夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

「グッドモーニング・プレジデント」(韓国)

2010年07月27日 10時00分12秒 | Weblog
 大統領でも特別な人間ではなくて、その前に、夫であり、子の親であり、妻であるという視点で描いたコメディ作品。生活感あふれる庶民派感覚を持つ3人の大統領の話。
 任期満了間近の大統領、キム・ジョンホは宝くじ普及のイベントの際、自身もロトくじを購入。当選したら、全額寄付することを国民に約束する。しかし、本当に高額宝くじに当選。ジョンホは、寄付すると言ってしまった自分を後悔し始める。
 半年後、ジョンホの次の大統領にチャ・ジウクが史上最年少で就任。妻と死別し、息子を一人で育てている彼は、初恋の人イヨンと再会し、動揺。そんなとき、朝鮮半島を揺るがす事件が起こる。
 ジウクのあとに韓国の女性初の大統領となったハン・ギョジャ。彼女は、離婚危機に陥っていた。 それぞれの事件?の解決に一役買うのが、青瓦台の料理人。彼の何気ない言葉が大統領という特別な人間を庶民に引き戻す。
 監督・脚本は演劇界で注目され、映画では『ガン&トークス』で監督を務め、『トンマッコルへようこそ』で脚本を務めた異才、チャン・ジン。今作も独特の視点ではあるが、気をてらったものになっていないので、ただ笑ったり泣いたりでいい仕上がりとなっている。
 実際には、大統領が持つ権限はとてつもなく大きくて、おまけに韓国は家族主義。大統領が清廉潔白に過ごしても、退任後にはその家族が汚職で逮捕されることはままある。それが、この映画との違い?

 キム・ジョンホ大統領には、韓国では現役最高齢俳優で国会議員経験を持つイ・スンジェ。チャ・ジウク大統領には、これが4年ぶりの映画となるチャン・ドンゴン。ハン・ギョジャ大統領には、「韓国の母」と言われる女優の一人、コ・ドゥシム 。大画面でチャン・ドンゴンを観たい人はどうぞ。いつもの男臭さは消して、 ナイーブな好青年を演じて好感度アップかも。コ・ドゥシムは、快活で元気な力強いお母さんとは違う一面を見せる。
(2009年、韓国)

「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」(試写会)

2010年07月21日 11時54分58秒 | Weblog
 1980年代に人気を博したシリーズが、映画化。以前、ベトナム戦争だった舞台は、今作ではイラン・イラク戦争となっている。製作に努めたのは、ヒットメーカーのリドリー&トニー・スコット兄弟。
 無実の罪で収監された特殊部隊Aチームの面々。だが、リーダーのハンニバル(リーアム・ニーソン)は、脱獄に成功し、再び部下のフェイス(ブラッドリー・クーパー)、B.A.(クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン)、マードック(シャルト・コプリー)を集める。そして、メンバーは自分たちが無実であることを証明するため、ミッションをこなしていく。謎のCIA捜査官や国防犯罪調査官のソーサの追跡をかわしながら、とうとう事件の黒幕にたどりつく。メンバーの無実は晴らされるのか?
 とてもハチャメチャでおバカな展開。戦車が空を飛んだりする。良くいえば、奇想天外でユーモア溢れて元気が出る。悪くいえば、ガチャガチャしていて、にぎやかすぎる。ついていけない人にはついていけないかも。
 ちなみに個人的には後者。全体的に意味がわからず、呼び名はニックネームで本名が別にあったり、複雑過ぎた。だが連れは、声を上げて笑うほど楽しんでいた。連れの言葉を借りれば、“裏に何があるの?とか考えて観てはいけない”ということである。80年代のドラマがなぜ今、映画化されるかという意味も伝わるらしい。要するに、肩の力を抜いてみればいいということなのだろう。
 エンドロールのあとにサービスカットがあるので、途中で座席はたたないようにしたい。8月20日(金)公開。
(7月20日、エル・シアターにて)
※楽しめなかった理由が一つ。すぐ後ろに座っていた中年カップルが、映画上映と同時にガサガサと音を立て、何やら袋を開封。醤油仕立てのせんべいを食べ始めた(飲食の中でも、映画館でせんべいは最悪です)。故に、いきなり集中力を欠いてしまいました。試写会場は正式な映画館ではありません。上映前にも何度も『飲食は禁止です。食事はロビーで』と放送していました。通常、試写会には映画好きが集まっているはずです。自宅でDVDを鑑賞しているわけではありません。やめましょう。注意されてから止めるのは、大人のすることではありません。主催者である、スポニチのスタッフには報告しておきました。

