佐伯泰英の小説シリーズを『娼年』などの松坂桃李の主演で映画化。監督は『超高速！参勤交代』シリーズの本木克英がつとめた。脚本はドラマ「ちかえもん」…このドラマおもしろかった…の藤本有紀が手掛けた。
豊後関前藩の坂崎磐音（松坂桃李）、小林琴平（柄本佑）、河井慎之輔（杉野遥亮）は江戸に剣術を学びにきた幼馴染。任期を終え、地元に帰ってすぐにある事件が起こり、磐音は二人の幼馴染と慎之輔の妻…琴平の妹・舞を失う。磐音は琴平の妹・奈緒（芳根京子）との祝言を控えていたが、奈緒を置いて関前を去り、江戸で浪人として生活することになった。
磐音は、昼はうなぎ屋でうなぎを割きながら、夜は両替商の用心棒として働き始める。
普段は人情に厚く、穏やかな性格の磐音が「居眠り剣法」で悪を斬る。
松坂桃李はこのところ、さまざまな映画で一作一作力をつけてきた。時代劇の主役は、近年、偏ったキャストを組まれていたように感じていた。
現代劇のイメージがある松坂桃李が今作では主役。彼は左利きで、時代劇をするには矯正する部分もあり、努力も必要だった部分もあるかと思うが、背も高く、大きなスクーリーンに映える。
今後も期待できそう。
女性キャストも年代的に若くなり、新鮮さがあるキャスト。磐音が用心棒をつとめる両替商の店主は谷原章介、一方の対抗する両替商主人には柄本明。この柄本明、見るからに悪として登場してくるので、その存在が圧巻。ほかに、木村文乃と中村梅雀は親子役として出演している。
完全鉄壁な縦社会。絶対服従など、昔のたくさんの日本の背景が描かれているこの作品。時代が違えば、男女ともに誰もがそうなる可能性がある人生。
悲しくて重い。だが、他人事ではないことが今の時代でも理解できる。
この作品を外国人の方がみたら、クレイジーと思うのか、共感できるのか。聞いてみたいし、時代背景を説明してみたい気もする。
ラストシーンの磐音と奈緒の場面が苦しくてせつなく、美しい。
続編があってほしい。