夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『その日、カレーライスができるまで』(DVD)

2022年08月31日 18時51分34秒 | Weblog

その日、カレーライスができるまで

 妻は3日後に控えた妻の誕生日に食べる特製カレーを仕込んでいる。

愛聴するラジオ番組でパーソナリティが語る「マル秘テクニック」募集

の声に、彼はガラケーを手に「3日目のカレー」についてメールを綴る。

 

 子役との回想以外はリリー・フランキーの一人芝居。

この人は、枯れた、寂れたという役柄が本当に合う人だ。他にこの役をでき

る人はいないだろう。

妻の誕生日前にカレーを作っている。愛息は失ってしまった。情報はこれぐ

らいしかない。上映時間は52分。セリフも少なく、ありふれた具材で作るカレ

ーのシーンとリリー・フランキーの表情、ラジオから流れる声。

そこからの想像は自分次第だ。

妻との最後の会話にわずかな光明が…。

 

 斎藤工の監督デビュー作『半分ノ世界』の脚本を手がけた金沢知樹が「劇団

スーパー・エキセントリック・シアター」の野添義弘還暦公演のために書き下

ろされた戯曲が原案。

中村羽叶、吉田照美、岡田ロビン翔子、神野三鈴が声の出演となっている。

企画・プロデュースは斎藤工。


『異動辞令は音楽隊!』

2022年08月29日 17時25分35秒 | Weblog

異動辞令は音楽隊!

 現場一筋30年。犯罪撲滅にすべてを捧げてきたが、強引なその手法は時代に合わず、上

司には避けられ組織からもはみだし者扱いの鬼刑事・成瀬司(阿部寛)。警察でもコンプラ

イアンスが重視される今の時代に周囲からは完全に浮いていた。出世にも興味はなく、上

司に突然告げられた異動先は警察音楽だった!

 曲者が集まった音楽隊。成瀬の担当はドラムとなるが、やる気など全くない。しかし、

警察音楽隊の演奏を聴くのを楽しみにしている老婦人の存在を知り、その意識は変わって

いく。音楽隊メンバーの所属は警ら課や交通課など様々。音楽隊との兼務だ。元刑事の成

瀬への“当たり“は強い。広報課に所属となり練習時間をたっぷり取れる成瀬は、音楽隊と

して馴染めるのか?

 成瀬が左遷の原因となった老人を狙う詐欺事件が一貫してベースとなる。警察という巨

大な組織での縦社会と融通の効かなさ。気に入らない部下を左遷するという手段では解決

しないというのはよくあること。

 成瀬の成長と音楽隊の団結がポイントだ。

共演は、清野菜名、磯村勇斗、高杉真宙、倍賞美津子など。

『ミッドナイトスワン』の内田英治監督の最新作。

 

いわゆる“オレオレ詐欺“や親の認知症なども含めた問題作。ラストは定期演奏会。何となく

終わりが想像できる中、ひとひねりある。

自衛隊や消防署に音楽隊があるのは知っていたけど、警察にもあったと。まあ、あるよねと

思いながら鑑賞。警察と国民をつなぐ存在である。

 

個人的に、磯村勇斗が出演している映画を立て続けに観ている気がする。めっちゃ仕事して

るね!がんばれ!とエールを送ります。

そして、阿部寛の暑苦しさがやっぱりいい。

 


「フェルメール 17世紀オランダ絵画展」

2022年08月25日 08時33分13秒 | Weblog

フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」が修復されてからは、地元のドレスデン国立古典絵画館

以外では日本が初めての海外公開。

この絵画には、上壁に何かが消されたあとがあるのはわかっていた。

そして、天使の絵があることがわかり、克明に修復された。

修復前と修復後をじっくりと。

 

第1章 レイデンの画家ーザクセン選帝候たちが愛した作品。

第2章 レンブラントとオランダの肖像画

第3章 オランダの風景画

第4章 聖書の登場人物と市井の人々

第5章 オランダの静物画

第6章 複製版画

第7章 《窓辺で手紙を読む女》の調査と修復

  フェルメールの絵画があるのはこの第7章のみ。しかも、一室に展示してあるのは

  ヨハネス・フェルメール 《窓辺で手紙を読む女》の実物…修復後

  ザビーネ・ベントフェルト 複製画:窓辺で手紙を読む女(フェルメールの原画に基づく)

  アルバート・ヘンリー・ペイン 版画:窓辺で手紙を読む女(フェルメールの原画に基づく)

 天使は幸せの象徴として描かれる。だが、女が窓辺で読む手紙の先は下によれている。

 壁に何もない修復前の方が想像を掻き立てられるか、天使と女の対比がはっきりしている修復後

 が好みか。何度も確認しながらじっくり鑑賞してみては?

