『男はつらいよ』が始まって50年。
97年の『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花特別篇』以来の新作。監督はもちろん山田洋次がつとめている。
亡くなった主演の渥美清を現代の技術でよみがえらせ、この作品に登場させており、甥である満男(吉岡秀隆)に寄り添う存在としている。
妻が亡くなって6年。7回忌の法要に柴又の実家に満男の両親(さくら・倍賞千恵子、博・前田吟)、満男の娘(桜田ひより)などが集まる。
満男はサラリーマンを辞めて、駆け出しの小説家となっていた。
嫌々ながらに出版社からの要請で引き受けたサイン会。そこに、国際的に活躍していてたまたま日本を訪問をしていたかつての恋人・泉(後藤久美子)と再会する。
リリー(浅丘ルリ子)の店で語らい、実家に連れていき懐かしいひとときを過ごす。
そんな光景に触れながら、こんなときにはいつも、〝あのあじさんがいたなあ〟と記憶がよみがえる満男だった。
現役の人も鬼籍に入った人も!のオールスターキャスト。歴代マドンナがワンポイントと登場するだけで、その時の人気と時代が感じられる。
まさに、〝寅さん〟シリーズの集大成といっていい。
この作品のために23年ぶりに女優に復帰している後藤久美子。彼女がこの仕事を受け入れたからこそ、この作品の内容ができている。
オープニングの主題歌は桑田佳祐が歌う…ここにも遊び心が。
出演はほかに、夏木マリ、美保純、橋爪功などだが、編集者をつとめる池脇千鶴がいい味を出しているので見てほしい。
昭和感満載であるが、時代は突然に令和になったわけではない。経過を踏まえながら、今この映画を上映する意味も考えてみるのもいいかも。
また、NHKドラマ「少年 寅次郎」を見ていた人は、映画だけを見ても雰囲気が理解できるであろう。
中学生以下は特別価格となるようなので、お正月に祖父母と孫で楽しんでみては?
☆試写会の観客は年齢高めだったかもだが、エンドロール後には拍手が起こっていた。
吉岡秀隆が小説家ということで、若干『ALWAYS』シリーズが頭をかすめ、過去の出演者が登場すると現在の昼ドラのことも思い出したりして、
複雑に頭が入り組んで不思議な感覚があった。
(12月27日公開)