川栄李奈)が現れる。

 

 共演は長田成哉、石坂浩二、瀧本美織、根岸季衣、斉藤由貴など。

斉藤由貴は、テレビの番宣で「この映画について明らかにできない部分が多くて宣伝するのが難しい。

しかも、私はうまく説明できないので、”観てください”ぐらいしかお伝えできません」←要約。

と語っていたが、そのとおり。家族関係を説明してしまうのも、驚きが半減してしまうと思う。ナビ

ゲーションが難しい。

 映画の冒頭から「あっ!!」と声がでるシーンから始まる。これでもかというぐらい話が続いてい

くし、怖いシーンもあるのでつい力が入ってしまい、鑑賞後どっと疲れてしまうこともあるかもしれ

ない。最後にひねりがあるので、ホッとしたところで裏切られる。これは、歪んだ家族の愛の話と言

ってしまっていいのか…。この作品に斉藤由貴が出演している段階で、主演はこの人になってしまう

ということを記しておく。


『四月になれば彼女は』

2024年03月24日 20時12分33秒 | Weblog

画像1

 主演は佐藤健と長澤まさみ。そしてタイトルを聞くと一つのストーリー

が想像できてしまう。あれがこうなって、こうなるよね。で、立ち上がっ

て前向きに進んでいく選択をするであろう、と。が、そこはひとひねり。

原作を知らないでいくと、物語の回収方法に驚く。

 

 四月。精神科医の藤代俊(佐藤健)のもとに、かつての恋人・伊与田春

(森七菜)から手紙が届く。

「あのときわたしには、自分よりも大切な人がいた。それが、永遠に続く

ものだと信じていた」

“天空の鏡”と呼ばれるウユニ塩湖やプラハ、アイスランドから届く手紙。

そこには、10年前の恋の記憶が書かれていた。

 また、藤代は時を同じくして婚約者の坂本弥生(長澤まさみ)との結婚

準備を進めていた。だが、『愛を終わらせない方法、それは何でしょう』

との言葉を残し、姿を消してしまう。

 春はなぜ手紙を書いて送ってきたのか、弥生はどこへ行ったのか、その

二つの謎はやがて一つに繋がる。

 

 精神科医を演じる佐藤健。「今日はどうされました?」と白衣姿で言わ

れると、あの恋愛ドラマが頭をかすめてしまう。恋人の春の父親・衛(竹

野内豊)と対峙する時には、あの心和む親子のドラマを思う。が、もっと

恐ろしいのは「高校教師」まで遡って思い出してしまうこと。そこに怪し

い父娘関係を感じ取ってしまう。←ちなみにすべてTBS系ドラマ

 愛し方はさまざま。その場所から動くことができないこともある。長澤

まさみ演じる弥生もまた心に傷を抱えて、深い底にいる。それぞれが自分

と向き合い、結論を出していく。見つめ直したその先にあるものとは?

 

 見事な大団円で物語は収まるのだが、壮大で超絶なモラトリアム人間の

物語だ!と心で叫んでいた。森七菜がキャストの中では若すぎる気もした

が、間違いなく物語のキーパーソン。海外のシーンが美しく、魅力的だ。

藤代と春の出会いは、春が大学で写真部に入部したことから。フィルムカ

メラと撮影、そして現像。デジタルカメラが主流になってしまった今日、

このフィルムカメラと現像にワクワクする。うまく撮れているのか、そう

ではないのかハラハラドキドキ。いいなあ、ここ。暗室で現像液を使うこ

の作業はフィルムカメラ好きの憧れ。プリント(紙焼きという言葉もいに

しえ)はこれでなくては!と思うのはもう古いかもだが。

 出演は他に、仲野太賀、中島歩、ともさかりえ。そして、今「不適切に

もほどがある」での役柄が大注目の河合優実が長澤まさみの妹を務める。

監督は、米津玄師「LEMON」や宇多田ヒカル「Gold~また逢う日まで~」

のミュージックビデオを演出してきた山田智和。

 

 

 

 


