冒頭から、タイトルどおりの“息もできない”場面だ。まさに息苦しい。そして、痛くて重い。
韓国では、社会での学歴優位が著しい。日本以上の学歴社会だ。俳優は、大学で演技を学び、演出を志す者は、大学で演出を学ぶ。そんな環境が一般的というのは既に知られたところ。だが、この作品の脚本・監督・主演を務めたヤン・イクチュンは、そんなエリート教育を受けた人ではない。この物語は、彼が社会的に置かれた環境に基づいて描かれたもの。ヤン・イクチュンは、いわば、映画界の異端的存在だ。過去の自分と家族の関係。この事実と向き合わなければ、この先、彼は生きていけないと感じ、家を売って製作した。それが、結果的に韓国の社会が抱える問題を突きつけた。
これも韓国映画の偽りない形。
サンフンの父は、妻に暴力をふるい、それが原因でサンフンは母を亡くしていた。今は、借金を取り立てるチンピラのような生活をしている。全ての感情を暴力でしか表すことができない。
サンフンは、あることから女子高生のヨニと出会う。ヨニは、母はすでに亡くして、戦争の体験で精神を患った父の面倒を見ながら高校に通っていた。弟は遊び呆けてばかりで手をやいていた。愛することを知らない男と、愛に飢えている女。そんな二人は、不器用ながらも心を通わせていく。
だが、暴力は新たな暴力を生んでしまい…。
この映画は去年の公開前から気になっていたが、観る機会を逸していた。去年のうちに鑑賞していれば、“マイベスト10”に入れていただろう。この濃厚な内容は、言葉にできない。心も体も痛くなるので、元気のあるときに観るのがオススメ。
(シネマート心斎橋にて2月4日までアンコール上映)
韓国では、社会での学歴優位が著しい。日本以上の学歴社会だ。俳優は、大学で演技を学び、演出を志す者は、大学で演出を学ぶ。そんな環境が一般的というのは既に知られたところ。だが、この作品の脚本・監督・主演を務めたヤン・イクチュンは、そんなエリート教育を受けた人ではない。この物語は、彼が社会的に置かれた環境に基づいて描かれたもの。ヤン・イクチュンは、いわば、映画界の異端的存在だ。過去の自分と家族の関係。この事実と向き合わなければ、この先、彼は生きていけないと感じ、家を売って製作した。それが、結果的に韓国の社会が抱える問題を突きつけた。
これも韓国映画の偽りない形。
サンフンの父は、妻に暴力をふるい、それが原因でサンフンは母を亡くしていた。今は、借金を取り立てるチンピラのような生活をしている。全ての感情を暴力でしか表すことができない。
サンフンは、あることから女子高生のヨニと出会う。ヨニは、母はすでに亡くして、戦争の体験で精神を患った父の面倒を見ながら高校に通っていた。弟は遊び呆けてばかりで手をやいていた。愛することを知らない男と、愛に飢えている女。そんな二人は、不器用ながらも心を通わせていく。
だが、暴力は新たな暴力を生んでしまい…。
この映画は去年の公開前から気になっていたが、観る機会を逸していた。去年のうちに鑑賞していれば、“マイベスト10”に入れていただろう。この濃厚な内容は、言葉にできない。心も体も痛くなるので、元気のあるときに観るのがオススメ。
(シネマート心斎橋にて2月4日までアンコール上映)