夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『百花』

2022年09月17日 10時56分22秒 | Weblog

百花

 『君の名は。』『怒り』『何者』を企画・プロデュースした川村元気が原作・脚本・監督をした作品。

 

レコード会社に勤務する葛西泉(菅田将暉)と、ピアノ教室を営む母・百合子(原田美枝子)。ずっと二人で暮らしてきた二人には、ある過去がある。それ以来、お互いが溝を埋められないまま過ごしている。

 ある日、百合子は泉に「半分の花火」が見たいという。泉には、その「半分の花火」の意味がわからない。

そして、どんどん母の病気は進んでいき、百合子は施設へ入所。家を片付けながら、母との記憶をたどる泉だが、気持ちは複雑。そこに妻の香織(長澤まさみ)が寄り添っていた。

 記憶を失くしていく母より、子どもである自分の方が記憶している覚えていることは多い。

子どもはそう思うのだが、実は認知症になっても昔の記憶は驚くほど覚えていることがある。この作品もその部分に触れている。「半分の花火」本当のその意味を知ったとき、泉の母へのわだかまりは解けて自分に向けられていた本当の愛を知る。母が覚えていた大事なこと。自分が忘れていた大事なこと。

 

冒頭のシーンに目を見張る。認知症の人の感覚がどうなっているのか、ある方法で演出されている。

同じ行動を繰り返してしまうのはなぜか? その表現方法に関心させられた。

原田美枝子の演技が認知症の特徴をとらえていて、とてもうまい。←(「徹子の部屋」で自身の母親が認知症だったこともあり、その家族の方へも含めて失礼のないように演じようと思ったと語っていた)当方も経験しているが、違和感がなく感じた。年末の演技賞に入ってくるだろう。

菅田将暉は母との距離感がつかみづらい息子役を好演。いわば普通の年相応の人物を演じ、オーラはなし。カメレオン役者ぶりを発揮している。長澤まさみは、菅田将暉を陰から支える役どころ。珍しい立ち位置にいるが、うまくこなしていて良い。主演で目立つよりも助演も大事と思った。

過去と現在、母親の頭の中の表現が行き交うので、想像を働かせて鑑賞したい。


ミュージカル『ミス・サイゴン』

2022年09月13日 13時06分54秒 | Weblog

今年、日本初演から30年を迎えた『ミス・サイゴン』。

大阪公演で貴重なエンジニア役が市村正親とキム役が高畑充希のときを先行予約して観劇できた。当方は初見。←ほかのキャストさんにもファンはきちんといらっしゃるので、ミュージカルを見慣れていない私の選択肢として。

高畑充希はオーディションでキム役を得た。

1975年サイゴン。ベトナム戦争末期、爆撃で両親と村を失った17歳のキム(高畑充希)はエンジニア(市村正親)に拾われ、アメリカ軍相手のナイトクラブで働かせられてしまう。最初についたお客は戦争で精神が弱ってしまったクリス(海宝直人)。一夜だけの関係のはずが、クリスはキムと心から愛しあうように。親が決めた婚約者でベトコンのトゥイにクリスとの関係が知れてしまったキムにクリスは国へ連れて帰ると誓う。だが、サイゴンの陥落は迫っていた。

戦争が終わり社会主義国となったベトナム。キムは、必ず戻ってくるというクリスの言葉を信じて難民キャンプで身を潜めて待ち続けていた。だが、収容所で再教育を受けていたエンジニアに人民委員長となったトゥイ(西川大貴)がキムを探し出すように命じる。

一方、帰国したアメリカで今もベトナム戦争の悪夢に苦しむクリスの傍らには、妻のエレンが寄り添っていた。

エンジニアの手引きでキムに再会したトゥイはキムに結婚を迫る。頑なに拒否するキムは、タム(鎌田久遠)という子どもがいることを明らかにする。その混血児をみたトゥイは逆上してしまう。そして、キムは…。
再びエンジニアの下を訪れるキム。エンジニアはタムを連れてアメリカに渡り、もう一旗揚げようと考えていた。そして、エンンジニアはキム母子とともに難民の群れに紛れて国境を越えていく。

高畑充希の「命をあげるよ」。前半一番の見せ場。歌の上手さだけでなく、すごい迫力で息をするのを忘れる。

この「命をあげるよ」を聴いて休憩25分が入るタイミング。


高畑充希が歌うまいのは芝居のうまさと連動してるからかなぁとか思いつつ。
ベトナム戦争からの歴史も気になるし。もともとの素材は蝶々夫人からきているということも気になる。

後半の展開は詳しくできないのがこの作品の特徴でもある。
帝国劇場で始まった初演の『ミス・サイゴン』は、すごかったんだろうなぁとパンフレット読んで思う。

市村正親は、化け物。いや、神です。サービス精神も旺盛!
「アメリカンドリーム」はさすがとしかいいようのない、観ておいてよかった!の独壇場。30年前から唯一のオリジナルキャスト。

高畑充希の舞台作品は去年のミュージカル「ウエイトレス」に引き続き2回目の観劇となった。
市村正親は、昔、藤原竜也と二人舞台していたことがあり、それ以来。
そのとき、藤原竜也に元気なおっさんと言われていましたが、やっぱり元気で、良かった良かった!!