『落下の解剖学』

2024年03月12日 08時15分14秒 | Weblog

落下の解剖学

 2023年、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞のパルムドール賞を受賞した

作品。長編4作目となるフランスのジャスティーヌ・トリエが監督を務めた。

 

 人里離れた雪山の山荘で、視覚障害のある11歳の少年が血を流して倒れている父親・ヴィン

セント(スワン・アルロー)を発見する。悲鳴を聞いた母親のサンドラ(サンドラ・ヒューラ

ー)が救助を要請するが父親はすでに息絶えていた。当初は転落事故として扱われていたが、

不審な点も多く、殺人事件としての捜査となり、ついに妻の人気小説家であるサンドラが容疑

者となり裁判が始まる。

 息子に無実の罪を伝えるサンドラだが、事件の真相が暴かれる中で、本当の夫婦仲や隠され

た秘密、嘘が明らかになっていく。登場人物の数だけ視点が変わり、真実は何なのかを観る者

に考えさせていく。

 

 冒頭のシーンのみが事件性を表すほかは、ほぼ法廷劇となるヒューマンサスペンス。この法廷

劇が二転三転。事件には関係ないことをネチネチ突かれたり、劇場型で裁判が進むなど、やっぱ

り当事者になるのは嫌だとの気持ちが湧く。物語としては、最後にあとひとひねりがあるかも?

と思いつつ鑑賞してしまうであろう。

 

 ☆鑑賞当日の3月11日は第96回アカデミー賞の発表がされていた。最優秀脚本賞を受賞してか

らの鑑賞となったが、当方が座席指定をしたときより、座席が埋まっていた。長い上映時間で、

法廷シーンがメインでありながらも飽きさせないその会話劇は、まさに最優秀脚本にピッタリだ。


『マイホームヒーロー』

2024年03月09日 21時34分33秒 | Weblog

映画 マイホームヒーロー

 同名のコミックが連続ドラマからの劇場版作品となっている。ドラマを見ていた人の中には、

劇場版にしてほしくなかったとの意見はあるかもしれない。当方も悩んだのだが、終わり方が

気になって見届けようと足を運んだ。

 サスペンスでありながら、切羽詰まっているのに夫婦のコミカルな演技が混じるのがホッと

するのがドラマの展開だった。

 どこにでもいる普通の父親が娘の彼氏を殺してしまってから7年が経ち、あれから鳥栖夫婦

には息子が生まれ、5歳となっている。家族を守るために命がけで娘に罪を隠し通してきた父

の哲雄だったが、山中に埋めた死体は、大雨により山が崩れて発見されてしまう。捜査に乗り

出す警察と死体とともに消えた10億円を探す半グレの犯罪集団。そして再び標的となり、容疑

者ともなってしまう。そこに、何も知らずに刑事となった娘の零花が事件の真相に迫ろうとし

ていた。

 哲雄とともに娘を守るために夫の犯罪の手助けをしてきた哲雄の妻・歌仙を木村多江。映画

から参加するのは、哲雄を疑う組織犯罪対策班のベテラン刑事・安元を立川談春、零花の上司

・戸島をインパルスの板倉俊之。そして組織犯罪組織・間野会トップの志野に津田健次郎。哲

雄の秘密を知る大沢を宮世琉弥が演じている。ドラマからの引き続きは、音尾琢真、高橋恭平

(なにわ男子)、神野三鈴など。監督は青山貴洋、主題歌はEveの「インソムニア」。

 

 ドラマからの一つ一つの伏線は回収されている。最後の最後に、哲雄が趣味で書いている小

説の中身を演じている、というオチがあると思っていたのだが、そこは笑いなしのまっすぐな

ストーリーだった。きちんと結果が描かれていて、これまでの責任が果たされている。普通の

サラリーマンなのに、ものすごく強くて、トリックにも機転が利く家族思いの男の物語だ。た

だのドンパチで怖いとは違うものである。佐々木蔵之介の不死身さと、木村多江の何かをやら

かしてくれそうな怪演がドラマから引き継がれている。木村多江は不思議な魅力のある人だと

いうのを改めて。


「モネ 連作の情景」

2024年03月06日 20時55分52秒 | Weblog

 

