夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『アンノウン』(試写会)

2011年04月27日 22時25分40秒 | Weblog
 何が起こるのか、いきなりハラハラドキドキ。そのあとは、主人公の気持ちと同じ立場に立って、記憶をたどることになる。
 植物学者のマーティン・ハリス博士は、学会のために妻とベルリンにやってきた。だが、ホテルに着いたとたん、カバンを置き忘れたことに気づき、タクシーで空港へ戻ることになる。しかし、その途中で交通事故に遭い、4日間も昏睡状態に。そして目覚めると、記憶を喪失してしていた。記憶の断片をたどりながらホテルに戻ると、妻はマーティンのことを「知らない」といい、見ず知らずの男が自分を名乗っていた。しかも、妻との新婚旅行の写真もパスポートも、自分の記憶のものと一緒だった。もはや、警察もホテル従業員も誰もマーティンの言うことを信じてくれはしない。
 マーティンは、自分の正気を疑うようになるが、間もなく、自分の命が狙われていることに気づく。
 
 邦題の『アンノウン』は“UNKNOWN”が原題。“知らない”ということ。それを念頭にしていた方が、物語を理解しやすい。映画が始まるかどうかの、まだ最初のテロップが出ているところから、目を離さないよう注意が必要だ。
 スリリングな今作の監督をつとめたのは、『エスター』のジャウム・コレット=セラ。主演のマーティンには、『96時間』のリーアム・ニーソン。共演は、『イングロリアス・バスターズ』のダイアン・クルーガーに、「マッドメン」のジャニアリー・ジョーンズなど。
(5月7日公開)

『阪急電車 片道15分の奇跡』

2011年04月26日 09時49分29秒 | Weblog
 特別に何もない普段の生活。だいたいが、日々同じことの繰り返しだ。そんな暮らしに飽き飽きしていて、小さいけれど悩みなんかも抱えて、小さな事件なんかも起こっている。でも、そんな代わり映えのしない日常が、大切なんだと思える。この映画はそんな話だ。人は、何気ないことでも、自分ではない人と関わっていることを実感する。この映画で、ほっこりして下さい。
 翔子は婚約者から呼び出され、別れ話を持ちかけられていた。結婚の準備を進めていたのに、彼は翔子の後輩と浮気。しかも、子どもができているという。ひどいショックを受けた翔子だが、ある復讐を思いつき、それを別れの条件として切り出す。
 女子大生のミサは、彼からの暴力を受けながら、誰にも相談できないまま、悩んでいた。
 正義感が強い老婦人・時江とその孫は、たまたま翔子と同じ電車に乗り合わせる。
 セレブ気取りの主婦仲間に打ち解けず、疲弊する主婦は今日も気乗りがしないまま高級ランチバイキングへ行こうとしている。など、阪急電車を利用する様々な人たちが出会い、物語は交錯する。電車の中では、結構、他の人を見ないふりして見ているもの。どれも、想定できるエピソードだらけ。あるある!話のオンパレード(実はないけど、そう思わせる)。そして最後は、宮本信子演じる時江の行動に、溜飲を下げることだろう。
 蛇足だが、もしかしたら、中谷美紀が関わる小林駅を訪れる人が増えるかもしれない。そして、関西はこの作品の鑑賞率が高くなるはずだ。
 出演は、中谷美紀、戸田恵梨香、南果歩、谷村美月、芦田愛菜(子役)、玉山鉄二、宮本信子ほか。関西(兵庫県、京都府)出身の俳優が出演しているので、関西圏の人間にも違和感なし。丁寧に日常が描かれていく。
 原作は、有川浩の「阪急電車」。脚本は『いま、会いにゆきます』の岡田惠和。監督は、「結婚できない男」などを演出してきた三宅喜重。
(4月29日公開、関西は23日から先行上映している)

『坡州 パジュ』(韓国)

