松岡茉優はもがく。思いどおりにならない自分を、等身大で演じている。
江藤良香(松岡茉優)は、中学のときから好きだった男子・イチが社会人になってからも一番好き。
変わることのない初恋の気持ちと、会社での経理という変わらない日々の生活。
知らない人と話たり、妄想したりはするけれど。
監督と脚本は大九明子。女性の監督目線、それが生かされていて、主人公がなんとかじたばたして現状を打破しようとする様がおもしろく描けている。
明らかに低予算の映画。そこに友情や恋愛をちゃんと描いて興味深い。
松岡茉優が演じるヒロインの初恋の相手を北村匠海が演じているが、この二人は『鈴木先生』メンバー。ここにクラス委員の藤原薫と土屋太鳳がいたらホームルーム始まりそうやん、などと観ている側も妄想が膨らんでしまった。
しかし、その初恋も、〝あーっ〟そうきたか!という。なかなか巧妙な伏線だった。大作ではないが秀作。
ヒロインに恋する職場の同僚・二を黒猫チェルシーの渡辺大知が好演している。
出演はほかに、石橋杏奈、片桐はいりなど。
原作は綿矢りさの同名小説。原作は重くて痛いところはあるが、映画は軽快に観ることができる。