「楽園(パラダイス)」

2010年07月17日 21時42分56秒 | Weblog
 日本人の人気脚本家と韓国の監督、俳優をキャスティングするという試みのテレシネマ7。もともとはビデオ制作をしていた会社が新しい試みをしているので、DVDプロジェクターを使っての上映である。
 文字通り、7作品ある。その一つが『楽園』である。脚本は、『今、会いにゆきます』などで洞察力深く、情緒的作品を描いている岡田恵和。主演は、『チャングムの誓い』で好評を博したチ・ジ二と人気スター女優キム・ハヌル。
 10年ぶりに出所したハン・ミギョン。彼女は生き方を変えるため、今いる場所から一番南に遠い駅へと向かう。そして船を乗り換えてある島へたどりつく。ミギョンが手にするチラシには、『楽園』の文字と目を引きつける巨木の写真が載っていた。
 一方、ソウルからの帰りに船でミギョンに出くわしたインホは、ミギョンに一目惚れ。都会に憧れながらも、島で小学校の教師をしているインホにはミギョンとの出会いは衝撃的だった。そんなとき、ミギョンがイ・ユリという偽名を使って、小学校の食堂で働き始めたことを知る。島では、若い女性の存在が稀。瞬く間に、ミギョンの噂が広がる。島の若者たちから熱烈歓迎を受けながらも、喜べないミギョン。だが、インホはミギョンの秘密を知りながらも、ミギョンのことを好きになっていく。そして、ミギョンも…。

 だが、ミギョンにはインホを愛する資格がなかった。幸せになる資格、人を愛する資格がない。ミギョンは先輩の給食担当職員に、自分の過去を話し始める。
 話の展開は日本的。一つのストーリーを丁寧に作り上げてもいる。ただ、最後に“一騒動”起きる。日本的には、その一つ前のシーンでじんわり終わっても…と思うが、その一騒動あることが韓国的な終わり方なのだろう。感覚的違いは感じるが、その終わり方も理解できる。
 監督は多くの名作を手がけてきたイ・ジャンス。
(2009年、韓国)

「最後の約束(韓国映画:『11番目のママ』)」(DVD)

2010年07月10日 09時06分28秒 | Weblog
 現在の韓国ナンバーワン女優と言われるキム・ヘス。アラフォーとなった彼女の、堂々とした迷いのない演技が最近、際立っている。ドラマで様々な役柄をこなしてきたが、ここ数年は映画にスタンスを置いてきた。これまでの演技経験と、知識を遺憾なく発揮している。
 今作では、寂しさをかかえながらも、強がる謎の女を好演。子役との微妙な関係も細やかに演じ(もちろん子役も上手いのだけれど)、親子とは何かを問いかける。決して大きな作品ではないが、心に響くヒューマン作品となっていて、良作。
 
 ギャンブルばかりしていて、女にだらしがない父が連れてきた11番目の“お母さん”。11歳の少年チェス(ジェス)と、“お母さん”と呼ばれるのが嫌な女の同居が始まる。
 食べては寝てばかり、しかも下品で子どもにも容赦ない態度の“お母さん”に、チェスは腹立たしさを感じる。だが、本当は孤児院で育っていた女と、実の母に捨てられた子どもという事実から、寂しい者同士、少しずつ心の距離が縮まっていく。
 しかし、別れの時は近づいていて…。 
 共演は、チェスにキム・ヨンチャン。チェスの父にリュ・スンニョン。いずれも実力派揃いで、見応えあり。キム・ヘスの子どもを見る瞳が、優しい。 
監督はキム・ジンソン。
(2007年作品)

「必死剣 鳥刺し」(試写会)

2010年07月02日 13時26分07秒 | Weblog
 『鳥刺し』…それは、必死必勝の剣。その秘剣が抜かれる時、遣い手は、半ば死んでいるとされる。
 下級武士が悪を封じる快作である藤沢周平の『隠し剣』シリーズ。今回も、勧善懲悪であるそのストーリーが、痛快であり、現代人にも心に響く。斬られても斬られても立ち上がり、倒れても倒れても起き上がる。武士の生き様を見せる。まさに、侍魂だ。
 3年前、天心独名流の名人・兼見三左ェ門は、藩政に口出しをする藩主の愛妾・連子を城中で刺し殺す。最愛の妻・睦江を病で亡くした三左ェ門は、自分の死に場所を探していたのだ。しかし、藩主からの沙汰は、幽閉1年と石高の減額という軽いものだった。腑に落ちない思いを抱きつつも、亡き妻の姪・里尾の献身的な世話もあり、三左ェ門は再び生きる力を取り戻す。
 そんなある日、三左ェ門は中老の津田民部から近習頭取となることを申しつけられる。なぜ自分がその立場になるのか、不思議でならない三左ェ門であったが、中老には、ある考えがあった。三左ェ門が剣豪であるがゆえの運命が、そこに待ち受けていた。 
 運命に翻弄される剣豪・兼見を演じるのは、豊川悦司。寡黙ではあるが、情熱を秘めた演技に注目したい。兼見に密かに思いを寄せる姪の里尾には、池脇千鶴。海坂藩藩主には、村上淳。その愛妾には、関めぐみ。さらに、藩主と対立し、ご別家の帯屋隼人正であり直心流の達人役には、俳優としての活躍も著しい吉川晃司。
 兼見三左ェ門と帯屋隼人正との剣豪の戦い、クライマックスは見逃せない。映画だからこその迫力が感じられる。いつ、誰に『鳥刺し』を使うのかは必見。ストーリーは単純。でも、なぜ今この作品が映画化されるのか、よ~くわかります。
 監督は『愛を乞う人』の平山秀幸。
(7月10日、公開)