   

 

日本で大人気のクロード・モネ。彼は、同じ場所で何度も同じ絵を描いている。

展示は印象派以前のモネから。

ジヴェルニーでの“積みわら”の連作もある。

最後は、自宅の庭で連作した“睡蓮”がお披露目されている。一部だが、写真撮影OKの作品

があり、来場客は撮影すること間違いなし。

今日は、昨日から引き続き朝方は雨。行列はできていたが、おそらく晴天平日や、土日と

は違ってゆっくり観覧して、撮影できたのではないかと思う。

展示数は少なく感じるかもしれないが、“モネの連作”が観られるのは珍しい。

 

1章  印象派以前のモネ

2章  印象派の画家、モネ・・・・・・“ヴェトゥイユの教会“はここ

3章  テーマへの集中・・・・・・・・“プールヴィルの断崖”はここ

4章  連作の画家、モネ・・・・・・・“積みわら”はここ

5章  「睡蓮」とジヴェルニーの庭・・文字どおり“睡蓮”はここ。一部作品の撮影OK

                   となっている

 

☆モネの説明については割愛します

 

(大阪中之島美術館にて 5/6まで開催中)


『52ヘルツのクジラたち』

2024年03月01日 20時57分26秒 | Weblog

52ヘルツのクジラたち フライヤー1

 貴湖(杉咲花)は心と体に傷を抱え、東京から海辺の町へ一軒家へ移り住

んできた。貴湖は、虐待され声を出せなくなった“ムシ”と呼ばれる少年(桑

名桃李)と出会う。かつて自分も家族と虐待され、搾取されてきた彼女は少

年を見過ごすことができず、一緒に暮らし始める。彼の母・琴美(西野七瀬)

は、貴湖の家の修理をしてくれた工務店の村中(金子大地)の同級生だとい

う。

 かつて、アンさん(志尊淳)から52ヘルツのクジラの声を聴けるタブレッ

トをもらった貴湖は、少年にもその声を聴かせる。声が高くて仲間には聴こ

えない声は、やがて、少年にたった一つの願いを生まれさせる。それをかな

えようと決めた貴湖は、親友の美晴(小野花梨)の助けを借りながら、もう

一度立ち上がる。

 

 2021年本屋大賞を受賞した町田そのこの同名小説が原作。当方は、原作を

既読してから鑑賞した。難しい原作で、演者は小説の人物を体現していて凄

いと冒頭で感じる。杉咲花に関しては、「夜行観覧車」「おちょやん」『市

子』そして今作と、一癖二癖ある役を観ることがしばしば。いとも簡単にや

り遂げているように見えて、本当に底が知れない人。この作品も、観る人を

選ぶ映画で商業向けとは言えないが、この人しか演じることはできないもの

である。地獄の中にいた貴湖を救い上げる美晴の同僚であるアンさんを演じ

る志尊淳もまた、この役に理由あり。また、原作を読んでいた時に気になっ

ていたアンさんの母役は余貴美子だ。何というキャスティングか!

 実は、原作ではもっと登場人物がいて、都会ではない狭い町だからこその

きつい言葉やシーンがあるのだが、おそらく今は“不適切にもほどがある”の

で出てこなかったのではないかと思う。そして、アンさんの母の言葉も、行

動も映画とは違うものだ。ぎゅっと、登場人物を絞り込んでいる。だが、世

界観は十分伝わる。貴湖の恋人を演じるのは宮沢氷魚、監督は『八日目の蝉』

の成島 出が務めた。

 

 ラストは原作とは違う。当方は、原作の現実的な福祉的観点からの提案で終

わる方が好きだ。どちらの終わり方も余韻があるが。←あっそうそう、村中さ

んの出番が少なかったのも個人的に残念。だが、こういう日常で暮らしている

人は必ずいる。目をそらさないでいたい、そらさないでほしいと思う。