 17ー18世紀のオランダ。

 この絵画は、当時のオランダで女性の識字率の高さがうかがるものでもある。

 そして、この絵画がレンブラント作品として扱われていたということも興味深い。

 フェルメール作品が少なすぎて、物足りないという意見も聞くが。人が入ってるのは入っている

 ので訪れる時間に気をつけよう。当方は、会館間近に入館したが、出てきたときにはチケット売

 り場に行列ができていたので時間と相談して行くようにしたい。

 

 (大阪市立美術館にて2022.7.16-2022.9.25まで)


『いつか読書する日』(DVD)

2022年08月17日 18時41分04秒 | Weblog

いつか読書する日

独身の大場美奈子(田中裕子)は、朝は牛乳配達、その後はスーパーでのレジ担当で生活している。

仕事が終わったあと、たくさんの本が詰まった家で過ごす日々だ。

子どものころ、“私はこの町から出ません”と宣言してからそれを守りとおしている。

高校のころ、心を寄せ合っている男子生徒・高梨がいたが、ある事件が起こり、それ以来、疎遠と

なっている。しかし、同じ町の公務員(市役所の福祉課)として勤務する高梨(岸部一徳)は末期

癌の妻・容子(仁科亜季子)を自宅で看病してきた。だが、ずっと美奈子は高梨への気持ちは持ち

続けてきた。そんなある日、美奈子はラジオに自分の思いを綴ったハガキを出す。

「私には大切な人がいます。でも私の気持ちは絶対に知られてはならないのです…」

 

坂の町を自転車と走りで牛乳配達をする姿。懐かしい、牛乳配達そのものが。今はスーパーで紙

パックに入れたものを買うようになってしまって、近所の牛乳販売店がなくなってしまったことを

思い出した。瓶で飲んでいた牛乳、おいしかった記憶。

で、この作品は“大人の純愛”がテーマ。田中裕子と岸部一徳の淡々とした演技。そこにある中の

心の熱さが感じられてお見事だった。

 

2004年公開作品。エンドロールを観ていくと、江口のりこの文字が!

んんん、江口のりこってあの江口のりこ???若い時よね、と思いつつエンドロールが終わった

ら最初に戻って早送り。そして確認。

たぶん、あのシーンということで出ていた!

気づくでしょうか。

そして、本が好きな私としては、本が詰まった部屋が素敵で、こんなふうに埋め尽くして

みたいと思った。

美奈子の近所に住む小説家を渡辺美佐子、スーパーの店長を香川照之が演じている。

他に、杉本哲太と鈴木砂羽。この二人にも注目してほしい。

 


『愛唄 ー約束のナクヒトー』(DVD)

2022年08月16日 17時14分45秒 | Weblog

愛唄 約束のナクヒト

『キセキ あの日のソビト』に続く「GReeeeN」の楽曲の映画プロジェクト第2弾。

名曲「愛唄」をモチーフにした青春ラブストーリー。

 

恋愛する勇気も持てず、仕事にも熱心になれずにいたトオル(横浜流星)は、会社から行った健康診断

から病院で精密検査を受けることになる。そこで告げられたのは、余命3ヶ月。自暴自棄になった

トオルは、病院で明るく振る舞う少女・凪(清原果耶)に悪態をついてしまう。

街をふらりと歩いていると詩(成海璃子)と出会い、トオルの運命を変えていく。

また元バンドマンで地元の親友・龍也(飯島寛騎)と再会。バンドマンとして失敗しながらも能

天気な龍也にいら立ち、勢いで自分の余命を告白するトオルだったが、龍也はトオルのスマホに

余命カウントダウンを表示させる。90日でやれることがある、挫折したことがあるからこその龍也

なりの励ましだった。

凪の秘密がポイントとなり、それがまたバンドマンとしての龍也の運命も動かす。

ただ悲しいというだけではない、自分の再生とも向き合う物語。

横浜流星と清原果耶という勢いのある若手が単なるハッピーエンドではないストーリーを作り出

している。

監督は『海月姫』『きょうのキラ君』の川村泰祐。脚本はGReeeeN 清水匡。

出演は他に、トオルの母親・野宮美智子を財前直見、凪の母親・伊藤佐和に富田靖子。

また、詩の運命を再び動かす女優・橋野冴子を中山美穂が演じている。

 

(2019年公開作品)

 

 


『TANG タング』

2022年08月13日 10時14分20秒 | Weblog

TANG タング

原作はイギリスの小説「ロボット・イン・ザ・ガーデン」。2016年ベルリン国際映画祭で

「映画化したい一冊」に選ばれ、2020年より劇団四季のミュージカルとして舞台化されている。

この作品は、原作に日本の要素を取り入れて映像化している。

 

ある事情から無職となり、ゲーム三昧の日々を送る春日井 健(二宮和也)。それが原因で

夫婦仲は、良くない。

ある日、妻の絵美(満島ひかり)に裏庭にロボットが置いてあるので、何とかしてほしいと

言われ、いやいや探しに出てみることに。そこには、古いロボットが。新しくて先進的なロ

ボットが街にいるのが普通になっている時代にあって、それはかなりのポンコツだった。名

前は「タング」だという。廃品として捨てようとするものの、健についてくるタングを家に

入れようとすると、妻は、家を追い出されてしまう。

タングから大手ロボットメーカーのラベルを見つけた健は、旧型のロボットを買い取ってく

れることを知り本社のある福岡まで行くが、メーカーの本部品ではないという。そこから、

健とタングの旅が始まる。記憶も感情もないはずのロボットのはずなのに、「ともだち」や

「やさしい気持ち」を理解していくタング。

タングに隠された秘密。タングを救おうとする健は、徐々に自分のやるべきことに気づいていく。

 

