夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

2012年03月29日 07時55分09秒 | Weblog
 政治家として、自分の信念を貫き通し、“鉄の女”と言われたサッチャー首相。だが、いつもそばに夫や家族がいて、見守っていた。妻であり、母であったマーガレット・サッチャーの一代記でありながら、偉人伝ではないというのが今作の特徴といえよう。79年から90年まで首相就任。08年に、娘から母が認知症に苦しんでいるーということが発表された。
 
 雑貨屋を営む家に生まれたマーガレット。決して裕福とは言えない環境で育ったマーガレットだが、市長を務めたことのある父の影響で政治を志す。しかし、初めての下院議員選挙で落選。落胆するマーガレットだったが、そんな彼女に思いを寄せる事業家のデニスがプロポーズする。マーガレットは、自分の意志を変更できないと言うが、その気持ちをデニスは受け入れ、二人は結婚する。
 やがて、マーガレットは党首となり、そして英国史上初の女性首相となる。

 フォークランド紛争での勝利、経済の立て直し、労働組合の改革と、次々と指揮をとり、難しい政治局面も乗り切っていった。その存在は世界にも影響を与えることとなった。

 マーガレット・サッチャーを演じるのはメリル・ストリープ。言うまでもないが、アメリカ人である彼女が、イギリス人の実在の人物を演じていることに注目を。マーガレットの夫を演じるのはジム・ブロードベント。夫婦二人のかけあいに笑ったり、嘆いたり…。しかし、夫を見送るマーガレットが切ない。監督は、『マンマ・ミーア』のフィリダ・ロイド。
 細かいところまで抜け目はない。セットといった美術的なことだけでなく、メリルの立ち居振る舞いや表情一つもそうだ。だが特に、老けメイクの一つ一つのシワが、本物と思えるくらい、素晴らしい。
 そのため、メリル・ストリープはすでに、マーガレット・サッチャーその人にしか見えない。
 
 しかし、比べるものではなく失礼だが、樹木希林も負けないくらいの演技っぷりでした。双璧??

『わが母の記』(試写会)

2012年03月23日 09時33分27秒 | Weblog
 樹木希林は、なんと素晴らしい演技をする人だろう。憎らしいけど、いじらしくて、かわいい。お見事です。まず、そう讃えたくなるのが『わが母の記』。
 第35回モントリオール世界映画祭 審査員特別グランプリを受賞した作品。家族の絆や、四季の移ろいを描くなど、細部に渡って“日本人的”な情感がたっぷり溢れる。

 小説家の伊上洪作は、子どものころに親と離れて暮らしたことから、親に捨てられたという思いを抱いてきた。父が亡くなり、妻や3人の娘たちや妹たちに支えられながら、母と向き合うことになる洪作。そして、日々失われていく母の記憶。だが、母は洪作が一番知りたかったことを口にして…。

 原作は、文豪・井上靖の自伝的小説「わが母の記~花の下・月の光・雪の面~」。監督は、『突入せよ!あさま山荘事件』などの原田眞人。認知症となる洪作の母を演じるのは、樹木希林である。洪作には、役所広司。役所は、母と距離をおいていたが、その後、近い関係に寄り添っていくという役を、人間味たっぷりに演じた。孫娘の琴子には、若手実力派女優の宮崎あおい。祖母と真剣に向き合いながらも、ときに辛くなり感情をぶつけてしまう、という振り幅の大きな役をうまくこなしている。他の出演は、南果歩、三國連太郎、三浦貴大など。
 付け加えておくと、冒頭のシーンが、重要なポイントの一つとなる。まばたきに注意を。

 なお今作では、宮崎あおいのセーラー服姿が見られる。とても珍しいので、そこはお見逃しなく。また、宮崎あおいは今年、出演作が次々と公開される予定。少し気が早いが、映画賞のレースに関わってくることが予想されるので、目が離せない存在と言えよう。

(4月28日、公開)

『僕等がいた 前篇』(試写会)

2012年03月04日 23時44分38秒 | Weblog
 青春のとき、“あぁ、輝いていたな”という記憶があれば、この作品にハマるかも。遠い記憶?近い記憶?
 青春群像と、甘くせつない初恋を描いた『僕等がいた』。小畑有紀原作の、大人気コミックの映画化。
 前編と後編に分けて製作された今作は、前編が主人公の“出会い”を描いた高校時代、後編が“運命”の6年後となっている。

 北海道・釧路。高校2年生の新学期に、七美はテストでひどい点数を取って落ち込み、校舎の屋上にいた。そこで、七美は矢野と出会う。矢野はクラスの人気者だったが、どこか影があった。そんな矢野に、徐々に七美も惹かれていく。矢野は、過去に元恋人を亡くしていたが、まっすぐに自分のことを想ってくれる七美に、心を開いていく。
 ぶつかりあいながらも、楽しく過ぎていく日々。しかし、矢野は東京へ転校することになる…。
 
 そして、6年後の東京-。大学を卒業した七美は、出版社に勤務していた。矢野とは、連絡が取れないでいる。
 矢野が七美の前から消えた理由は?七美が出す結論は?

 主人公の二人を演じるのは生田斗真と吉高由里子。過去と現在の、矢野の苦悩と喜びを生田斗真がどう演じるかが見所の一つ。吉高が演じる七美をずっとそばで見守る同級生の竹内には、高岡蒼佑。矢野の元恋人の妹・有里には本仮屋ユイカ。前編は高校時代なので、主要キャストは学生服姿である。吉高由里子のセーラー服姿がキュートで、それもポイント。
 監督は三木孝浩。主題歌はMr.Children。
(前編の公開は3月17日、後編は4月21日からの公開)