夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

私的ベスト10映画

2010年12月31日 21時33分07秒 | Weblog
2010年、私的ベスト10
①告白…独白形式の原作を映像にすることが難しい。映画の衝撃度はすごかった。

②今度は愛妻家…ミニシアターの代表的作品。良質で、しみじみじーんと。

③《ゲキ×シネ》蛮幽鬼…映画とするか、劇とするかだが、とにかくその迫力にやられたので。

④クロッシング(韓国)…民主主義について考えさせられた。

⑤悪人…モントリオール映画祭主演女優賞受賞に値する演技。ただ、映画より原作の方が面白かったかも。

⑥孤高のメス…原作は長編。正義をふりかざすわけではなく、映画なりの面白さがあった。

⑦インビクタス…邦画では描けない内容だが、言いたいことが伝わってきた。洋画も一応ランクインということで。

⑧十三人の刺客…時代劇だが、総合的エンターテインメントとしてオススメ。

⑨武士の家計簿…がんばれ、森田監督。

⑩ちょんまげぷりん…期待してなかった分、面白かった。

 『必死剣 鳥刺し』、またブログ掲載していないが『最後の忠臣蔵』も良かったが・・・甲乙付けがたく共に次点ということで。

『7級公務員』(韓国)

2010年12月28日 20時43分12秒 | Weblog
 とにかくスピーディーで、あとに引かないスッキリした展開。テンポの良さでぐいぐい観客を引っ張る。それがの特徴の痛快ラブコメ。
 母性本能をくすぐるカン・ジファンのコメディな演技と、すでにコメディエンヌとしての評価も高い人気女優のキム・ハヌル。共演したドラマ「90日、愛する時間」との二人の役柄と演技のギャップが見どころでもある。
 国家情報院・国内産業保安要員のスジは、勤務6年目のベテラン。付き合っていた彼・ジェジュンには身分を明かせず、3年前に別れを切り出されていた。一方、スジと付き合っていたジェジュンはスジと別れたあと、3年間のロシアでの留学を終えて国家情報院の海外部門に派遣される。
 ジェジュンは、帰国早々にスジと偶然再会する。お互いの身分を知らないスジとジェジュン。仕事で行くところ行くところ、お互いの姿を見かけ、不愉快でけんかばかり。そして、それぞれが追っていた犯人を突きとめる。だが、ジェジュンが現場に突入したとき、真犯人とスジがいて…。
 
 ベタベタなギャグとあからさまな感情表現が日本映画とは違う。そこが韓国映画の魅力でもあるので、ただひたすら笑ったりハラハラするということで良いと思う。ハリウッド映画では、よくある設定だが、難しいことは考えないで楽しむことがいいだろう。
(2009年、韓国公開作品)

関西で聴かせる東京の落語-「立川談春独演会」

2010年12月25日 20時26分44秒 | Weblog
 東京落語で年の瀬の出し物「芝浜」。大阪フェスティバルホールラストの日の演者は、立川談春の「芝浜」だった。
 今回は再演で、26日分は売り出しとともにすぐに完売され、25日分は追加公演である。
 「芝浜」は、魚屋を営む夫婦の話。いいことがなかった今年のことは忘れて、次の年には前向きに生きて行こう、いい年にしよう。という噺だ。ダメ夫としっかり者の妻のラブストーリー。圧倒的な存在感とごつい見かけとは違う、細かい描写が冴える談春の落語は、大胆で繊細。今ノっている落語家の一人と言える。
(NHK大阪ホールにて、25日・26日)

『白夜行』(試写会)

2010年12月21日 23時38分17秒 | Weblog
 すでにドラマ化、舞台化されている人気作家・東野圭吾の原作『白夜行』。韓国では日本よりも早く、2009年にソン・イェジン主演により映画化されている。
 今作の監督は34歳の気鋭、深川栄洋。昭和という時代がこの映画の物語の下地にあるが、その時代を深川監督が、どのように映像化しているのかも、気になるところだ。
 ある廃ビルで質屋の主人の遺体が発見される。現場は密室状態。所轄の刑事・笹垣は、質屋の主人と愛人関係にあったと思われる西本文代や質屋のおかみ、従業員などを捜査する。しかし、事件の容疑者は自殺や事故死してしまい、被疑者死亡で事件は解決となる。だが、笹垣は捜査段階で出会った被害者である質屋の主人の息子・亮司と文代の娘・雪穂のことが頭から離れないでいた。
 その後、雪穂と亮司も成長するが、二人の周辺で不可解な事件が続発していた。最初の事件から19年。笹垣は、事件の真相にゆっくりゆっくり近づいていた。容疑者の娘と被害者の息子、この接点のなさそうな二人は、固い絆で結ばれていた。二人が抱える闇とは?真実とは?