2011年04月24日 17時05分23秒 | Weblog
 複雑だ。心理描写も物語の背景も。誰から誰への愛なのか、愛を受けるべきなのは誰なのかも。言葉には出さないけれど、奥深くにある気持ち。いやしかし、ただ“一本道”が通っているということでは、単純なのだけれども。坡州(パジュ)は、北朝鮮と軍事境界線として接し、非武装地帯を有する韓国唯一の都市である。
 2003年・春。ウンモは3年間のインド旅行から帰国した。ウンモは、姉の死が交通事故死なのか爆発事故死なのかで、保険会社と義兄のジュンシク(チュンシク)の言い分が違うのが気になっていた。
 1996年・春。ウンモの姉・ウンスはチュンシクと結婚する。ウンモは、チュンシクのことが気に入らなかった。そして、ウンモが家出している間にウンスが事故死してしまう。まだ未成年のウンモは、保護者であるチュンシクと共に暮らすこととなる。
 2003年・春。街が開発されることになり、住民は立ち退きを要求される。反対派のリーダーとなっているチュンシク。ウンモも反対運動に参加しながら、姉の事故を調べていた。チュンシクの秘めたる思いとは。そして、ウンモが封鎖した記憶とは…。真実は、つらい。知らない方がいいこともあるに違いない。
 ウンモは、チュンシクのことを“お義兄さん”とはなかなか言わない。それは、姉を殺した人と思っているからなのか、それとも違う思いがあるからなのか。その思いも、もどかしい。
 ジュンシクには、「コーヒープリンス1号店」「マイスィートソウル」のイ・ソンギュン。ウンモには、「タムナ」「シンデレラのお姉さん」で好演のソウ。監督は、パク・チャヌクで今作は長編二作目となる。釜山国際映画祭(2009年)NETPAC賞受賞作品。心に傷を持つ不器用な男と、他人を信用することができない女の、禁断のラブストーリー。イ・ソンギュンが出演しているので、それをきっかけにこの作品を鑑賞した人が多いかもしれない。だがこの作品では、彼のやさしい笑顔を見ることができる、と期待しない方がいい。
(第七芸術劇場にて、真!韓国映画祭2011開催中。5月6日まで)

『素晴らしい一日』(韓国)

2011年04月16日 18時58分23秒 | Weblog
 主演のチョン・ドヨンとハ・ジョンウは、ドラマ「プラハの恋人」以来の共演。当時、ハ・ジョンウは脇役。すでに大スターだったチョン・ドヨンは、大統領の娘を演じていた。この映画では、元恋人として共演している。
 失業中のヒス(チョン・ドヨン)は、1年前に別れた男・ビョンウン(ハ・ジョンウ)を探しに競馬場までやってきた。ヒスの目的は、ビョンウンに貸したままのお金350万ウォンを返してもらうこと。しかし、競馬場に入り浸っているビョンウンに、返せるお金があるはずもなかった。ビョンウンは、必ず返すと約束するが、ヒスはその言葉を信じることができない。そして、ビョンウンがヒスに返すお金を集めるための、新たな借金行脚につき合うことになる。しかしそれは、ヒスがビョンウンの過去の女性や人間関係を知る旅でもあった。
 ハ・ジョンウは不思議な魅力を持つ俳優だ。よくある韓国俳優は、時に熱い演技で観客を圧倒し、時に甘い言葉で酔わせる。だが、ハ・ジョンウはその感じではない。飄々として、ただ、そこにいる。熱演しているのに、そんな雰囲気は醸し出さないのである。俳優としての、その“立ち位置”が独特である。チョン・ドヨンは、この映画では明るい笑顔を見せることはない。少しずつ心に変化が現れる、いわば内面の変化がある演技が要求される難しい役どころ。ビョンウンと過ごす“素晴らしい一日”によって、彼女が演じるヒスが再生する。喪失したあとには、再生することがやってくることを描いた人間ドラマ。
 おせっかいでお人好し。女性にもだらしさなく、仕事に対して真剣さなし。ダメ男なのに、モテる。そんな男いるいる、というツッコミありで鑑賞する手もある。
 原作は日本の女性作家・平安寿子。監督・脚本は、『アドリブ・ナイト』のイ・ユンギ。