VFXプロダクション「白組」の技術。ここもCGなのだろうとは思う画面の連続だが、実際の背景

とはわからないぐらいだ。近未来的な映像にも驚かされる。

前半部分の回収がうまい。「TANG」の意味もわからせる表現にも納得できる。

ほぼCG技術の中で演技をしたであろう二宮和也も、二宮和也の出演部分は想像で演技をするし

かなかったであろう満島ひかるの演技も素晴らしかった。

他の出演者は、市川実日子、小手伸也、奈緒、京本大我(SixTONES)、山内健司・濱家隆一

(かまいたち)、武田鉄矢など。

 

追記をしていいなら、エンドロールを観ながらドラマ「マイファミリー」が頭をかすめた。

しかし、それ込みで楽しめると思う。

 

 

 

 


『明け方の若者たち』(DVD)

2022年08月04日 09時20分31秒 | Weblog

 明け方の若者たち

カツヤマサヒコの小説を映像化。2021年12月31日公開作品。監督は松本花奈。

 

明大前で開かれた退屈な飲み会に参加していた“僕“(北村匠海)。「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」

の16文字が“彼女”(黒島結菜)から届く。そこから始まった、沼のような5年間。

一瞬で彼女に一目惚れした僕。下北沢のスズナリで観た芝居、高円寺で一人暮らしを始めた日。

好きで好きでたまらなかった彼女との日々。

 

社会人となった僕は、“こんなはずじゃなかった人生”を体験していく。夢に見ていたのとは違う

現実。彼女のことや親友との時間が懐かしい。

そして、彼女と再会したとき、僕は彼女の真実を知ることになる。

それでも歩き続けるしかない、僕は新たな夜明けを迎えて前を向く。

 

“明大前から始まる恋”というと、『花束みたいな恋をした』のように、大学まで持っていた夢や

理想は現実とは違う。“もう別れましょう的な“話かと思っていた。確かに、就職をして自分の思って

いたこととは違っていたというのは描かれているが、この作品には強烈な“オチ”がある。

黒島結菜が演じる“彼女“の秘密がカギを握る。

それを受け入れて、人生のマジックアワー(明け方の一瞬の美しい景色)を迎えようとする若者の話

となっている。

主題歌はマカロニえんぴつ。作品と同世代の人たちに観てほしいのだと思われる。

僕の会社の同期で親友となる尚人を演じるのは井上祐貴。偶然出会うデルヘル嬢には佐津川愛美、

僕の母・知子を高橋ひとみ、明大前で沖縄料理店の女将を演じるのは濱田マリ。

 

希望どおりの配属にならなかったり、変わり者の先輩がいるとかは、会社あるあるだと思う。

 


本のはなし「宝島(上)(下)」

2022年08月03日 09時08分46秒 | Weblog

今年は、沖縄が本土に復帰して50年。

この物語は1952年から始まる。そして、1972年 沖縄は本土に復帰する。

今は観光地としての認識がある沖縄だが、その昔は琉球王国が存在していた。

その名残りが色濃く残る時に、子ども時代を過ごした幼馴染グスク、ヤマコ、レイ。

やがて、警官となり、教師となり、テロリストとなった3人は米軍統治下の時代に抗い、

したたかに、そして強く生き抜こうとする。

 

日米安保保障の下で、

今も嘉手納基地の中に家があり、そこに戻りたいと思っている人たち。沖縄独特のウタキも

その中に残ったままだ。

今も米兵の横暴な行動に被害を受けていることが、本土のテレビ番組では報道されないなど

50年過ぎようとも何ら問題は解決していない。日本で唯一地上戦が行われた沖縄。その事実。

 

アメリカの基地が日本にあるということ、このことをどう考えるかもあるが、基地がなくなった

ら、中国などから攻めれたときにどうなるのか、という問題もある。沖縄の人が抱えてきたこ

と本土に住む人間との距離感。もどかしいと思いつつ読んだ。

 

ずしりとくる一冊だが、アメリカ軍機が墜落するのがニュースで取り上げられる本質はこの本か

ら理解できる。直木賞作家・真藤順丈原作。

 

今日8月3日の朝ドラ「ちむどんどん」から、あさイチ視聴。ゲストはガレッジセールのゴリさん。

特集は沖縄復帰50年、レポーターは篠山輝信(お母さんは南沙織で沖縄にルーツあり)で、この

本をいつブログに書こうかと思っていたので、タイミングで今日かと。

今期の朝ドラはコメディタッチだが、この本は違う。フィクションだが、沖縄の歴史を知れる

1冊である。