 主人公には、堀北真希と高良健吾。この役をするには、少し若すぎる気がするが、難しい役柄にチャレンジしていることは言うまでもない。真相に迫る刑事・笹垣には、船越英一郎があたっている。ラスト30分は笹垣により真実が解明される。少し『砂の器』が頭をよぎるが、ミステリー作品なので、事件解明の手法として重要だ。主人公二人に明るい光が差すことがあるのか?最後まで目を離さないようにしたい。
 出演は他に、戸田恵子、田中哲司など。 (エル・シアターにて)
 2011年1月29日公開

『酔いがさめたら、うちに帰ろう』

2010年12月19日 19時14分12秒 | Weblog
 2007年にガンで亡くなった戦場カメラマンの鴨志田穣。彼の自伝的小説が「酔いがさめたら、うちに帰ろう」である。漫画家の西原理恵子とは元夫婦。アルコール依存症の治療のために入院した彼が、病院で出会った個性的な人たちとのエピソードを紡いでいる。そして、精神科医との信頼関係。愛すべき家族との絆。この人生はせつなく辛いが、楽しくもある。一言で言い表すのは難しい。
 戦場カメラマンの塚原安行。安行は、人気漫画家の園田由紀と結婚し、子どもを授かるも、アルコール依存が原因で離婚していた。
 怠惰な日々を送る安行は、とうとう母にアルコール病棟に連れてこられ、入院させられる。同じような過去をもつ患者仲間や医師に支えられながら、徐々に身も心も回復に向かっていく。しかし、アルコール病棟の退院が近づいたころ、ガンに侵されていることを知る。
 アルコール依存は自己責任。としても、この結末は悲しい。ドラマのような人生が実際に起こるものなんだなぁと思うと、悔いのないように、生きたいものだ。元夫は次々に襲う病気と向き合い、元妻も覚悟を決める。悲しみや悔しさを胸に秘めて、“うち”に帰ってきた元夫と過ごす日常。元妻の思いは、海のように広く、深い。
 監督・脚本は『絵の中のぼくの村』の東陽一。元夫婦を演じるのは、今回が初共演の浅野忠信と永作博美。主題歌は忌野清志郎の「誇り高く生きよう」である。

『武士の家計簿』

2010年12月14日 09時59分43秒 | Weblog
 この不景気な時代に、質素・倹約、節約につとめた武士の話がぴったり。ということが単純に言えるのかもしれない。しかし、それだけではない、今日に繋がるメッセージは他にもある。父の威厳とか、父の背中とか、親の生き様や愛情とかそういうこと。チャンバラがあるわけではなく、派手さはない。だが、ただひたすらに日本国のために闘った男の物語であることに変わりはない。
 加賀藩の猪山家は代々算用係をつとめてきた。直之は、父よりも実直な算用係で、不正に目をつぶることができず、上司からうとましがられていた。一方で、猪山家は下級武士ではあるが、算術と筆の才で当主に仕えてきた家柄であることから、見栄を張ることを止めることができず、借金を重ねていていた。そこで、直之は家財一式、着物などお金に変えられそうなものを処分し、生活の見直しを図る。同僚には、猪山家の家計の苦しさが露呈するが、直之の思いが伝わり、家族も“お家”を守るために節約に邁進する。節約は知恵。それを楽しむかのように、妻のお駒も直之に協力し、窮場を切り抜けていく。やがて、周囲も直之の実力を認め、出世の道を辿る。
 また、息子には厳しくときに優しく。算用係としての立場も見せつける。直之の“ブレない姿勢”が胸を打つ。
 監督は森田芳光。いつも挑戦し続ける森田監督だが、この作品も映像へのこだわりが伝わってくるものとなっている。主人公の直之には、主演映画が立て続けに上映されている堺雅人。この作品では、淡々としているが信念を曲げない算用者を演じる。直之を支える妻には、時代劇も板についてきた仲間由紀恵。直之の父には中村雅俊、母には松坂慶子が扮している。原作者は茨城大准教授の磯田道史氏。実際の記録や日記をまとめて本にしたもので、史実がべースとなっている。

『義兄弟』(韓国)

2010年12月12日 19時41分30秒 | Weblog
 北と南のスパイ合戦と激しいアクション、そして兄と弟のように心が通じるようになる男たち。そんな韓国の要素が詰まっているのがこの作品。
 ソウル市内の団地で市民を巻き込んだ銃撃戦が起きる。国家情報員のイ・ハンギュは、北朝鮮の工作員“影”と“影”と行動を共にするソン・ジウォンを追っていたが、今一歩のところで逃げられてしまう。ハンギュは、今回の事件やこれまで独断専行を繰り返していたことなどの責任を問われ、上司からクビを言い渡される。
 6年後、ハンギュは探偵事務所の社長となっていた。その機会は突然訪れた。仕事で人探しをしていたハンギュは、そこで働くジウォンと出会う。ジウォンは、パク・ギジュンという偽名で工場で働いていた。そして危険を承知で、ハンギュは“影”に近づくためにギジュンを雇うことにする。
 徐々にギジュンの立場を理解していくハンギュだったが、そんなとき二人の運命が動き始める。ハンギュは、“影”と“影”の背後にあるものを捕まえることができるのか?ジウォンの運命は?
 問題はラスト。6年間の逃亡生活を送り、殺されかけたジウォンが、なぜ飛行機のビジネスクラスに乗れるようになったのかが、不思議だ。どんな立場になったのか?が気になる。韓国映画で、いきなりの展開になるラストについていけないことはある。ハッピーエンドなら、まぁいいか。
 国家情報員をクビになる主人公に人気映画スターのソン・ガンホ。今作では早々と情報員をやめてしまうので、もう少し情報員として彼の活躍の場があってもよかったかも。北朝鮮の工作員にはカン・ドンウォン。カン・ドンウォンは、初めて妻子がある役だが、彼のストイックな演技に注目するのもいいだろう。監督・脚本は『映画は映画だ』のチャン・フンが務めた。
 第31回青龍映画賞 最優秀作品賞受賞。