三谷幸喜作品『国民の映画』

2011年04月13日 09時53分28秒 | Weblog
 今年50歳になる三谷幸喜。彼はこの一年を「大感謝祭」と銘打ち、4本の新作舞台を書き下ろす。この「国民の映画」は、2本目となる。
 ヒトラー政権下のドイツ。宣伝大臣のゲッベルス(小日向文世)とその妻のマグダ(石田ゆり子)は、映画関係者を招き、パーティーを開く。目的は、ハリウッド映画に負けないような、大ヒットする映画を作ること。やってきたのは、映画監督のヤニングス(風間杜夫)やリーフェンシュタール(新妻聖子)、ナチスに立ち向かう人気作家ケストナー(今井朋彦)。大物の俳優に人気俳優、二人の女優。権力と権力に集まる人々という構図。
 しかも、招かれざる客であるナチス親衛隊指導者ヒムラーや空軍総司令官ゲーリングまでやってきて、ゲッベルスに無理難題を押し付けようとする。果たして、『国民の映画』は無事に製作されるのか…。
 虚実入り混じったストーリー。観客は、夢と現実を行ったり来たりするだろう。やがて、現実味のある重いラスト。この時期のドイツがとる政策により、悲しい手段が実行され、人々は翻弄させられる。登場人物たちのその後の人生についてもナビゲーションされる。それぞれの人物が迎える結末は…。
 この作品は、完全なコメディではない。舞台経験が豊富な役者と三谷幸喜の笑いのバランスは、健在だ。だがこれは紛れもなく、重厚な人間ドラマである。せめて、普通に映画が楽しめる、平和な世の中でありますように。
 出演は他に、段田安則、白井晃、小林隆、、シルビア・グラブ、平岳大、吉田羊、小林勝也。
(大阪会場・森ノ宮ピロティホールにて、大阪での上演は4月6日~17日まで)

『わたしを離さないで』

2011年04月06日 22時07分57秒 | Weblog
 鑑賞後すぐに言葉が出ない。衝撃的とか、不思議な世界観とか、そんなことではなくて、呆然とする感じ。人間って、何だろう。しばし、嘆息を…。
 自然に囲まれた、イギリスのある田舎の寄宿学校“ヘイルシャム”。キャシー、ルース、トミーの3人は小さいころからそこでずっと一緒に学んできた。下界と完全に遮断されたこの施設には、謎があった。
 キャシーら生徒たちは、先生と呼ばれる保護官の下、絵画や詩の創作に励んでいた。しかし、18歳になると施設を退所するのが決まり。キャシーたちは、“コテージ”と呼ばれる農場に連れて行かれる。そこで、キャシーたちは初めて社会の空気に触れることとなる。その生活は自由ではあったが、あるときを待つ、ただそれだけの暮らしでもあった。だがやがて、微妙な距離ができ、3人は離れ離れになる。
 そして、時を経て再会する3人。絆を取り戻したキャシーたちは、ヘイルシャムの秘密を知ることとなる。それは、自分たちは、誰かを生かすために、与えられた“命”ということだった。
 原作は、ブッカー賞作家のカズオ・イシグロの小説『わたしを離さないで』。イギリスの美しい田園風景とともに、物語は進行する。タイトルにも、ある意味が含まれている。感動作という言葉は、簡単には言えない。
 主演のキャシーには『17歳の肖像』のキャリー・マリガン。ルースには『つぐない』のキーラ・ナイトレイ。トミーにはタンドリュー・ガーフィールドが扮する。キャリー・マリガンがかわいい表情を見せるが、演じる運命は、儚くて痛々しい。

『ザ・ファイター』

2011年04月03日 09時49分42秒 | Weblog
 実在のボクサー、ミッキー・ウォードと彼の家族を描いた力作。結果はわかっていても、本当に力が入ってしまう。そういう意味でも力作。この作品で、2010年度のアカデミー賞で助演男優賞と助演女優賞を受賞した。主役を食う勢いの、兄役・クリスチャン・ベールと母役・メリッサ・レオに注目だ。
 ディッキーは地元の有名ボクサーだったが、今は麻薬中毒者で手におえなくなっている。逮捕歴は27回だ。一方、ディッキーの弟・ミッキーもボクサーだが、ディッキーより地道。兄と母に言われるがまま。なかなかミッキーは勝つことはできなかったが、それは兄と母のせい。トレーナーとしての仕事ができない兄と、生活のために無茶な試合を組む母。夢に見ていた世界チャンピオンなど、遠くなっていくばかり…そう思っていた時、ミッキーに突然チャンスが訪れる。そこに恋人のシャーリーンも現れて、家族との決別を余儀なくされる。そして、世界戦は?試合の場面では、ちょっと拳を握ってしまうだろう。
 社会背景もストーリーも、すべてが、アメリカっぽい。アメリカ的!まさに、アメリカンドリーム!を体感する。
 最後は本物の兄弟の姿がチラホラ。それが、映画が現実であったことを気づかせる。
 ミッキーには、『ディパーテッド』のマーク・ウォールバーグ。ミッキーの恋人シャーリーンには、エイミー・アダムス。監督は『スリー・キングス』のデヴィット・O・ラッセル。