「感染列島」（試写会）

　新型ウィルスが日本を襲う。自然を破壊してきた人類が、陥ったものの恐怖。今の時代なら゛ありえる゛という思いが観る人をひきつけるだろう。
　救命救急医の松岡剛（妻夫木聡）のところに、急患が運ばれてきた。患者の症状は新型インフルエンザのようであったが、何かが違っていた。この感性症にはワクチンが存在しなかった。患者は死亡し、医療スタッフや外来患者が院内感染し、事態は深刻化。　事態を収拾するため、ＷＨＯからメディカルオフィサーの小林栄子が派遣される。しかし、ウィルスの脅威はとどまることを知らず、感染者は全国に蔓延する。果たして、感染症の治療方法は見つかるのか？
　世界各国でリメイクのオファーがある作品だが、この「感染列島」という映画は極めて日本的感性であふれている内容と言える。それは、基本的に悪人が登場しないということと、要所要所の人間のつながりを描いた部分でもわかるが、最大の理由は、ラストシーンである。美しい景色の中で、主人公の妻夫木聡が見るもの。それは至って情緒に訴えるものだからで、ヒューマン・ドラマとなっている。もし、ハリウッドでリメイクされたら、違うものになるのではないか…と感じた。
　また、緊急事態への日本政府の対応の遅さにもイライラする場面があるが、本当にこんななのかも、と思わせる。