夢の三競演2010

2010年12月11日 21時04分57秒 | Weblog
『夢の三競演2010 三枚看板・大看板・金看板』
 桂文珍・桂南光・笑福亭鶴瓶による7回目の落語会。落語ブームは終わったと言われる中、この落語会は毎回盛況。チケットも手に入りづらい。
 三者三様の話っぷりが面白い。それを楽しみに観客は足を運んでいるはずだ。師走の風物詩とも言える。毎年、出演順が変わるので、開口一番のあとは今年は、桂文珍、桂南光、笑福亭鶴瓶の順。

-演目-
桂 こごろう『動物園』
桂 文珍『あこがれの養老院』
桂 南光『小言幸兵衛』
 ~仲入り~
笑福亭鶴瓶『錦木検校』 

 桂文珍は紫綬褒章受賞。今日の出し物は今年完成した、最新作である。桂南光は、性格にぴったりの?小言ばかり言う男の話。笑福亭鶴瓶は、先週の一門会と同じ出し物で聞かせた。『錦木検校』は、江戸落語の『三味線栗毛』を改作したもの。

タイタンシネマライブ

2010年12月11日 13時24分36秒 | Weblog
 寄席の生の雰囲気を全国の映画館で体感できる、という爆笑問題が所属する事務所・タイタンが主催するイベント。なかなか寄席に行く機会がないけど、寄席の雰囲気を感じて見たかった、という人にはうってつけだ。 関西では、吉本の芸人たちであふれているので、関東のお笑いタレントに親しむいい機会にもなっているかもしれない。
 出演者は、爆笑問題を初めとするタイタン所属のタレントだけではなく、他の事務所からのゲストも登場する。ベテランと新人の力の差は歴然としているし、関西人には関東的笑いが?なとこも。ただ、それは計算済みなところなのだろう。
 よその寄席でやっているものを生放送で映画館の映像で見る。テレビとどう違うの?というところだろうが、出し物が違うはずだ。テレビではできないネタとアドリブ。それと、等身大の芸人たちの姿を感じられる。〈ゲキ×シネ〉があるのだから、シネマライブもあっていい。ただ今回だけなのかもしれないが、ゲストに頼るところが大きいような気がした。『ととのいました~』のねづっちがゲストで、寄席で聞けた人たちはラッキー??よね。生の会場は東京・銀座「時事通信ホール」だった。
(12月10日、敷島シネポップにて)

「黒く濁る村(原題:苔)」

2010年12月05日 21時13分02秒 | Weblog
 とかく、韓国映画のサスペンス、ミステリー作品は詰めが甘いと言われる。展開は面白いのに、ラストは余韻も含めてとても惜しいと思うことがよくあるのだ。しかし、この作品はそう思わせない。韓国お得意の暗くて、濃密な展開。しかし、横溝正史的な恐怖もビシビシ感じる作品なのだ。主人公のヘグクは『殺人の追憶』のパク・ヘイルが演じるので、“何かが起こりそう”“何かやらかしてくれそう”という期待も持つ。
 軽いタッチのテレビ系邦画に飽きたらこの作品はいかが?。
 ヘグクは、父の死により父が暮らした村を訪れる。一見、老衰のように見えるが、ヘグクは父の死に謎を持つ。どのように父がこの村で生きてきたのか、なぜ殺されなければならなかったのか、ヘグクは事件を追う。村長や村長を慕う村人たちと、父の関係に何があったのか?なぜ彼は村に呼ばれたのか?
 元刑事で村長を演じるのは『トンマッコルへようこそ』『彼と私の漂流日記』のチョン・ジョヨン、村長に従順な村人の一人を演じるのは『タチャ いかさま師』のユ・ヘジン。また、ヘグクの父には「ホテリアー」のホ・ジュノ。ユン・テホ原作のウェブコミックの映画化である。
 第31回青龍映画賞において、チョン・ジョヨンが主演男優賞、ユ・へジンが助演男優賞、メガホンをとったカン・ウソクは、監督賞を受賞した。
 30年前から物語は始まる。そして、次々と明らかになる事実。上映時間は161分と長いが、最後まで注目してほしい。